{
2007/10/26(金) }
静寂が教室中を包み込んでいた。
授業中の彼らの態度は、それこそどこへ出しても申し分ない。寝ている生徒もいなければ、私語一つ聞こえてくることもない。まあ、有名私立高校なのだから当然と言えば当然のことなのかもしれないが。
しかしそれは彼らの、いや彼女たちの表向きの顔なのだ。生徒を疑うのは心苦しいが、このクラスには確実に、闇に潜む裏の顔がある。それをしっかりと私が認識していなければ、今後はもっと大きな事件が起こりかねないのだ。
ふと彩香の方へと目を移す。彼女は教科書を片手に熱心にノートを取っていた。
――授業態度だけを見ていれば、勉強熱心で優秀な生徒なのに……。どうして……
彼女の姿を見ていると、生徒を穿った目で見ている自分が間違っているのではないかという気にもなってくる。罪悪感と自己嫌悪が私を包み込む。そんな邪念をふり払うように、私はぼんやりとあの事件のことを思い出していた。私は確かに現場を見た。中心となって暴行していたのは……紛れもない、彩香だった。
――ゆっくり時間を取って、彼女の心の奥までしっかりと見つめていかなければ。
私は決意を新たにした。
私の学校には中休みがある。二時限目の終わりに二十五分ほどの少し長い休みがあるのだ。
授業終了のチャイムと同時に私は職員室を出る。この時間に一度、彩香と接触しておきたかった。
しかし、不測の事態というものはこういう時に限って起こる。
丁度、私が職員室を出た時、そこには同じクラスの女子生徒である柳本紗希が立っていた。
「先生。真理が大変なんです。すぐに体育倉庫まで来てください。」
「いや、先生はこれから用事が……」
「怪我をしてるんです。早く、お願いします。」
「本当か!」
私は彼女に引っ張られるように体育倉庫へと向かった。
体育倉庫は校舎から校庭を挟んで反対側に位置していた。
外履きに履き替える間もなく、私は紗希についていった。
紗希が先に立ち、倉庫を開ける。私は彼女を押しのけるようにして中を覗き込んだ。
「どうした! 大丈夫か!? …………?……??…………」
――誰も……いないじゃないか……。
振り返った時にはもう遅かった。
紗希に強烈な当身を喰らわされ、私は声もなくその場に崩れ落ちた。
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授業中の彼らの態度は、それこそどこへ出しても申し分ない。寝ている生徒もいなければ、私語一つ聞こえてくることもない。まあ、有名私立高校なのだから当然と言えば当然のことなのかもしれないが。
しかしそれは彼らの、いや彼女たちの表向きの顔なのだ。生徒を疑うのは心苦しいが、このクラスには確実に、闇に潜む裏の顔がある。それをしっかりと私が認識していなければ、今後はもっと大きな事件が起こりかねないのだ。
ふと彩香の方へと目を移す。彼女は教科書を片手に熱心にノートを取っていた。
――授業態度だけを見ていれば、勉強熱心で優秀な生徒なのに……。どうして……
彼女の姿を見ていると、生徒を穿った目で見ている自分が間違っているのではないかという気にもなってくる。罪悪感と自己嫌悪が私を包み込む。そんな邪念をふり払うように、私はぼんやりとあの事件のことを思い出していた。私は確かに現場を見た。中心となって暴行していたのは……紛れもない、彩香だった。
――ゆっくり時間を取って、彼女の心の奥までしっかりと見つめていかなければ。
私は決意を新たにした。
私の学校には中休みがある。二時限目の終わりに二十五分ほどの少し長い休みがあるのだ。
授業終了のチャイムと同時に私は職員室を出る。この時間に一度、彩香と接触しておきたかった。
しかし、不測の事態というものはこういう時に限って起こる。
丁度、私が職員室を出た時、そこには同じクラスの女子生徒である柳本紗希が立っていた。
「先生。真理が大変なんです。すぐに体育倉庫まで来てください。」
「いや、先生はこれから用事が……」
「怪我をしてるんです。早く、お願いします。」
「本当か!」
私は彼女に引っ張られるように体育倉庫へと向かった。
体育倉庫は校舎から校庭を挟んで反対側に位置していた。
外履きに履き替える間もなく、私は紗希についていった。
紗希が先に立ち、倉庫を開ける。私は彼女を押しのけるようにして中を覗き込んだ。
「どうした! 大丈夫か!? …………?……??…………」
――誰も……いないじゃないか……。
振り返った時にはもう遅かった。
紗希に強烈な当身を喰らわされ、私は声もなくその場に崩れ落ちた。
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