[18禁] 逆リョナ小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
「ねぇ、待ってよ。」
 最初は人の喉から発せられた言葉なのか耳を疑った。僕たちが出すものより高い音のその声。そこには、吸い込まれてしまいそうな魅力があった。
 軍服の二人が足を止める。僕を取り巻いていた男たちもあらためて背筋を伸ばす。
「しかし、この男……あまりに無礼な……」
 男の一人が応対する。その声には緊張の色があった。
「私は、その子と話がしたいの。こちらへ連れて来て。」
 応対していた男は戸惑いながらも「仰せのままに」と応える。両脇の男は顔を見合わせ、僕を引きずるようにしてヴェールの前まで連れて行った。
「私、あなたに興味があるの。」
 あまりに唐突な言葉に、僕は返す言葉が見当たらなかった。それが女性から自分に向けて発せられた言葉だということを考えると、とても平静を保ってはいられなかった。貧血を起こし、倒れ込みそうになるところを軍服の二人が受け止める。
「あ……あの……」
 僕の何がこの女性にそう思わせたのか、全く解らなかった。
「こっちに来て。」
 軍服の二人は僕から手を放し、足で軽く僕の臀部を蹴る。「行け」という合図なのだろう。しかし相変わらず僕の足はガクガクと震えるばかりで先に進むことができない。二人は呆れた様子で僕を見ると、今度は思いきり僕の背中を押した。
 
 ――!!――

 ヴェールの中に転がり込む。僕は驚愕した。女性。女性……。そこにはあまりに美しい人がこちらを向いて座っていた。
 仰々しい椅子に座る、あまりに小さな存在。素敵な香りがふわりと僕を包む。僕たち男とは違った妖艶な身体つき。僕と同じ黒い髪。そこにはウェーブがかかり、とても艶やかだ。紅い唇に吸い込まれそうな魅惑を感じる。身体のラインを強調するタイトな淡い色のワンピースは膝上までで途切れており、白くて美しい生脚がそこから覗いている。女性は素足だった。
 その服は見たこともない素材でできており、とても煌びやかだった。きっと僕たちが着ることなどないほど、貴重なものなのだろう。
「こんにちは。」
 にっこりと笑って僕をじっと見つめている。僕は赤面し、無意識に目を逸らす。あまりに魅惑的な女性という存在を直視できない。失礼だとは分かっている。でも……
「あ……あぅ……」
 急いで体勢を整え、正座する。その後は、もじもじと身体を動かすのがやっとだった。女性はそんな僕の姿を見ると、「ふふ」と笑った。
「あの……あの……」
 女性は、途惑う僕を面白がって見ているようだった。

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