Black Onyx [ブラックオニキス];2014/ 05の記事一覧

ここでは、Black Onyx [ブラックオニキス]での 2014年 05月 に掲載した記事を表示しています。
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「彼女のもつ内外の魅力を詳細に描けない!」
よく考えれば、このカラクリでは当たり前のことなんですよね。
(もちろん、上手な作者さんであれば他愛ないことなのだと思いますが。)
私のレベルでは……(汗) いやぁ、参りました。
それでも、描きたいものは描きたい。その気持ちだけで、なんとか仕上げました。

M男クンとはコンナモノ。
ソウ言い放ち、ソレを否定してくれるようなツヨイ子を探シテみたくなり、ほらヤッパリねと苦笑スル。
そんなイジワル心が芽を出して、この春もマタ、こうしてひとつの作品を咲カセました。

ふと――
「長く続けてきたものだなぁ。」
と。
温かいような、切ないような、気持ちいいような、懐かしいような、そんな様々な感情を覚える瞬間が、多々あります。
しつこく、何度も申し上げていることですが、ご来訪くださる読者様方のお陰です。

「やめないでほしい!」
メールを下さった方、ありがとうございます。
こんな挨拶をいつも書いているから、誤解の原因のひとつになってしまうのでしょうね。
まだまだ、現役をやめるつもりなどさらさら無い管理人です!
これからも、男性たちを可哀想な目に遭わせていく所存です!
今後とも、Black Onyx [ブラックオニキス]を、どうぞよろしくお願いいたします。

本作もまた、ご覧くださった方々に深く感謝申し上げます。

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 女は微笑を浮かべた。
 眼前にある男の首を掴み、身体ごと壁にぐいと押し付ける。
 男にとって我が家の壁は、ひどく背中に冷たかった。喉を圧迫する力がじわじわと強くなっていく。苦しい。それでも彼に許されているのは、ただ受け入れることだけだった。なぜなら彼が、彼女と主従関係を結んでいる雄奴隷だったからだ。男は彼女を主様と呼び、女は彼を――尤も呼ぶことさえほとんどなかったが――雄と呼んでいた。
「うぅ……」
 男が呻き声をもらす。それを聞いた女は「ふふ」と声をあげ、さらに力を強めた。セミロングに整えられた彼女の髪は明るめに染められ、首筋を包むようにカールしていた。小首を傾げて男を見つめた際に、わずかにその髪が乱れた。それをかきあげると、薄い桃色のグロスをひいた唇を頬に這わせ、すいと男に身体をすり寄せる。それは、彼の反応を見るためだった。
 女の着ているギンガムチェックのオフショルダーワンピースは、両肩の出る大きなネックラインが特徴だ。ストッキングやソックスの類を何も着けていないため、下半身は生肌の脚線や紅いペディキュアの施された爪先が露わになっている。つまり、男が視線を落とせば彼女の胸は容易に覗けるし、足脚もまた見放題なのだ。男の視線の先というものは、男が考えている以上に素直でわかりやすい。彼女の行為は、それを知ってのことだった。だが、彼はそれをしなかった。忠誠心ゆえか苦しみゆえかは彼女にも即断できぬことではあったが、少なくとも男に邪な気持ちが見られなかった――それだけで、彼女は満足だった。
「ぐ……、っぐ……」
 やがて、男の身体が痙攣を始めた。と――、女はそこで一度、掴んでいた手を放し、腕を首に巻き付ける。チョークスリーパーだ。同時に胴体は彼女の両足に絡め取られ、彼の身体はがっちりと固定されたまま床に倒された。
 男の瞳は、もはや何も見てはいない。既に意識が混濁しているのだろう。その瞳には光がなかった。彼の身体が激しく脈を打ち始める。口からは泡のようなものが溢れ、
「ぶぶ……、ぶ」
 と、声ではない音が鳴る。女はそんな彼の様子を見ながら哄笑した。苦しむ彼の姿を見ることは、彼女にとって最高の愉悦だった。性的な熱情を揺さぶられ、女はその力をますます強めていく。が、それはあくまでもゆっくりと、じわじわと実行されていった。陰湿な。執拗な。そういった言葉がしっくりくる責め方だった。男は手足をばたつかせ、もがき、何かを伝えようとしているようだ。しかし、
「ご……。か、ご……」
 聞こえてくるのは、ただの音。
 女は、暴れる彼を押さえつけることを、純粋に、かつ、静かに楽しんでいた。しっかりと決まったチョークスリーパーには、ごく僅かな隙も無い。彼女は口の端を持ち上げ、冷たさを湛えた瞳で男を後頭部からじっと見下ろし、喉を潰さんばかりに絞めては時折ゆるめ、また絞めては弛め、絞めて、弛めて……、絞めて、絞めて、絞めて――
 ――数分後、音が止んだ。さらに数分後、いびきのような音が出始めた。相変わらず痙攣は続いている。さらにじわじわと絞めていくと、いびきも痙攣も、次第に小さくなっていった。
 やがて、いびきも痙攣も無くなった。
 いびきの音と同じく、呼吸の音も無くなった。
 痙攣の動きと同じく、心臓の動きも無くなった。
 雄が、雄でなくなった。
 生物ですらなくなった。

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 主様からのそのメールを凝視し、僕は唾を嚥下した。
 ――なんとなくのイメージくらいはできた?
 以降、そう続けられた言葉が、ひどく淡白に思えた。
 怖い……
 怖い。怖い……怖い!
 パソコンの画面を見ながら、僕はしばらく硬直した。唇だけが微震している。つ――、と、一筋の汗が、こめかみから頬を伝っていく。
 最初に発しようと思っていた挨拶は、何度も練習した。
『お目にかかる機会を頂けましたこと、恐悦至極に存じます』
 想像上の自分は、僕の理想とする奴隷そのものだった。
『醜く名もない下等生物の雄でございます。取り柄ひとつない汚いこの雄ですが、精一杯、奉仕させていただきます』
 だが、それら数々の想見は、
『主様。もったいないご命令をありがとうございます。舐めさせていただきます』
『ぐうっ! あぁっ……、はい、痛いです。苦しいです。ありがとうございます』
 ……瞬く間に崩れていった。
『申し訳ありません、主様! わたくしが愚かなばかりに……う、……があ!』
 そう。きっと、こんな言葉を交わす暇など無いのだ。
『あ、……あぁ、そ、そこは……は、はい……、主様、き、気持ちいいです。はい』
『主様。逝かせていただき、ありがとうございました!』
 全てが、僕のエゴだった。
 ――多分、あなたがメールを見終わる頃には、そこに着けるよ。近いしね。
 メッセージは、そう締めくくられていた。

 トントン。

 まもなく聞こえた、静かなノックの音。続けて響いた、知的な雰囲気を醸す女性の声。
 躊躇する。混乱する。おののく。
 あれほど待ち焦がれた今日。
 ここで返事をすることが、何度夢見たかわからない最高の瞬間の実現になると、わかっているはずなのに――



END

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