[18禁] 逆リョナ小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
「これで満足か?」
 田中が憎々しげに言葉を吐く。
「まだよ……」
 結衣が答えたその時だった。
 床に転がっていた防犯カメラの欠片を踏み、そのはずみで結衣の手からハンドガンが滑り落ちた。
 田中はそれを見逃さなかった。
 慌てて結衣がハンドガンを拾い上げた時には、田中は既に彼女の目前に迫っていた。
 結衣は銃を手にしたまま後ずさる。田中は臆することなく、ゆっくりと彼女との距離を詰めていく。結衣はとうとう、事務机の前にまで追い詰められ、逃げ場を無くしてしまった。
「ほら、それを返しな。素人に銃は扱えねえよ。今返せば、命だけは助けてやるぞ。」
 田中は優しい言葉で呼びかける。が、言葉とは裏腹な強い語調が、彼の本心を晒してしまっていた。
 結衣には怯えている様子は見られなかった。
 くすりと笑う。
 竹内はその笑みに、結衣の本性を垣間見たような気がした。
 ――やはり、違う。違うぞ田中。そいつは……
 田中は鼻から流れ出る血を拭いながら、ギラついた目で結衣を睨んだ。
「さて。さっきのお返しだ。」
 田中が結衣に詰め寄り、平手を喰らわせる。その衝撃でハンドガンは結衣の手を離れ、カラカラと勢いよく転がっていく。ロビーの隅の壁に当たり、ハンドガンは止まった。
「馬鹿が。」
 田中が悠々とその銃を拾いに行く。
 結衣は銃を追わなかった。殴られたままの姿勢で俯いている。
 竹内は嫌な予感を拭えなかった。そしてその正体に気付いた時、背筋に衝撃が走った。
「――待て! それは罠だ!」
 竹内が叫ぶ。しかし、それはただ空気を振るわせる効果しかもたなかった。
 彼女は後ろ手で、机の引き出しの鍵を閉めていたようだった。何か大事な物をしまうため、銃をオトリにしたのだ。
 それさえあれば身を守れる、大事な武器よりも優先するものは……
 それは何だ? 大金庫の鍵か? それとも……
 突然、竹内の思考を切り裂く笑い声が行内に響いた。声の主は、ハンドガンを手にした田中だった。
「ははは。俺、もう怒っちゃった。お遊びは終わりだな。」
 田中は銃口を結衣に向け、勝ち誇った笑みを漏らす。
「油断するな!」
 竹内は田中に警告する。しかし田中は完全に頭に血が上っているのか、取り合おうとはしなかった。
「何言ってんだよ、竹内。何怯えてんだよ。」
 田中はハンドガンのトリガーに指をかける。それからゆっくりと、その照準を気絶した女へと変えた。

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