{
2007/07/10(火) }
車の中でのことをふと思い出す。彼女たちの会話からすると、ここはどうやら彼女たちの別荘であろう。もちろん僕は別荘など持っていないから詳しいことは分からないが、僕のイメージの中にある別荘とこことはあまりにかけ離れたものだった。
洒落たインテリアでもなければ、落ち着ける空間といった感じでもない。壁や床は全てコンクリートで出来ていた。したがって、僕が連れてこられたままの格好で、しかも屋内で靴を履いていても別段違和感を感じないのだろう。
ここには日の光そのものがほとんど入ってこない。何かのホラー映画にでも出てきそうな大きな屋敷といった感じだろうか。いや…
僕はとりあえず別荘の中を散策してみることにした。幸いにも彼女たちの気配は感じない。
内部は広い。しかしどの部屋を覗いてみても光がなかなか入ってこない。違和感を覚えて僕は天井を見上げる。僕がここに屋敷とも少し違ったイメージをもった理由が分かった。ここには窓がほとんど取り付けられていないのである。どの部屋を見ても、あるのは天井高くにある小さな窓だけだ。
――監獄…
寒気を覚える。
外へと繋がっていると思われる扉はいくつか見つけたのだが、いずれも押しても引いてもビクともしない。おそらく外から閂でもかけられているのだろう。
二階で一つだけ見つけた開く窓は、僕が背伸びをしてようやく届く位置にあった。ぶらさがって何とか身体を持ち上げてはみたが、すぐにそこから出られないことが分かった。窓の下は一面の鉄柵がこちらを向いてそびえ立っていたのだ。飛び降りたら当然命はない。恐怖心がさらに増大する。他にも覗いた部屋の小さな窓に力を込めてみるが、どこも開く様子はない。どうやら完全に閉じ込められてしまっているようである。
――畜生…冗談じゃない。
僕は必死になって外へ通じる扉を探した。しかし結果は僕の期待を悉く裏切った。
…!!…
ふと人の気配を感じてドアの前で立ち止まる。扉の向こうの部屋からかすかな話し声が聞こえてくる。
僕は無意識に影を潜めた。きっとあの双子が会話しているに違いない。
そっと扉に顔をはり付け、耳を欹てる。
――許せないよね…
――うん。
――どうやって思い出させよっか。
――そうだね…
かすかに洩れてくる声。二人の声だ。僕の話をしていることはまず確実だろう。僕の恐怖心がますます肥大する。
――何故なんだ…。何故、彼女たちは僕のことを知っている? 何故、僕を狙う?
考えても何も浮かんでこない。それ以前に、彼女たちはきっと間もなく僕のいるはずの場所にやって来るだろう。見つかってはまずい。
僕はすぐに部屋を離れようとした。しかし、次に内部から聞こえてきた音は僕の予想とは大きくかけ離れたものであった。僕の身体が凍りつく。あくまで本能的な欲望が芽を出し、僕を再びドアの前に引き止めていた。
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洒落たインテリアでもなければ、落ち着ける空間といった感じでもない。壁や床は全てコンクリートで出来ていた。したがって、僕が連れてこられたままの格好で、しかも屋内で靴を履いていても別段違和感を感じないのだろう。
ここには日の光そのものがほとんど入ってこない。何かのホラー映画にでも出てきそうな大きな屋敷といった感じだろうか。いや…
僕はとりあえず別荘の中を散策してみることにした。幸いにも彼女たちの気配は感じない。
内部は広い。しかしどの部屋を覗いてみても光がなかなか入ってこない。違和感を覚えて僕は天井を見上げる。僕がここに屋敷とも少し違ったイメージをもった理由が分かった。ここには窓がほとんど取り付けられていないのである。どの部屋を見ても、あるのは天井高くにある小さな窓だけだ。
――監獄…
寒気を覚える。
外へと繋がっていると思われる扉はいくつか見つけたのだが、いずれも押しても引いてもビクともしない。おそらく外から閂でもかけられているのだろう。
二階で一つだけ見つけた開く窓は、僕が背伸びをしてようやく届く位置にあった。ぶらさがって何とか身体を持ち上げてはみたが、すぐにそこから出られないことが分かった。窓の下は一面の鉄柵がこちらを向いてそびえ立っていたのだ。飛び降りたら当然命はない。恐怖心がさらに増大する。他にも覗いた部屋の小さな窓に力を込めてみるが、どこも開く様子はない。どうやら完全に閉じ込められてしまっているようである。
――畜生…冗談じゃない。
僕は必死になって外へ通じる扉を探した。しかし結果は僕の期待を悉く裏切った。
…!!…
ふと人の気配を感じてドアの前で立ち止まる。扉の向こうの部屋からかすかな話し声が聞こえてくる。
僕は無意識に影を潜めた。きっとあの双子が会話しているに違いない。
そっと扉に顔をはり付け、耳を欹てる。
――許せないよね…
――うん。
――どうやって思い出させよっか。
――そうだね…
かすかに洩れてくる声。二人の声だ。僕の話をしていることはまず確実だろう。僕の恐怖心がますます肥大する。
――何故なんだ…。何故、彼女たちは僕のことを知っている? 何故、僕を狙う?
考えても何も浮かんでこない。それ以前に、彼女たちはきっと間もなく僕のいるはずの場所にやって来るだろう。見つかってはまずい。
僕はすぐに部屋を離れようとした。しかし、次に内部から聞こえてきた音は僕の予想とは大きくかけ離れたものであった。僕の身体が凍りつく。あくまで本能的な欲望が芽を出し、僕を再びドアの前に引き止めていた。
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