[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 「……みつけた」

 その可憐な声が、誠一に絶望を告げた。
 恐怖のあまり、振り返ることもできない。が、誰であるかは見ずともわかる。
 天使のように軽やかで、少し舌足らずな喋り方。可愛らしさを纏った甘い声が、誠一の耳を柔らかく、冷たく撫でた。
「ひっ……、ひ……」
 攣ったような誠一の微声が、夜風の音と重なる。
「どうして――?」
 ――逃げた理由。
 怖かったからだ。愛華のまっすぐな瞳と、躊躇のない行為。次々と頭を過る光景が誠一の恐怖心を膨らませ、それに順ずるように、背後にある彼女の影もまた、大きな、大きな存在として彼の心の中に巣食った。
「た、助けて……許し――」
 舌も引かぬ内に、誠一は駆け出した。が、背中を蹴り飛ばされ、地に額を打つ。そして、
「っが、あああっ!」
 硬いシューズに、左腕を踏み押さえられた。
 身を翻し、彼女は誠一を頭上から見下ろした。誠一がゆっくりと視線を上げる。
 相変わらず、愛華は美しかった。腕に乗せたシューズから、そよぐ風に靡くワンピースが覗かせる下着まで――そのすらりと伸びた綺麗な脚のラインは、是非にも誠一を魅了する。彼を見下ろす愛華の瞳は黒く艶やかに彩られ、しっとりとした潤いを保っていた。もちろん、闇に覆われたこの場だ。彼には、愛華の表情までを窺い知る術はなかった。
「痛い?」
 答えるまでもなかった。答える余裕すらなかった。
「でも、嬉しいんだよね?」
 否定したい自分と、否定できない自分。徐々にその足に体重をかけ始めた愛華を前に、
「ぐ、……い、あああ……」
 誠一はただ、呻いて応えるしかなかった。
「さっき、もう訊かないって決めた……」
 彼女の言う、誠一の嘘。彼女の考える、大人の思考の複雑さ。事情。嘘だという自覚がないのかもしれないという、彼女の推測。それら全てを含んだ言葉だったのだろう。
「私は、喜んでくれるって信じてるから」
 言うが早いか、愛華は誠一の腕を捕らえていた足を高く持ち上げ、素早く、その足を同所に叩き落とした。

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コメント
この記事へのコメント
最初に書かれていた回想の場面につながりましたね。とても面白いです。
2011/05/12(木) 23:03 | URL | ひらき #k62HVzjU[ 編集]
嬉しいです。
ひらきさん、こんばんは。
リアルタイムでのお付き合い、ありがとうございます。
楽しんでいただけて嬉しいです。完結まで、どうぞよろしくお願いいたします。
2011/05/13(金) 17:56 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
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