{
2007/08/19(日) }
学校で信二に聞かされた話に、俺は困惑していた。
-----信二が彼女の復讐に行くなんて俄かには信じ難かった。-----
しかし信二の気持ちを察すれば、それは当然のことだとも思えた。
俺が信二の立場だったら、きっと同じように思っていたに違いないのだ。
だから、例え信二が相手を殺めてしまうことがあったとしても、俺にも…いや、誰にも彼を咎めることはできないだろう。少なくとも、人の心を理解するものであれば…
『下手したら命を落とすことになるかもしれない。』
信二の言葉が何度も頭をかすめる。その度に、俺は最悪の想像に取り憑かれてしまうのだった。
信二はまるで意識などないかのように天井を見上げ、ぶつぶつと何かを呟いていた。
終業のベルが鳴り響く。彼はほんの少しだけ俺に笑顔を向けると、真っ直ぐに出口へと向かうのだった。
俺には既に躊躇はなかった。
昨日の信二からの電話。言葉少なではあったが、その内容は、そうでなければいいと思う俺のわずかな期待を大きく裏切り、信二が復讐に行くという事実だけを如実に物語っていたのだ。
『後を…頼むな』
今日は信二は学校に来ていない。
――信二は…復讐に行くつもりなんだ…。彼女の仇を取りに、東一丸高校へ…。
嫌な予感が胸を過る。
――信二が殺される…。俺の大切な親友の恋人を強姦したクソ野郎共。そのことがどれだけ俺の腸を煮えくり返らせたことか。そんな奴らだ。きっと奴らは…今度は信二を血祭りにあげようとする…。
想像は俺の中で大きく膨れ上がり、そのクソ野郎共に対する怒りはもはや絶頂に達していた。
――それは親友である俺の役目だ。俺がこの手で殺してやるよ。見ていろよ、信二。
俺は東一丸高校へ一人で乗り込んだ。そして、校舎内の窓ガラスをひたすら割って回った。
――愛するものを平気で汚そうとする奴は、俺が正義の制裁を加えてやる!
「出て来い! 出て来いよ、おい! 出てきやがれー!」
しかし俺の抵抗は本当に空しく幕を閉じた。
結局、信二の恋人を強姦した犯人が誰か分からないまま、俺は学校関係者によって捕らえられてしまったのだから。俺は自分の無力さを心底呪った。
俺はこの件が学校で問題となり、別の学校へ転校することになった。通常なら退学になってもおかしくないケースだったが、どうやら事を世間に大っぴらにしたくないという学校側の意思で、転校という措置になったのだという。しかしそんなことは俺にとって大した問題ではなかった。ただ、その日信二が彼女の復讐に行ったという話を聞かなかったことが一番の救いだった。
――これでいいんだ…これで。俺の行為は決して無駄ではなかったのだ。お前は俺のこの行為で復讐を思い留まってくれたんだよな。そう。お前には復讐なんかより、もっとするべきことがある。
俺は、信二とその彼女の幸せだけを願っていた。正義は…きっと最後には勝つ。その信念だけが俺を支えていた。
しかししばらくして、友人から聞かされた。信二がその後も学校に姿を現さなくなったということを。
俺は直感した。信二は結局、復讐に行ったのだ。彼女のため、そして…おそらく俺のためにも…。
信二の正義感の強さは、俺がよく知っていたつもりだった。だからこそ、俺は自分の愚かさを嘆かずにはいられなかった。信二の顔を思い浮かべるたびに、俺は後悔の念を強くするのだった。
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-----信二が彼女の復讐に行くなんて俄かには信じ難かった。-----
しかし信二の気持ちを察すれば、それは当然のことだとも思えた。
俺が信二の立場だったら、きっと同じように思っていたに違いないのだ。
だから、例え信二が相手を殺めてしまうことがあったとしても、俺にも…いや、誰にも彼を咎めることはできないだろう。少なくとも、人の心を理解するものであれば…
『下手したら命を落とすことになるかもしれない。』
信二の言葉が何度も頭をかすめる。その度に、俺は最悪の想像に取り憑かれてしまうのだった。
信二はまるで意識などないかのように天井を見上げ、ぶつぶつと何かを呟いていた。
終業のベルが鳴り響く。彼はほんの少しだけ俺に笑顔を向けると、真っ直ぐに出口へと向かうのだった。
俺には既に躊躇はなかった。
昨日の信二からの電話。言葉少なではあったが、その内容は、そうでなければいいと思う俺のわずかな期待を大きく裏切り、信二が復讐に行くという事実だけを如実に物語っていたのだ。
『後を…頼むな』
今日は信二は学校に来ていない。
――信二は…復讐に行くつもりなんだ…。彼女の仇を取りに、東一丸高校へ…。
嫌な予感が胸を過る。
――信二が殺される…。俺の大切な親友の恋人を強姦したクソ野郎共。そのことがどれだけ俺の腸を煮えくり返らせたことか。そんな奴らだ。きっと奴らは…今度は信二を血祭りにあげようとする…。
想像は俺の中で大きく膨れ上がり、そのクソ野郎共に対する怒りはもはや絶頂に達していた。
――それは親友である俺の役目だ。俺がこの手で殺してやるよ。見ていろよ、信二。
俺は東一丸高校へ一人で乗り込んだ。そして、校舎内の窓ガラスをひたすら割って回った。
――愛するものを平気で汚そうとする奴は、俺が正義の制裁を加えてやる!
「出て来い! 出て来いよ、おい! 出てきやがれー!」
しかし俺の抵抗は本当に空しく幕を閉じた。
結局、信二の恋人を強姦した犯人が誰か分からないまま、俺は学校関係者によって捕らえられてしまったのだから。俺は自分の無力さを心底呪った。
俺はこの件が学校で問題となり、別の学校へ転校することになった。通常なら退学になってもおかしくないケースだったが、どうやら事を世間に大っぴらにしたくないという学校側の意思で、転校という措置になったのだという。しかしそんなことは俺にとって大した問題ではなかった。ただ、その日信二が彼女の復讐に行ったという話を聞かなかったことが一番の救いだった。
――これでいいんだ…これで。俺の行為は決して無駄ではなかったのだ。お前は俺のこの行為で復讐を思い留まってくれたんだよな。そう。お前には復讐なんかより、もっとするべきことがある。
俺は、信二とその彼女の幸せだけを願っていた。正義は…きっと最後には勝つ。その信念だけが俺を支えていた。
しかししばらくして、友人から聞かされた。信二がその後も学校に姿を現さなくなったということを。
俺は直感した。信二は結局、復讐に行ったのだ。彼女のため、そして…おそらく俺のためにも…。
信二の正義感の強さは、俺がよく知っていたつもりだった。だからこそ、俺は自分の愚かさを嘆かずにはいられなかった。信二の顔を思い浮かべるたびに、俺は後悔の念を強くするのだった。
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