{
2007/07/09(月) }
僕たちは喫茶店を後にした。
大学内のマドンナとも言えるこの二人と自分が時を一緒にしていることの優越感と罪悪感が同時に僕に降りかかってくる。
当の二人はと言えば…僕のそんな気持ちなどには気付いていないように嬉しそうに両側から腕を組む。
何という至福の瞬間だろう。僕は憧れの二人に囲まれてすっかりいい気分になっていた。
「あの、浜木さんはこれからまた講義とかあるんですか?」
「あ、いや…別にないけど。」
嘘をつく。こんなに素晴らしい時間を自ら放り出す手はない。僕の言葉に二人はまた歓喜の声を上げる。
「じゃあちょっとドライブにでも行きませんか?」
「うんうん。浜木さんともっとお話したいしね。」
それを断る理由など僕にはなかった。二人が車を停めてあるという大学内の駐車場まで足を運ぶ。
きつめの瞳の子が車のエンジンをかけ、おもむろにトランクを開ける。その行為が何となく気になった。
――何か入っているんだろうか?…
それとなくトランクに近付き、そっと覗き込んでみる。何も入っていない。
ふと後ろをふり返ると、もう一人のカールの子がにっこりと笑顔を僕に向けていた。
――え?…
……!!……
一瞬の出来事だった。彼女は笑顔のまま肘を目一杯後ろに引いたかと思うと、渾身の力で僕の腹を殴りつけた。息が止まる。
「うっ!……」
僕の腹にめり込んだ拳を、まるで内臓を抉るようにぐぐっと捻る。開いた口から僕の舌が自然と垂れた。
遠のいていく意識の中、カールの子の不敵な笑みが目の端に映った。
次に気付いた時は、トランクの中にいた。
車中、つい眠ってしまっていたらしい。目が覚めると知らない部屋に寝かされていた。この部屋には光がほとんど入ってこないため、時の頃は全く想像できなかった。
――逃げなければ!
とっさにそう思った。身の危険を感じる。彼女たちは、何でこんなことを…
考えていても何も始まらない。とにかくここから逃げなければ…
手足にはまだ縄が施されていた。長い間血が通っていなかったためか、ひどく痺れている。
「うぐっ…」
と思わず呻く。殴られた腹にまだ痛みが残っていた。
込み上げてくる吐き気に耐えながら必死で身を捩り、なんとか縄を解く。口に貼られたガムテープを破る。しかし手足や口の自由は、決して僕自身の自由を保証してくれるものではなかった。
薄暗い部屋の中をうろつく。何とか手探りでドアを見つけると、開けてそこから飛び出した。
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大学内のマドンナとも言えるこの二人と自分が時を一緒にしていることの優越感と罪悪感が同時に僕に降りかかってくる。
当の二人はと言えば…僕のそんな気持ちなどには気付いていないように嬉しそうに両側から腕を組む。
何という至福の瞬間だろう。僕は憧れの二人に囲まれてすっかりいい気分になっていた。
「あの、浜木さんはこれからまた講義とかあるんですか?」
「あ、いや…別にないけど。」
嘘をつく。こんなに素晴らしい時間を自ら放り出す手はない。僕の言葉に二人はまた歓喜の声を上げる。
「じゃあちょっとドライブにでも行きませんか?」
「うんうん。浜木さんともっとお話したいしね。」
それを断る理由など僕にはなかった。二人が車を停めてあるという大学内の駐車場まで足を運ぶ。
きつめの瞳の子が車のエンジンをかけ、おもむろにトランクを開ける。その行為が何となく気になった。
――何か入っているんだろうか?…
それとなくトランクに近付き、そっと覗き込んでみる。何も入っていない。
ふと後ろをふり返ると、もう一人のカールの子がにっこりと笑顔を僕に向けていた。
――え?…
……!!……
一瞬の出来事だった。彼女は笑顔のまま肘を目一杯後ろに引いたかと思うと、渾身の力で僕の腹を殴りつけた。息が止まる。
「うっ!……」
僕の腹にめり込んだ拳を、まるで内臓を抉るようにぐぐっと捻る。開いた口から僕の舌が自然と垂れた。
遠のいていく意識の中、カールの子の不敵な笑みが目の端に映った。
次に気付いた時は、トランクの中にいた。
車中、つい眠ってしまっていたらしい。目が覚めると知らない部屋に寝かされていた。この部屋には光がほとんど入ってこないため、時の頃は全く想像できなかった。
――逃げなければ!
とっさにそう思った。身の危険を感じる。彼女たちは、何でこんなことを…
考えていても何も始まらない。とにかくここから逃げなければ…
手足にはまだ縄が施されていた。長い間血が通っていなかったためか、ひどく痺れている。
「うぐっ…」
と思わず呻く。殴られた腹にまだ痛みが残っていた。
込み上げてくる吐き気に耐えながら必死で身を捩り、なんとか縄を解く。口に貼られたガムテープを破る。しかし手足や口の自由は、決して僕自身の自由を保証してくれるものではなかった。
薄暗い部屋の中をうろつく。何とか手探りでドアを見つけると、開けてそこから飛び出した。
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