[18禁] 逆リョナ小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
 外はもうすっかり暗くなってきていた。赤々とした光を零していた窓からはすでに光は入ってこない。
 窓から見える暗闇が、豆電球のみで照らされたこのおぞましい空間を引き立てているようであった。
「お前…今すぐ亮平を解放しろ。」
 ドスの効いた作り声を振り絞る。状況は圧倒的に俺の方が不利であることは百も承知だ。
 しかし、断片的にでも記憶を取り戻した俺にとって、今や守るべきものの存在は明白だった。
 そして何より、この得体の知れない女に対する憎悪は、これまで味わったこともないほどの激しい怒りとなって俺を包み込んでいた。
「その調子だと、まだ完全には思い出してないみたいね。」
 女はそんな俺の肩を透かすように、冷静な声でそう呟く。
「何が目的なんだ。俺たちを一体…どうするつもりなんだ!」
「そうねぇ…」
 再び笑みを浮かべた女は亮平の方に向き直り、身体中を舐めるように見回した。
 怯える亮平の様子が遠目にも手に取るように分かる。
 女はふいに亮平から目を逸らすと、部屋の隅へと歩き始めた。そしてフックに吊り下げられているジャックナイフを手に取る。
 まさか…まさか…
 女は躊躇無くそのナイフを亮平の肩に突き刺した。亮平の絶叫が部屋中に響き渡る。
「ふふ…痛いね…。雪乃の痛み…百倍にして返してあげるから…」
 なおも女はナイフで亮平の身体中を浅く、何箇所も切り刻んでいく。その度に亮平は断末魔の声をあげ続けた。
「亮平!亮平ー!!」
 友を助けようと必死でもがいてみるが、きつく縛られている縄は俺に身動きをさせてはくれない。

 …こ…こいつは…悪魔だ…

 俺の中には少しずつこの女に対する恐怖心が芽生え始めていた。しかしその反面、俺の中にはもう一人冷静な別の自分が存在していた。俺は、まだ心のどこかに何か引っかかるものを感じていたのだ。
 雪乃…雪乃…。まだ記憶がはっきりしない。心の中のモヤモヤしたものがもどかしい。
 俺は亮平が無惨に痛めつけられる姿を見ると同時に、自分の記憶とも格闘していた。
 亮平の姿は、もはや死人のようであった。身体中の力はすっかり抜け、チェーンに縛り付けられたままだらりと体をそこにぶらさげている。
 俺はこんな状況下で何もできないでいる自分を心底不甲斐なく感じていた。
 ふいに、彼女はチェーンと亮平とを縛り付けている縄をナイフで掻き斬った。そして、崩れ落ちる亮平の鳩尾に膝蹴りを思いきり突き刺した。
 下から突き上げる角度で強烈に決まった蹴りに、亮平は腹の底から込み上げる嘔吐を抑えきることができなかったようであった。亮平の口を塞いでいたガムテープは、とうとう亮平が吐き出した血の混じった吐瀉物によって勢いよくはがれた。
 口から血を大量に垂れ流しながら、亮平は腹を抱えて地面を転げまわった。

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