{
2007/08/14(火) }
私の汚された身体を、いつの間にか激しい雨が洗い流してくれていた。
気が付いた時には既に男たちの姿はなかった。その代わり、よく知った顔がそこにはあった。
短めの髪に、精悍で整った顔つき。しなやかで鍛えられた身体に白いシャツが貼り付いていた。
一瞬にして心を解きほぐす温かい…本当に温かい大きな手。肌の感触。優しい瞳。
彼の腕の中に抱かれながら、私は大声で泣いた。泣いた。涙が自分の身体中の汚れを、そして深く切りつけられた痛みを全て流してくれるような気がして。とにかく泣き続けた。
「ごめんな。遅くなって…本当にごめんな。」
彼の胸がこんなに大きく、逞しく見えたことはなかった。
「遅かったよ、信二。本当に…本当に…遅かったよー!!」
私はその言葉とは裏腹に、彼の腕の中でこの恐怖から解放された安堵感を得ていった。しかしそれと同時に、言いようもない罪悪感が芽を出し、私を再び萎縮させるのだった。
私は…汚された…。私は…私は…
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
謝罪の言葉が口をついて出る。何度も、何度も、何度も。涙が止まらない。
彼は、そんな私の身体をさらに強く抱きしめた。
「俺はいつでも、お前の側にいるからな。」
その言葉は、この時私の側にいられなかった彼の後悔と懺悔であるように思えた。
私を抱く手が震えている。雨の冷たさなど忘れさせてくれるその手のぬくもりが、私は好きだった。
彼の深さを実感していくにつれて、私は心から安心できた。安心して、そのまま眠りについた。
私は震えていた。
そして自分が書斎にいることを確認し、大きく安堵の息を吐き出した。
回想するだけで、あの時の感情がまざまざと蘇ってくる。
『やめて…やめて…ください。ごめんなさい。ごめんなさい…許してください…』
――またあの日のフラッシュバック…
あの時の姉の声は未だ薄れることなく、鮮明に脳裏に焼きついている。
「姉さん…」
ぽつりと呟く。
それが決して自分への慰めや癒しになるものではないことはよく分かっていた。
『俺はいつでも、お前の側にいるからな。』
彼の言葉が脳裏に蘇る。あの時の彼の言葉が、どれほど私を勇気づけてくれたことか。
期待していた以上の言葉を思い出し、私はまた涙を堪えることができなくなる。
その気持ちをはぐらかすかのように私は再度、医学書のページをめくるのだった。
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気が付いた時には既に男たちの姿はなかった。その代わり、よく知った顔がそこにはあった。
短めの髪に、精悍で整った顔つき。しなやかで鍛えられた身体に白いシャツが貼り付いていた。
一瞬にして心を解きほぐす温かい…本当に温かい大きな手。肌の感触。優しい瞳。
彼の腕の中に抱かれながら、私は大声で泣いた。泣いた。涙が自分の身体中の汚れを、そして深く切りつけられた痛みを全て流してくれるような気がして。とにかく泣き続けた。
「ごめんな。遅くなって…本当にごめんな。」
彼の胸がこんなに大きく、逞しく見えたことはなかった。
「遅かったよ、信二。本当に…本当に…遅かったよー!!」
私はその言葉とは裏腹に、彼の腕の中でこの恐怖から解放された安堵感を得ていった。しかしそれと同時に、言いようもない罪悪感が芽を出し、私を再び萎縮させるのだった。
私は…汚された…。私は…私は…
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
謝罪の言葉が口をついて出る。何度も、何度も、何度も。涙が止まらない。
彼は、そんな私の身体をさらに強く抱きしめた。
「俺はいつでも、お前の側にいるからな。」
その言葉は、この時私の側にいられなかった彼の後悔と懺悔であるように思えた。
私を抱く手が震えている。雨の冷たさなど忘れさせてくれるその手のぬくもりが、私は好きだった。
彼の深さを実感していくにつれて、私は心から安心できた。安心して、そのまま眠りについた。
私は震えていた。
そして自分が書斎にいることを確認し、大きく安堵の息を吐き出した。
回想するだけで、あの時の感情がまざまざと蘇ってくる。
『やめて…やめて…ください。ごめんなさい。ごめんなさい…許してください…』
――またあの日のフラッシュバック…
あの時の姉の声は未だ薄れることなく、鮮明に脳裏に焼きついている。
「姉さん…」
ぽつりと呟く。
それが決して自分への慰めや癒しになるものではないことはよく分かっていた。
『俺はいつでも、お前の側にいるからな。』
彼の言葉が脳裏に蘇る。あの時の彼の言葉が、どれほど私を勇気づけてくれたことか。
期待していた以上の言葉を思い出し、私はまた涙を堪えることができなくなる。
その気持ちをはぐらかすかのように私は再度、医学書のページをめくるのだった。
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