{
2007/05/07(月) }
次々と姿を現すふすまを慎重に一つ一つ開けていく。
一際広い部屋に着くと、その奥には大きなふすまが一つ見えた。
壁を背に、慎重に肩でふすまを少しだけ開ける。中には大名の姿がはっきりと見えた。
瞑想するように、床に座って座禅を組んでいる。周りに護衛らしきものの姿はなかった。
…今が…好機…
椿は音を立てないよう静かにふすまを開けた。
長く伸びた髭…貫禄を漂わせるがっちりとした風貌…。
甲冑を身に纏った憎き大名が、今まさに椿の目前にその姿を現した。
「…待っていたぞ、忍び。」
目を閉じたまま、落ち着いた様子で声をかける。椿は押し黙り、じっと塚本を注視していた。
「誰の依頼だ?…大名の菅原か?…それとも侍大将の伊丹か?」
塚本はニヤリと口の端を持ち上げた。
「まぁ、素直に答えるわけはないよのう。」
そう言って塚本は声を上げて笑った。
椿は意を決し、小刀を片手に塚本に跳びかかった。目を開けた塚本はするりとその身をかわす。
さらに振り下ろされる椿の小刀を、太刀の鍔で弾き返す。
「潮鳴の里の仇!今こそ思い知れ!!」
「潮鳴? 覚えておらんな。どこだそれは?」
椿は怒りのあまり、一瞬我を忘れた。
…この男…絶対殺してやる…
勢いよく塚本に跳びかかり、喉元を掴んで壁に叩きつける。
「ほぉ…おぬし…少しはやるようだな…」
塚本は太刀の柄で椿の鳩尾を突く。
「うっ…」
椿がその手を緩めた瞬間、塚本は素早く背後に回りこみ、椿の髪を掴んで太刀を首の後ろに突きつける。
憎き…憎き潮鳴の仇…塚本!…。
椿は身体を斜めに倒し、後ろの塚本に足払いを見舞った。たまらず塚本は倒れ込む。
椿がその隙をついて小刀を振り下ろす。対する塚本も負けじと太刀を構えてそれを受け止める。
激しい鍔競り合い…。互いの体力がじわじわと削られていく。
時に傷つけ、時に傷つけられ…両者は互いに一歩も引かずに攻防を続けた。
「おぬし…名を何と申す?」
「…私は椿…あなたの手で滅びた…潮鳴の忍びよ!!」
「…椿か…覚えておこう…」
塚本の手の力が一瞬緩んだのを椿は見逃さなかった。太刀を握ったその手を勢いよく蹴り上げると、身を低くして体勢を整えた。
弾みで落ちた太刀を拾おうと伸ばした塚本の手を、椿が踏みつける。
「ぐぬぅ…おのれ…」
椿は動きを封じた塚本を見下ろした。
塚本への憎しみが次から次へと椿に降りかかってくる。
椿はそれを跳ね除けるように、倒れ込んだ塚本の腹を渾身の力を込めて蹴り上げた。
「ぐふうううっ!!」
手首を踏みつけられているため、その衝撃の全てが腹に叩き込まれる。
塚本は血を吐き、再び仰向けになって倒れ込んだ。
椿はすかさずその腹に腰を降ろすと、片手で髪を掴み、もう片方の手で小刀を構えた。
「覚悟は…いい?…」
「お…お見事…」
勢いよく横に引かれた椿の小刀は、塚本の喉元を鮮やかに掻き斬った。
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一際広い部屋に着くと、その奥には大きなふすまが一つ見えた。
壁を背に、慎重に肩でふすまを少しだけ開ける。中には大名の姿がはっきりと見えた。
瞑想するように、床に座って座禅を組んでいる。周りに護衛らしきものの姿はなかった。
…今が…好機…
椿は音を立てないよう静かにふすまを開けた。
長く伸びた髭…貫禄を漂わせるがっちりとした風貌…。
甲冑を身に纏った憎き大名が、今まさに椿の目前にその姿を現した。
「…待っていたぞ、忍び。」
目を閉じたまま、落ち着いた様子で声をかける。椿は押し黙り、じっと塚本を注視していた。
「誰の依頼だ?…大名の菅原か?…それとも侍大将の伊丹か?」
塚本はニヤリと口の端を持ち上げた。
「まぁ、素直に答えるわけはないよのう。」
そう言って塚本は声を上げて笑った。
椿は意を決し、小刀を片手に塚本に跳びかかった。目を開けた塚本はするりとその身をかわす。
さらに振り下ろされる椿の小刀を、太刀の鍔で弾き返す。
「潮鳴の里の仇!今こそ思い知れ!!」
「潮鳴? 覚えておらんな。どこだそれは?」
椿は怒りのあまり、一瞬我を忘れた。
…この男…絶対殺してやる…
勢いよく塚本に跳びかかり、喉元を掴んで壁に叩きつける。
「ほぉ…おぬし…少しはやるようだな…」
塚本は太刀の柄で椿の鳩尾を突く。
「うっ…」
椿がその手を緩めた瞬間、塚本は素早く背後に回りこみ、椿の髪を掴んで太刀を首の後ろに突きつける。
憎き…憎き潮鳴の仇…塚本!…。
椿は身体を斜めに倒し、後ろの塚本に足払いを見舞った。たまらず塚本は倒れ込む。
椿がその隙をついて小刀を振り下ろす。対する塚本も負けじと太刀を構えてそれを受け止める。
激しい鍔競り合い…。互いの体力がじわじわと削られていく。
時に傷つけ、時に傷つけられ…両者は互いに一歩も引かずに攻防を続けた。
「おぬし…名を何と申す?」
「…私は椿…あなたの手で滅びた…潮鳴の忍びよ!!」
「…椿か…覚えておこう…」
塚本の手の力が一瞬緩んだのを椿は見逃さなかった。太刀を握ったその手を勢いよく蹴り上げると、身を低くして体勢を整えた。
弾みで落ちた太刀を拾おうと伸ばした塚本の手を、椿が踏みつける。
「ぐぬぅ…おのれ…」
椿は動きを封じた塚本を見下ろした。
塚本への憎しみが次から次へと椿に降りかかってくる。
椿はそれを跳ね除けるように、倒れ込んだ塚本の腹を渾身の力を込めて蹴り上げた。
「ぐふうううっ!!」
手首を踏みつけられているため、その衝撃の全てが腹に叩き込まれる。
塚本は血を吐き、再び仰向けになって倒れ込んだ。
椿はすかさずその腹に腰を降ろすと、片手で髪を掴み、もう片方の手で小刀を構えた。
「覚悟は…いい?…」
「お…お見事…」
勢いよく横に引かれた椿の小刀は、塚本の喉元を鮮やかに掻き斬った。
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