{
2007/07/07(土) }
噂が広まったのは、彼女たちが僕の通う大学に入学してきて間もなくのことであった。
新入生に、外見から中身まで、まるで否の打ちどころがないほどの完璧な女の子がいるという。
芸能人にも滅多にいないような美女となると、噂にならないほうが不自然というものだろう。しかも一卵性双生児で、二人ともが男たちの心を虜にするには十分な美貌とオーラをもっているらしい。
そんなわけで、彼女たちの噂が僕の耳に入るまでそれほど時間はかからなかった。美人双子姉妹。それだけでもちろん他の学生らが放っておくわけはない。
僕も構内で少しだけ見かけたことがある。二人とも背が高く、すらりとした肢体につんと前に突出した魅力的な胸。ブラウンの髪に突き刺すような強い瞳。アクティブな容姿とは裏腹に清楚なイメージを漂わせる物腰の柔らかさと人当たりの良さを持ち合わせていた。
講義の合間には必ずと言っていいほど男子学生の群れが彼女らを取り囲んでいた。僕もまた見たいと何度か休憩時間に足を運んだこともあった。だが、常に取り巻きに囲まれた彼女たちの姿はあれ以来少しも見ることができなかった。何度かこっそりと講義中に彼女らの姿を覗きに行ってもみた。しかし、いずれも失敗に終わった。やはり高嶺の花に近付くのは容易ではないらしい。
結局その後も、僕は彼女たちの姿を見ることはできなかった。
そんな僕の目に彼女たちが再び映ることになったのは、彼女たちが入学してきてから約二ヶ月ほど経った頃だった。
通う都合を考えて大学のすぐ側の定食屋でバイトをしていた僕は、その日は早上がりで講義までの時間が空いてしまっていた。そのため、仮眠室代わりに使うつもりで普段はめったに行かない図書室に行った。彼女たちをたまたま目撃したのはまさにその時であった。図書室の座席に隣り合わせに座った二人は、とても輝いて見えた。
胸が高鳴る。あれほどまで思っていた二人を、まさかこんなところで見ることになるとは夢にも思わなかったからだ。でもこれはチャンスだ。幸い周りには取り巻きの姿も見えない。今しかない。
僕は勇気を振り絞って彼女らに近付いた。
「あの…」
彼女たちの視線がふっと僕に向く。僕はどんな顔をしているだろう。想像したくもない。
「はい。」
貫くような魅惑的な瞳だ。彼女たちのあまりの美しさに僕はその後の言葉が続かなかった。自分から話しかけておいて何とも情けないやつだ。自責の念を強くする。しかし彼女たちからは思いもよらぬ言葉が返ってきた。
「浜木さん。」
突然名前を呼ばれて僕は呆気にとられた。言葉を失う。
「やっと会えたね。」
何が何やら分からない。何故…名前を?
「今、お時間ありますか? せっかくだから、ね。」
「そうだね。いいですか? 浜木さん。」
とっさの出来事に、僕の思考は既に停止してしまっていた。
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新入生に、外見から中身まで、まるで否の打ちどころがないほどの完璧な女の子がいるという。
芸能人にも滅多にいないような美女となると、噂にならないほうが不自然というものだろう。しかも一卵性双生児で、二人ともが男たちの心を虜にするには十分な美貌とオーラをもっているらしい。
そんなわけで、彼女たちの噂が僕の耳に入るまでそれほど時間はかからなかった。美人双子姉妹。それだけでもちろん他の学生らが放っておくわけはない。
僕も構内で少しだけ見かけたことがある。二人とも背が高く、すらりとした肢体につんと前に突出した魅力的な胸。ブラウンの髪に突き刺すような強い瞳。アクティブな容姿とは裏腹に清楚なイメージを漂わせる物腰の柔らかさと人当たりの良さを持ち合わせていた。
講義の合間には必ずと言っていいほど男子学生の群れが彼女らを取り囲んでいた。僕もまた見たいと何度か休憩時間に足を運んだこともあった。だが、常に取り巻きに囲まれた彼女たちの姿はあれ以来少しも見ることができなかった。何度かこっそりと講義中に彼女らの姿を覗きに行ってもみた。しかし、いずれも失敗に終わった。やはり高嶺の花に近付くのは容易ではないらしい。
結局その後も、僕は彼女たちの姿を見ることはできなかった。
そんな僕の目に彼女たちが再び映ることになったのは、彼女たちが入学してきてから約二ヶ月ほど経った頃だった。
通う都合を考えて大学のすぐ側の定食屋でバイトをしていた僕は、その日は早上がりで講義までの時間が空いてしまっていた。そのため、仮眠室代わりに使うつもりで普段はめったに行かない図書室に行った。彼女たちをたまたま目撃したのはまさにその時であった。図書室の座席に隣り合わせに座った二人は、とても輝いて見えた。
胸が高鳴る。あれほどまで思っていた二人を、まさかこんなところで見ることになるとは夢にも思わなかったからだ。でもこれはチャンスだ。幸い周りには取り巻きの姿も見えない。今しかない。
僕は勇気を振り絞って彼女らに近付いた。
「あの…」
彼女たちの視線がふっと僕に向く。僕はどんな顔をしているだろう。想像したくもない。
「はい。」
貫くような魅惑的な瞳だ。彼女たちのあまりの美しさに僕はその後の言葉が続かなかった。自分から話しかけておいて何とも情けないやつだ。自責の念を強くする。しかし彼女たちからは思いもよらぬ言葉が返ってきた。
「浜木さん。」
突然名前を呼ばれて僕は呆気にとられた。言葉を失う。
「やっと会えたね。」
何が何やら分からない。何故…名前を?
「今、お時間ありますか? せっかくだから、ね。」
「そうだね。いいですか? 浜木さん。」
とっさの出来事に、僕の思考は既に停止してしまっていた。
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