{
2007/11/10(土) }
僕は外の世界を見たことがない。
ガーディアンセンターと呼ばれるこの施設の中で僕は生まれ、育った。
僕はマナと呼ばれている。しかしこれは正式な名前ではない。僕たちは番号で区別されている。
ここは、全てが塀に囲まれている。
「外に出ればもっともっと広い世界があるんだよ。ここの何千倍、何万倍という大きさだ。」
そう話してくれた老人はもうこの世にはいない。
僕は彼の話す夢のような世界の話を、目を輝かせて聞いていたものだ。僕らが外と呼ぶ世界。一目でいいからその世界を見てみたいと今でも願っている。
老人曰く、外には青い空が広がっていて、海や川などの綺麗な水場があるらしい。外には人工的に作られたものではない緑や、自然があるらしい。外には、檻に入っていない動物がいるらしい。
皆が集まって飲んだり歌ったりする場所もある。若者たちは女性と自由に恋をしたりしながら、好きなように生きていける。
老人の語った世界の全てが本当に存在するなら、世界とは何と素晴らしいものだろう。
僕は未だ見ぬ、いや……これから先も見ることはないであろう世界を想像することだけが楽しみだった。
ガーディアンセンターは巨大なドーム状の官営施設だ。ここには男しかいない。
男女は別々に育ち、そして殆どの男は女性を見る機会すらなく死んでいく。大きな理由は、男が多すぎるからだ。
現在の世界の出産男女比率は、著しく偏っている。実に九割以上が男なのである。
女性は滅多に産まれないため、手厚く保護されて育つ。女性専用のセンターで教育を受けた後、大きくなれば住居区に移り住む。その後も、警護する者や身の回りの世話をする者が与えられるなど、いろんなサービスを受けられるシステムがある。それは全ての女性に対し、生涯に渡って保証されているらしい。
男にそんな自由はない。生涯の生活保障はあるが、住居区に住むどころか、センターの敷地内から出ることすら許されていない。外出許可など、夢のまた夢である。かといって無断で外に出るなど言語道断だ。どんな処分が下るか、考えるだけで恐ろしい。
そもそも男女が別々に暮らす社会になったことには、理由があったらしい。
教育の時間に、僕はこの社会の歴史を教わった。
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ガーディアンセンターと呼ばれるこの施設の中で僕は生まれ、育った。
僕はマナと呼ばれている。しかしこれは正式な名前ではない。僕たちは番号で区別されている。
ここは、全てが塀に囲まれている。
「外に出ればもっともっと広い世界があるんだよ。ここの何千倍、何万倍という大きさだ。」
そう話してくれた老人はもうこの世にはいない。
僕は彼の話す夢のような世界の話を、目を輝かせて聞いていたものだ。僕らが外と呼ぶ世界。一目でいいからその世界を見てみたいと今でも願っている。
老人曰く、外には青い空が広がっていて、海や川などの綺麗な水場があるらしい。外には人工的に作られたものではない緑や、自然があるらしい。外には、檻に入っていない動物がいるらしい。
皆が集まって飲んだり歌ったりする場所もある。若者たちは女性と自由に恋をしたりしながら、好きなように生きていける。
老人の語った世界の全てが本当に存在するなら、世界とは何と素晴らしいものだろう。
僕は未だ見ぬ、いや……これから先も見ることはないであろう世界を想像することだけが楽しみだった。
ガーディアンセンターは巨大なドーム状の官営施設だ。ここには男しかいない。
男女は別々に育ち、そして殆どの男は女性を見る機会すらなく死んでいく。大きな理由は、男が多すぎるからだ。
現在の世界の出産男女比率は、著しく偏っている。実に九割以上が男なのである。
女性は滅多に産まれないため、手厚く保護されて育つ。女性専用のセンターで教育を受けた後、大きくなれば住居区に移り住む。その後も、警護する者や身の回りの世話をする者が与えられるなど、いろんなサービスを受けられるシステムがある。それは全ての女性に対し、生涯に渡って保証されているらしい。
男にそんな自由はない。生涯の生活保障はあるが、住居区に住むどころか、センターの敷地内から出ることすら許されていない。外出許可など、夢のまた夢である。かといって無断で外に出るなど言語道断だ。どんな処分が下るか、考えるだけで恐ろしい。
そもそも男女が別々に暮らす社会になったことには、理由があったらしい。
教育の時間に、僕はこの社会の歴史を教わった。
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