{
2007/07/08(日) }
周りの視線が痛い。
あれほど取り巻きの多い彼女たちと一緒に僕はここにいる。周りから見れば、両手に花を絵に描いたようなものだ。当然と言えば当然のことである。
大学近くの喫茶店だということもあり、僕たち以外の客も皆、学生であった。
四人掛けのテーブル席で彼女たちの向かいに座り、コーヒーを注文する。彼女たちの分も、と思ったが二人はそれぞれ自分でティーセットを店員に頼んでいた。
それにしても見れば見るほどそっくりだ。しかしこうやって間近で見ていると少しずつその違いも分かってくる。髪の色はほとんど同じだが、向かって右側の子は若干毛先が内巻きにカールしていた。身長は座高から見て左の子の方が少し高い。左側の子が少しきつめのアーモンド型の瞳であるのに対して、右側のカールの子は優しそうな瞳をしている。筋の通った鼻梁、艶やかな唇は二人に共通していた。
こんなに間近で二人をじっくり見られるなど、夢にも思わなかった。再び胸が高鳴る。
「ごめんなさい。急にお付き合いいただいて。」
向かって右側のカールの子がさりげなく僕に言う。
「本当に大丈夫でした?」
左側のきつめの瞳の子がそれを受け、加えて質問する。
「あ、あぁ…うん。」
気のない返事をする。愛想笑いの一つもできないほど、僕は緊張していた。まだ狐につままれたような気分だ。これは何かの余興だろうか。ひょっとして罰ゲームか何かか?…そんな気さえしてくる。
「あー、でも本当に同じ大学まで来ちゃったねー。」
「うん。こうやって会うこともできたし。」
彼女たちの会話の内容が頭に入ってこない。僕は戸惑いはもちろんのこと、彼女たちの美しさに翻弄されて頭がぼうっとしていた。気が付くとつい見惚れてしまっている自分に気付く。
店員が注文の品を持ってくるまで、僕はこれが現実であるということすら忘れそうになっていた。
すぐさまコーヒーを一口啜る。同時に彼女たちも紅茶に口をつけた。
少しずつ落ち着いてきた僕は、やっとこの状況を受け止められるようになってきていた。しかし、これが現実であるからこそはっきりさせておかなければならないことがあった。
「あの…」
セットのケーキに手を伸ばした彼女らに思いきって声をかける。
「はい。」
二人は元気に返事をした。視線が同時に僕に注がれる。にこやかな表情が可愛らしい。
「どうして、僕の名前を知ってたんですか?」
ここに来るまでずっと気にかかっていたことだった。しかしその言葉を聞いた彼女たちからは、明らかな表情の変化が読み取れた。さっきまでの穏やかな表情が消え、うつむくような姿勢で動きを止める。
「覚えて…ないんですね。」
二人が同時に言葉を発する。先ほどまでとは打って変わったドスの効いた声だ。口元にうっすらと冷たい笑みを浮かべている。空気が一瞬にして凍りつくような感覚に襲われる。彼女たちの目は据わり、僕に突き刺さらんばかりの強い視線を向ける。二人とも小刻みに身体を震わせている。
「え…と…」
訳が分からずうまく言葉が出てこない。二人が目を見合わせる。その次の瞬間、二人はにっこりと僕に笑顔を向けた。さっきまでの愛らしい笑顔だ。
僕は困惑した。今のあの空気は?…僕の勘違い?…
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あれほど取り巻きの多い彼女たちと一緒に僕はここにいる。周りから見れば、両手に花を絵に描いたようなものだ。当然と言えば当然のことである。
大学近くの喫茶店だということもあり、僕たち以外の客も皆、学生であった。
四人掛けのテーブル席で彼女たちの向かいに座り、コーヒーを注文する。彼女たちの分も、と思ったが二人はそれぞれ自分でティーセットを店員に頼んでいた。
それにしても見れば見るほどそっくりだ。しかしこうやって間近で見ていると少しずつその違いも分かってくる。髪の色はほとんど同じだが、向かって右側の子は若干毛先が内巻きにカールしていた。身長は座高から見て左の子の方が少し高い。左側の子が少しきつめのアーモンド型の瞳であるのに対して、右側のカールの子は優しそうな瞳をしている。筋の通った鼻梁、艶やかな唇は二人に共通していた。
こんなに間近で二人をじっくり見られるなど、夢にも思わなかった。再び胸が高鳴る。
「ごめんなさい。急にお付き合いいただいて。」
向かって右側のカールの子がさりげなく僕に言う。
「本当に大丈夫でした?」
左側のきつめの瞳の子がそれを受け、加えて質問する。
「あ、あぁ…うん。」
気のない返事をする。愛想笑いの一つもできないほど、僕は緊張していた。まだ狐につままれたような気分だ。これは何かの余興だろうか。ひょっとして罰ゲームか何かか?…そんな気さえしてくる。
「あー、でも本当に同じ大学まで来ちゃったねー。」
「うん。こうやって会うこともできたし。」
彼女たちの会話の内容が頭に入ってこない。僕は戸惑いはもちろんのこと、彼女たちの美しさに翻弄されて頭がぼうっとしていた。気が付くとつい見惚れてしまっている自分に気付く。
店員が注文の品を持ってくるまで、僕はこれが現実であるということすら忘れそうになっていた。
すぐさまコーヒーを一口啜る。同時に彼女たちも紅茶に口をつけた。
少しずつ落ち着いてきた僕は、やっとこの状況を受け止められるようになってきていた。しかし、これが現実であるからこそはっきりさせておかなければならないことがあった。
「あの…」
セットのケーキに手を伸ばした彼女らに思いきって声をかける。
「はい。」
二人は元気に返事をした。視線が同時に僕に注がれる。にこやかな表情が可愛らしい。
「どうして、僕の名前を知ってたんですか?」
ここに来るまでずっと気にかかっていたことだった。しかしその言葉を聞いた彼女たちからは、明らかな表情の変化が読み取れた。さっきまでの穏やかな表情が消え、うつむくような姿勢で動きを止める。
「覚えて…ないんですね。」
二人が同時に言葉を発する。先ほどまでとは打って変わったドスの効いた声だ。口元にうっすらと冷たい笑みを浮かべている。空気が一瞬にして凍りつくような感覚に襲われる。彼女たちの目は据わり、僕に突き刺さらんばかりの強い視線を向ける。二人とも小刻みに身体を震わせている。
「え…と…」
訳が分からずうまく言葉が出てこない。二人が目を見合わせる。その次の瞬間、二人はにっこりと僕に笑顔を向けた。さっきまでの愛らしい笑顔だ。
僕は困惑した。今のあの空気は?…僕の勘違い?…
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