{
2007/12/21(金) }
「あわわっ! あう……あぁっ、ごご……ごめん。」
彼女の謝罪の声。痛みが熱さだと脳が認識する頃には、既にその痛覚はなくなっていた。
「大丈夫。落ち着けって。俺が代わりに……」
しかし彼女は動揺で一杯になっているようだった。手から次々と火の点いた蝋燭を放してしまい、それが俺の身体中に落ちてくる。
「熱っ! ああっ! ちょ、ちょっと由梨!」
俺の中にも動揺が広がる。
「あわわわ……あぅあぅ……どうしよ。どうしよう!」
その俺の微妙な心境の変化を敏感に捉えたのか、彼女はますます慌てた声を出した。
「いいから落ち着け。俺が……げへっ!」
立ち上がろうとする俺の身体を再び激痛が襲う。どうやら彼女は、俺の身体を踏んだり蹴ったりしているらしかった。彼女の蹴り、踏み付けが身体中に飛んでくる。
「けけ……消さなきゃ! 早く、消さなきゃ! 徹くん! 徹くん、大丈夫!?」
言いながら、彼女の蹴りは次第にエスカレートしていく。頭や背中、尻や足など至る所を踏み付けられてまともに言葉が出ない。腹や股間を蹴り上げられ、内臓を揺さぶられる感覚から俺は苦悶の呻き声を上げるしかない。
たまらず俺は仰向けになって倒れ込んだ。その時、目に映りこんだのは、彼女の跳び上がる姿だった。次の瞬間、俺は内臓を潰されるような感覚に思わず嘔吐をもよおす。ドスンという音とともに、彼女が勢いよく俺の腹の上で飛び跳ねていた。
「大丈夫? 熱いの? ねぇ! 返事してよぅ、徹くん!」
まるで俺の腹がトランポリンであるかのようだ。彼女は嗚咽を漏らしながら、必死で俺の腹の上で何度も何度も飛び跳ねる。俺は苦しさから既に言葉を出すことも出来なくなっていた。
俺の意識が朦朧としてきた頃、彼女はようやく落ち着いた様子を見せた。腹の上から降り、ボロボロになった俺の身体をじっと見つめている。その瞳には涙が浮かんでいた。
「あ……。あ……私、つい必死になっちゃって……、あの……」
彼女が俺の横にペタリと腰を落とす。今にも声を上げて泣き出しそうだった。そんな彼女の姿が、再び俺の心をくすぐる。朦朧とする意識を覚醒させようと、俺は自分の両頬を両手で思いきり叩いた。
「大丈夫。ごほっ……大丈夫だよ、由梨。ほら、火は……もう消えてる……だろ。」
掠れた声で何とか彼女に声をかける。
「うぅ……徹くん。」
「ありがとな、心配してくれて。必死で……消そうとしてくれた、その気持ちが……嬉しいよ。」
彼女は相変わらず涙を浮かべたままであったが、その言葉で幾分落ち着いた様子だった。
「徹くん。好き! 徹くん!」
倒れ込んでいる俺の胸に、彼女が飛び込んできた。彼女の口からこんな素敵な言葉が聞けるなんて思ってもみなかった。
俺は身体の痛みなど忘れて、彼女を強く抱きしめた。
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彼女の謝罪の声。痛みが熱さだと脳が認識する頃には、既にその痛覚はなくなっていた。
「大丈夫。落ち着けって。俺が代わりに……」
しかし彼女は動揺で一杯になっているようだった。手から次々と火の点いた蝋燭を放してしまい、それが俺の身体中に落ちてくる。
「熱っ! ああっ! ちょ、ちょっと由梨!」
俺の中にも動揺が広がる。
「あわわわ……あぅあぅ……どうしよ。どうしよう!」
その俺の微妙な心境の変化を敏感に捉えたのか、彼女はますます慌てた声を出した。
「いいから落ち着け。俺が……げへっ!」
立ち上がろうとする俺の身体を再び激痛が襲う。どうやら彼女は、俺の身体を踏んだり蹴ったりしているらしかった。彼女の蹴り、踏み付けが身体中に飛んでくる。
「けけ……消さなきゃ! 早く、消さなきゃ! 徹くん! 徹くん、大丈夫!?」
言いながら、彼女の蹴りは次第にエスカレートしていく。頭や背中、尻や足など至る所を踏み付けられてまともに言葉が出ない。腹や股間を蹴り上げられ、内臓を揺さぶられる感覚から俺は苦悶の呻き声を上げるしかない。
たまらず俺は仰向けになって倒れ込んだ。その時、目に映りこんだのは、彼女の跳び上がる姿だった。次の瞬間、俺は内臓を潰されるような感覚に思わず嘔吐をもよおす。ドスンという音とともに、彼女が勢いよく俺の腹の上で飛び跳ねていた。
「大丈夫? 熱いの? ねぇ! 返事してよぅ、徹くん!」
まるで俺の腹がトランポリンであるかのようだ。彼女は嗚咽を漏らしながら、必死で俺の腹の上で何度も何度も飛び跳ねる。俺は苦しさから既に言葉を出すことも出来なくなっていた。
俺の意識が朦朧としてきた頃、彼女はようやく落ち着いた様子を見せた。腹の上から降り、ボロボロになった俺の身体をじっと見つめている。その瞳には涙が浮かんでいた。
「あ……。あ……私、つい必死になっちゃって……、あの……」
彼女が俺の横にペタリと腰を落とす。今にも声を上げて泣き出しそうだった。そんな彼女の姿が、再び俺の心をくすぐる。朦朧とする意識を覚醒させようと、俺は自分の両頬を両手で思いきり叩いた。
「大丈夫。ごほっ……大丈夫だよ、由梨。ほら、火は……もう消えてる……だろ。」
掠れた声で何とか彼女に声をかける。
「うぅ……徹くん。」
「ありがとな、心配してくれて。必死で……消そうとしてくれた、その気持ちが……嬉しいよ。」
彼女は相変わらず涙を浮かべたままであったが、その言葉で幾分落ち着いた様子だった。
「徹くん。好き! 徹くん!」
倒れ込んでいる俺の胸に、彼女が飛び込んできた。彼女の口からこんな素敵な言葉が聞けるなんて思ってもみなかった。
俺は身体の痛みなど忘れて、彼女を強く抱きしめた。
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