Black Onyx [ブラックオニキス];2011/ 12の記事一覧

ここでは、Black Onyx [ブラックオニキス]での 2011年 12月 に掲載した記事を表示しています。
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 寒い。
 波風が、さっきより泣き声を大きくしている気がした。
 早く確かめて帰らないと……、早く見つけないと……、凍え死んでしまいそう。
 埋めたのは、……このあたりだったよね。
 ……うん、そうだよね。そう。……多分。そう。うん。ねえ、そうでしょ? そうだったよね?
 掘って、掘って、どんどん掘って――
 ――いた!
 安堵の息が漏れた。表情が綻ぶのがわかる。
 カケルくん。ヒトシくん。ソウイチロウくん。
 確認作業は、とても苦しい。今日いたからといって、明日もいるとは限らない。
 万が一、誰かが掘りおこしてしまったら……。万が一、波が土ごと彼らを拐っていってしまったら……。万が一、この元彼たちが土から這い出して逃げてしまったら……
 不安は尽きない。
 妄想が膨らんでいく。胸が高鳴り、唇が震える。寒い。寒い。いるよね? あれ? さっき……、いたよね?
 ――もう一回だけ、確認しよ。
 土をかけ終わった場所を、再度、掘って、掘って、掘って――
 蛙がいた。さっきは見つからなかった。冬眠してる。迷惑な蛙。こんなところで春を迎えられたら、元彼たちが驚くだろうし、邪魔にもなるだろう。だから、きちんと踏み潰しておいた。二度と目覚めないように。何度も何度も踏んだ。中途半端では安心できないから、中身が全部出てペッタンコになるまで、丁寧に、しっかりと。
 そのときになって、はじめて自分が裸足だったことに気づく。
 ……どうして、履いてないんだっけ? あぁ、足、……こんなに汚れちゃったじゃない、このバカ蛙!……うぅ、手が冷たい。きつい。つらい。……助けてよ。ねえ、誰か。誰か!……って、誰もいないよ、当然。ははっ。
 ――あ、そうだった。カケルくん? ヒトシくん? ソウイチロウくん?
 掘って、掘って、掘って……
 ――いた! やっぱり、いた! ほら、いた! いたでしょ? ほらねっ!
 安心を胸に刻み、きちんと埋めなおす。そうしてはじめて、わたしは帰宅することができる。

 毎日、毎日、毎日、毎日、わたしは穴を掘った。掘り続けた。
 不安だから……、ただひたすら。
 ――いた!
 おとといも、昨日も、やはり元彼たちは、そこにいてくれた。
 まるで、デートの待ち合わせのように。……あ、それじゃ三股になっちゃうか、ごめんね、あははは!
 胸がすうっと軽くなる。こんなにも不安に押し潰されそうなのに、確認するだけでここまで安心できる。わたしはなんて幸せなのだろう。……とても、幸せ。幸せ者だよ。こんなに容易いもの。ね? そうだよね? わたし、幸せだよね? ねえ?
 あぁ……寒い。寒い、寒い、寒い。もう、寒いよ、うぅ……、う……うふ、ふふっ。はは、……ははっ、あっはははははははっ!
 
 それなのに……
 ――あ。
 平和な日常というものは、こんな風に、あっという間に崩れてしまうのだ。

 ……いない。

 いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。
 どうして? どうして? どうして? どうして? どうして? どうして? どうして? どうして?

 その時、除夜の鐘の音が、風に運ばれてきた。
 今日は、大晦日。

 ――あぁ、そっか。

 きっとお参りに出かけたのだ。
 そんなことにも気づかなかった自分が、なんだかとても可笑しくて――
 わたしは大声で笑った。



END

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時計の針は進んでも、私はあそこに立ったまま。
あの時、あの場所、あの人と。
心を掴むのは、温かい手でしょうか。それとも、冷たい鎖でしょうか。

お陰様で、当サイトも今年で四回目のクリスマスを迎えることができました。
ご来訪くださっている皆様に、心より感謝申し上げます。
いつもたくさんのご感想、応援、ご助力、本当にありがとうございます。

皆様が、よき聖夜を迎えておりますように。

Merry Christmas!!

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 貴女は、実に残酷な方でした。
 それ故、私にとっての絶対的な支配者であり続けていらっしゃるのでしょうね。
 上品で、清楚で、神々しく――
 まるで別次元にでもいるかのような、そんな錯覚に陥ったこともしばしばでした。

 父の死後、貴女があの殿方と家を出て行ってから、どれほどの時間が経ちましたでしょうか。私の時間は、あの時のまま……、止まったままです。貴女に恋い焦がれ、未だに、そこに留まっております。
 残念なことに、貴女から頂戴したお言葉の全てを思い出すことはできません。ただ、
「無様な子」
 と、笑みの中に光る冷徹な視線で私を粉々に砕かれたことだけは、今でも鮮明に覚えているのです。
 私に価値を与えてくださったことが、とても嬉しかったのです。
 おっしゃる通りでした。
 私は今でも、人間のように生きていることに罪悪感を抱いております。言葉を話すことですら、なにやら一廉の者のように振る舞っているようで苦しく、羞恥心に苛まれてしまいます。
 母上様。ご教授くださり、本当にありがとうございました。
 そのお言葉を頼りに、今、私は何とか生きております。

