[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 この連続集団暴行事件は、今や紙面のトップを飾るほどになっていた。
 一昨日は、この街で割と名の知れた地主の息子が殺された。昨日はどこぞの大学生だったか。そして今日の被害者は、どうやら有名流派の道場主らしい。犯行手口や目撃証言などから、同一犯と見てまず間違いないそうだ。いずれも、凶器を使った形跡は見当たらないとの発表だった。
 年若い女の子のグループによる犯行。しかも、高校の制服を身に着けていたとの目撃情報もあった。
 金品狙いとは限らない。よって、金持ち狙いだけでもない。弱者狙いだけでもない。が、そうでないとも言えない。俺のようなごく普通のサラリーマンが襲われることもある。この無差別な対象ゆえか、捜査は世間が思っている以上に難航していた。まして、今日の道場主もそうだが、腕の立つ格闘家が、たかだか二、三人の女性に殴る、蹴るなどの暴行を受けて死亡するなどというショッキングな事件は、なかなかお目にかかれない話題性の高いネタだ。マスコミは連日このテの報道を続けるし、警察は犯人逮捕に躍起になる。それは当然のことだと思えた。
 これだけ目撃証言があるにもかかわらず、未だ犯人グループは捕まっていない。

「あ」
 思わず声を漏らしてしまった。考えることに浸っている間に、脇の下に挟まれていた体温計が音を鳴らしたためだ。白鳥先生が体温計を片手に記録を取る。
 ――意味など、無いのに。
「はぁ……」
 ため息のような声を出す。ため息は出ないから、声を出した。今はもう動かない己の全身を視線で撫で、それからゆっくりと机の上に移動させる。そこに置いてある健康保険証を見るためだった。白鳥先生はその表情に困惑の色を湛え、さりげなくその身体で、俺の視界を遮ったようだった。
「仕事、つらいですか?」
 問うてみた。彼女は答えない。
「せめてこういうことくらい、看護師さんに頼んでも」
 やはり、彼女は黙っている。そんなに俺と一緒にいたいのかとからかってもみたが、反応は変わらない。その代わり、彼女の動きもピタリと止まったままだ。再び、
「今日は、いよいよ――」
「やり甲斐はあります!」
 連ねようとした言葉は、拒絶するような強い語勢に遮られた。
「じゃあ……」
 あらためて、落ち着いた口調で白鳥先生に声をかける。腹の探り合いのような、まどろっこしいやり取りに、うんざりしてきたからだった。
「そろそろ健康保険証、取ってもらえますか?」
「――っ。……」
「お願いします」
 彼女はわずかに躊躇したようだったが、
「…………はい」
 と、震える手で机の上に手を伸ばした。健康保険証を俺に手渡す。
 裏面に貼ってあるのは、臓器提供意思表示シール。
 それを見ると、不思議と穏やかな気分になれた。

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