[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 ふいに意識が覚醒されていくような感覚に襲われる。僕はその光景に明らかなデジャヴを感じていた。しかしまだその時のことをよく思い出せない。頭をかすめた記憶の断片が僕にひどい頭痛を与える。
 先ほど痛めつけられた身体中の痛みも相俟って僕は貧血に陥り、思わず膝をついた。
 僕は何かを忘れているんだ。ただ、それが何なのかはまだ全然分からない。
 僕は必死でそれを思い出そうとしていた。それは、今目の前にあるこの光景を客観視したかったからかもしれない。恐怖心から解放されたかっただけなのかもしれない。これが夢だったらどんなにいいことだろう。
 目の前いっぱいに散乱した人間たちのパーツに発狂しそうになる。身体中を嬲りものにされたのだろう。それぞれの部位が傷つき、無惨な姿を晒している。
 ――僕も同じ目に…
 そう捉えた時、彼女たちに対する恐怖心が増大する。これを現実のものとして受け止めるだけの勇気が僕にはなかった。
 ――どうして…何のために…
 そう考えることで、僕は何とか平常心を保とうとしていた。僕には、何か思い出さなければいけないことがある。この件に関する重要な何かを忘れている。考えようとするたびに酷い頭痛が僕を襲う。しかし僕は確実に、彼女たちのことを知っているはずだ。
 ――はるな…なづな…。確かにそう言っていた。それは彼女たちの名前か?…
 引っかかるものがある。その名前には聞き覚えがあるような気がした。いや、確実に聞いたことがある名前だった。しかし彼女たちの顔を見た時、それらの名前は全く浮かんでこなかった。何より僕は、あの時彼女たちと初めて会ったはず。名前は聞いて思い出せても、それ以上のことが全く思い出せないということに奇妙な感覚と違和感を隠しきれない。
 ――はるな…なづな…
 頭の中で復唱してみても何も分からない。僕は考えるのをやめた。


 部屋に転がるパーツの群れへの恐怖心がなくなったと言えば嘘になる。僕の記憶の断片とのかかわりが既に気にならなくなっていたと言っても嘘になる。ただ、今はもうとにかくここから逃げなければという思いが僕の中の大部分を占めていた。
 ――こんな恐ろしい思いをするのはもう嫌だ。
 そして僕は、自分の気持ちに正直になることを決めた。彼女たちのことだって、もうどうでもいい。思い出せないという事実が、今の僕にとっての真実だ。もう二度とかかわりたくない。それが僕の正直な気持ちだった。

 僕はそっと部屋を後にした。

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