 貴女は、父との情事の際には、いつも私をお呼びになりましたね。そのときの貴女のしなやかな肢体や官能的な躍動と、まるで私がそこに存在しないか、存在することをとことん蔑んでいるかのような貴女の態度が混同し、ひとつの記憶となり、今も私を縛りつけているのです。
 まだどこかで、貴女の影を探しております。今でも、貴女にとてもよく似た姉様に褒めていただきたいと思うのです。
 姉様に懇願しては、光沢を湛えるブーツを嗅がせていただいたり、舐めさせていただいたりしています。姉様が殿方と交わる姿を座して拝見し、無視していただいたり、罵倒していただいたりしています。冗談のつもりか、貴女の気質に似たのか、
「ほら」
 と、爪先で小突かれたときなどは、欣喜雀躍の思いに震え、その快楽に昏倒してしまうほどです。
 いずれにおいても、謝辞を申し上げております。もちろん、心より。

 ですが――

 きっと私の瞳は、いつでも、あのクリスマスの日を見ているのだと思います。
 心の底に、あのブーツがあるのだと思います。
 決して消えない。決して褪せない。
 それが、私の真実なのです。


 虚無感と渇望。
 貴女が下さった、永遠のクリスマスプレゼントです。



END

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 母上様。
 ああ、かの歓楽街で女王様の名をほしいままにされていた気高く美しい貴女を、私がどれほど物狂おしい思いで仰ぎ見てきたことか。
 図体の大きな父と、華奢で繊細な母上様。しかし私の目には、母上様のほうが、父の何倍も大きく映ったものです。五つほど歳の離れた姉様も、とても高いところにおられる印象でした。あの頃から、私は女性という存在に何か特別な眼差しを向けていたように思います。
 おそらく母上様、貴女はお気づきだったのでしょう。そして、気づかぬふりをすることで、あえて何もしないことで、私がどれほど苦しみ、悶え、また、どれほど心を乱し、恋い焦がれるかもご存知だったのでしょう。
 貴女は、私を蔑視していた。
 貴女は、私を弄んでいた。
 貴女は、私を無視していた。
 だから、私は、貴女を崇拝した。

 光沢を湛える黒い編み上げハイヒールロングブーツを、貴女はよく身に着けておられました。アスファルトを鳴らすコツコツという響きが、毎日、貴女の帰宅を私に知らせました。昼間のお出かけから歓楽街へとお仕事に行かれるまでの、束の間の時間ではありましたが――
「ただいま」
 貴女はその艷めいたお声で、幼い私を心から癒してくださいました。残業の多い父、帰りの遅い姉様。留守番の多かった私は、貴女のその声をいつも待っていた気がします。ですが、私にとってのそれは、喜びと同時に、恐怖を伝えるお声でもありました。
 玄関先で正座し、深く頭を下げさせていただくのが家のしきたりでしたね。私は、そのときに手の甲に突き立てられる鋭く尖ったヒールの先端や、顎を小突く爪先が恐ろしくて仕方なかったのです。それでも、そんな心の内など、高貴な母上様に語れるはずがありません。
 はじめは、我慢していました。ひとしきり苦しんだ後に頂戴する、貴女の笑顔と優しいお言葉が、私にとっての宝でしたので。ですが次第に、その黒光りするお履物に、言いようのない妖しい表情を感じるようになっていきました。それは、今考えると、愛しさや欲情といったものに似ていたのかもしれません。
 いつのまにかブーツが、耐える対象から、求める対象へと変わっていました。

 母上様。
 私は、これらの全てが、貴女の企みだったのではないかとさえ思っております。
 クリスマスに用意する靴下がブーツに変わったのは、この年のことではなかったでしょうか?
 毎年楽しみにしていたプレゼント。
 私の記憶では、その年、そこには何も入っていませんでした。いえ……正確には、恐ろしいまでの虚無感と渇望が入っていた、と言えましょうか。不思議でした。ですが、贈り主が貴女であるということを考えれば、おかしなことなどない気がするのです。
 容れ物自体がプレゼントだった。歪んだ目的としての役割を携えて、私の目の前に現れた。私は魅了され、高揚し、下品なモノを擦りつけ、白濁液を勢いよく飛ばした。
 ……貴女の思惑通り。違いますか?――母上様。
 エナメルブーツの蠱惑的な黒が、今でも、私の脳裏に焼き付いているのです。

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コミックマーケット81(冬コミ)が開催されます。(※終了)

●日程:2011年12月29日(木)~31日(土)
●場所:東京ビッグサイト

※詳細 → 「コミックマーケット公式サイト」

以下、参加されるリンク先サイト様です。(委託参加含む)

30NEKO.com  Count ECO's wanking  被愛僕主義社

AFJ

わかる範囲で掲載いたしました。順不同です。
(万一、掲載漏れがあるリンク先サイト様がいらっしゃいましたら、ご指摘ください。)
イベントに関するお問い合わせはご勘弁ください。
詳細は公式、または各サイト様にて。

今年も、参加される読者様方の熱気が、会場を温かくするのでしょうね。
時節柄、御身おいといくださいませ。

以上、ご紹介まで。
●無限の住人 沙村広明 [講談社]
 28巻:腹に後ろ蹴り、吹き飛び、苦悶、嘔吐
 〃 :腹に膝蹴り、嘔吐

●FAIRY TAIL 真島ヒロ [講談社]
 2巻:腹にパンチ、白目、気絶

●ADAMAS 皆川亮二 [講談社]
 6巻:腹に頭突き

●この彼女はフィクションです。 渡辺静 [講談社]
 4巻:腹にパンチ、胃液、白目
 〃 :腹にニードロップ、胃液(?)、白目、咳き込み


※注
 ・全て女から男への腹責めです。
 ・記載したキーワードは全て、私の見た限りの独断です。
 ・逆リョナ情報をお持ちの方は、ぜひお寄せください。
  (尚、「逆リョナ@wiki」に掲載する情報は、匿名をデフォルトとさせていただきます。)
  → ◆逆リョナ@wiki [ Gyaku-Ryona@wiki ]
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