[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 浴室のドアが、カタリと開いた。
 手足を濡らした愛華。そのハリツヤのある肌が一段と輝いて見えたのは、微細にはじかれた水が照明の光を反射しているためだろうか。彼女はすいとバスマットの上に立ち、その手で滴を払っていた。
 誠一は、浴室に入る前とはまた違った魅力を湛える彼女の姿態や、先ほどの彼女の――自分も含めた――変貌に、ひどく狼狽していた。その面妖な心持ちをなんとか取り払おうと、彼は愛華に、
「ほら」
 と、努めて沈着に声をかけて、タオルを手渡す。が、
「ありがとう」
 そう礼を言う愛華の声は清新そのものであり、誠一は拍子抜けしてしまう。
 彼は度々、娘をひとりの女性として意識してしまっているのだ。彼自身もまた、そのことに気付いていた。不行跡な己を恥じ、自責の念を強くする。しかし、
 ――愛華。さっきのは……、子どもの悪戯、だったんだよな?
 それでも彼女の胸中となると、どうしても臆断の域を出ない。
 娘が父親に甘えてちょっかいを出す――それ自体は、どこにでもある話だろう。しかし、誠一自身は、どうも釈然としない。違和感があるのだ。得体の知れない居心地の悪さ。
 誠一の抱いたその感覚は、
「――っ!」
 彼の杞憂で終わることなく、あまりに唐突に肯んじられることになった。
「ティッシュ……、ある?」
 愛華の声色が低く、艶めかしい響きを帯びていると感じたのは、誠一の気のせいだったのだろうか。事の始終を見ていた彼には、言葉の意味がすぐにわかった。
 蛾だった。
 宙に舞うそれを、たった今、愛華は素手で捕らえた。身体、いや、眉ひとつ動かさずに、腕だけをしならせて。それだけでも、誠一の身を凍りつかせるには十分過ぎるほどだった。だが、その後の彼女の挙動は、なおいっそう、誠一を震撼させた。
 愛華は、誠一から受け取ったティッシュの上に握った手をかざし、
「ほら」
 と、手の中にあるソレを貪婪にすり潰してみせた。
 誠一は言葉を失い、うろたえる。血の気が引き、足が竦む。
 愛華の瞳が、俄かに輝きを増した。彼女は口元を弓なりに曲げ、小首を傾げて誠一の顔をじっと覗き込む。
 さっきまで蛾だったはずの粒粉が、パラパラとティッシュの上に注がれていった。

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