{
2007/05/04(金) }
…!!…
突然のことだった。提灯の灯りがぱっと目の前を照らしたかと思うと、そこに一人の武士が現れた。
「何者!!」
刀を抜き、警戒しながら椿に近付いてくる。椿は手にした小刀を素早く隠すと、武士に近付いていった。
「失礼申し上げます。嵯峨原城の大名殿に呼ばれ、ここまで馳せ参じました。」
怪訝な顔をして武士が尋ねる。
「そなたが?…そんな話は…それに、なにぶんこのような夜更けに…」
椿は途惑う武士の足元に跪き、真剣な瞳でじっと相手の目を見つめた。
切れ長で水が滴るような瞳だと言われたこともあるその両の目は、椿の武器の一つだ。
それに、すらりと伸びた手足も。柔らかな胸も。全てが男を惹き付けることを椿は知っていた。
武士は案の定、椿の身体から目を離せなくなっているようだった。
男の喉がゴクリと鳴った。
椿はその一瞬の隙をつき、武士に身体を摺り寄せた。武士の刀の位置をしっかりと確認する。
とっさに椿は武士の口を押さえ込んだ。驚いた武士が力いっぱいもがく。
椿は武士の腹に膝蹴りを入れ、蹲ったところを足で押さえつけた。それと同時に、手に持った鎖を武士の首に巻きつけた。
「…これでお別れね…」
椿は足で武士の身体を押さえつけたまま、両手で持った鎖を思いきり引き上げた。
海老反りの形で絞め上げられた武士は、声もなく絶命した。
最上部は近い。直感的にそう感じていた。警戒にあたる武士の声は全く聞こえてこない。しかし、その代わりに痛いほどの殺気が漂ってくる。
!!!!
首元を光るものが掠めた。
…小太刀?…忍び?…
椿は警戒を強め、辺りを見回す。
…あ…あ!…
椿は動揺を隠すことができなかった。しかしそれは相手にとっても同じことであったようだった。
「はくしん!」「つばき!」
同時に言葉を発する。
「お…お前…どうしてここ…あっ!おい!」
椿はその場から走って逃げた。
…どうして?…どうして伯真が…
しかし椿にはその答えが分かっていたのだ。分かっていたからこそ、顔を合わせることができなかった。
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突然のことだった。提灯の灯りがぱっと目の前を照らしたかと思うと、そこに一人の武士が現れた。
「何者!!」
刀を抜き、警戒しながら椿に近付いてくる。椿は手にした小刀を素早く隠すと、武士に近付いていった。
「失礼申し上げます。嵯峨原城の大名殿に呼ばれ、ここまで馳せ参じました。」
怪訝な顔をして武士が尋ねる。
「そなたが?…そんな話は…それに、なにぶんこのような夜更けに…」
椿は途惑う武士の足元に跪き、真剣な瞳でじっと相手の目を見つめた。
切れ長で水が滴るような瞳だと言われたこともあるその両の目は、椿の武器の一つだ。
それに、すらりと伸びた手足も。柔らかな胸も。全てが男を惹き付けることを椿は知っていた。
武士は案の定、椿の身体から目を離せなくなっているようだった。
男の喉がゴクリと鳴った。
椿はその一瞬の隙をつき、武士に身体を摺り寄せた。武士の刀の位置をしっかりと確認する。
とっさに椿は武士の口を押さえ込んだ。驚いた武士が力いっぱいもがく。
椿は武士の腹に膝蹴りを入れ、蹲ったところを足で押さえつけた。それと同時に、手に持った鎖を武士の首に巻きつけた。
「…これでお別れね…」
椿は足で武士の身体を押さえつけたまま、両手で持った鎖を思いきり引き上げた。
海老反りの形で絞め上げられた武士は、声もなく絶命した。
最上部は近い。直感的にそう感じていた。警戒にあたる武士の声は全く聞こえてこない。しかし、その代わりに痛いほどの殺気が漂ってくる。
!!!!
首元を光るものが掠めた。
…小太刀?…忍び?…
椿は警戒を強め、辺りを見回す。
…あ…あ!…
椿は動揺を隠すことができなかった。しかしそれは相手にとっても同じことであったようだった。
「はくしん!」「つばき!」
同時に言葉を発する。
「お…お前…どうしてここ…あっ!おい!」
椿はその場から走って逃げた。
…どうして?…どうして伯真が…
しかし椿にはその答えが分かっていたのだ。分かっていたからこそ、顔を合わせることができなかった。
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