{
2007/09/12(水) }
最初はトマトだった。
足に残る感触は私を魅了し、もはや手もつけられないほど勢いを増していった。
私の欲求は日に日に高まっていくばかりで、衰えるところを知らない。
一昨日はゴキブリ。昨日はねずみを踏み潰した。
足の下でそれが破裂し、足の下から血液が滲み出てくる時、私は言いようもない快楽と愉悦を被る。
それは生命を絶つことから得るものなのか。それともそれらの晒す死の残骸から得るものなのか。
その根本となるところは、私自身にだって理解が難しい。
ただ……とにかく何かを壊したくて仕方がないのだ。
これは一種の病気のようなものかもしれない。
何かを潰す感触に異様に固執し、それが忘れられなくてまた何かを潰して歩く。
そんな日がどれほど続いてきただろう。
『生命を尊重せよ』というのは誰もが知る正論だ。しかしそれは常識人の言う綺麗事に過ぎない。
私を虜にするこの趣味は、私の理性をも凌駕し、いつまでも私の中で猛威を振るっているのだから。
ただその対象が人間となると、格段にリスクや制限が大きくなってくる。
私は会社帰りに街を歩いていた。長く伸ばした黒いストレートロングの髪はポニーテールにまとめている。スーツを身に纏い、脚にはストッキングを身に着け、ヒールを履いている。ごく一般的な働く女性の服装だ。だからもちろん傍目には私の心の中に潜む闇を決して悟られることはない。
ただ、今日はいつもとは少し事情が違った。
帰り道の途中。ひと気の全く無い路地裏に入った時に、三人の男に絡まれたのだ。金髪の男、顔中ピアスだらけの男、細目の男。
どう見てもナンパ目的のチャラい男共だ。
「鏡見てからものを言ってね。」
その言葉に彼らは激怒した。目の色を変えて私に喰らいつこうとでもするように凄んだ。
――はぁ……身の程知らず……
真っ先に掴みかかろうとしてきたのはピアスの男だった。私は少し身体を反らしてそれをかわし、相手の勢いを利用して腹に膝蹴りを叩き込んだ。
男はあっけなく膝から崩れ落ち、腹を抱えて嘔吐する。私はすかさず、蹲ってがら空きになった背中に思い切りヒールの先を突き刺した。
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足に残る感触は私を魅了し、もはや手もつけられないほど勢いを増していった。
私の欲求は日に日に高まっていくばかりで、衰えるところを知らない。
一昨日はゴキブリ。昨日はねずみを踏み潰した。
足の下でそれが破裂し、足の下から血液が滲み出てくる時、私は言いようもない快楽と愉悦を被る。
それは生命を絶つことから得るものなのか。それともそれらの晒す死の残骸から得るものなのか。
その根本となるところは、私自身にだって理解が難しい。
ただ……とにかく何かを壊したくて仕方がないのだ。
これは一種の病気のようなものかもしれない。
何かを潰す感触に異様に固執し、それが忘れられなくてまた何かを潰して歩く。
そんな日がどれほど続いてきただろう。
『生命を尊重せよ』というのは誰もが知る正論だ。しかしそれは常識人の言う綺麗事に過ぎない。
私を虜にするこの趣味は、私の理性をも凌駕し、いつまでも私の中で猛威を振るっているのだから。
ただその対象が人間となると、格段にリスクや制限が大きくなってくる。
私は会社帰りに街を歩いていた。長く伸ばした黒いストレートロングの髪はポニーテールにまとめている。スーツを身に纏い、脚にはストッキングを身に着け、ヒールを履いている。ごく一般的な働く女性の服装だ。だからもちろん傍目には私の心の中に潜む闇を決して悟られることはない。
ただ、今日はいつもとは少し事情が違った。
帰り道の途中。ひと気の全く無い路地裏に入った時に、三人の男に絡まれたのだ。金髪の男、顔中ピアスだらけの男、細目の男。
どう見てもナンパ目的のチャラい男共だ。
「鏡見てからものを言ってね。」
その言葉に彼らは激怒した。目の色を変えて私に喰らいつこうとでもするように凄んだ。
――はぁ……身の程知らず……
真っ先に掴みかかろうとしてきたのはピアスの男だった。私は少し身体を反らしてそれをかわし、相手の勢いを利用して腹に膝蹴りを叩き込んだ。
男はあっけなく膝から崩れ落ち、腹を抱えて嘔吐する。私はすかさず、蹲ってがら空きになった背中に思い切りヒールの先を突き刺した。
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