Black Onyx [ブラックオニキス];2011/ 09の記事一覧

ここでは、Black Onyx [ブラックオニキス]での 2011年 09月 に掲載した記事を表示しています。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 まだ、何もしてないでしょ?
 君は失礼な子だね。まるで化け物を見たような顔して。
 あ、うん。いちいち言わなくてもわかってる。私も本気で言ってるわけじゃないよ。
 いつも私を見て、みっともなく、そこを漲らせてるんだから。
 ……ふふ。
 そんなに怯えなくても、大丈夫だよ。いきなり骨折させたりなんてしないから。
 一週間前みたいにさ。

 ……それで?
 君はどうして、ずっとそうやって、お腹を押さえたままでいるわけ?
 ん――?
 なぁに? 聞こえない。声が小さいの嫌い。いじめちゃうよ?
 あっははは!
 すっごーい。尋常じゃない怖がり方。まるで殺人者扱いだね。本当、失礼な子。

 ――で?
 あ、そっかそっか。ごめん、忘れてた。だって、それ午前中のことじゃん。
 いつまで昔のこと引きずってるの? 過去に囚われたままじゃダメだよ。
 はい、ばんざーい。手、上にあげる。
 ……ねえ?
 …………なに泣いてるの? ほら、……バンザイ、は?
 そう、いい子だね。
 心配しなくても大丈夫。午後は、ちゃんと気を付けるから。
 また吐血させないようにね。
 あっははは! 大げさだよ。君、震えすぎだって。

 ん……? あぁ、これ? 今日買ったの。似合う?
 ふふっ、ありがとう。
 夏場はさすがに履かない。膝まで覆われちゃうでしょ? 蒸れてしょうがないから。
 でも、だんだん涼しくなってきたしね。
 今までのは古くなって汚れも目立ってきたから、新しく買っちゃった。
 え――?
 どうして君に、そんなこと教える必要があるの?
 ……変な子。
 ここに新しいのがあるんだから、そんなの別にどうでもいいでしょ?
 ん、何――? あ、これ、そんなに好きなんだ。
 じゃあ、午後はこれで遊ぼうかな。
 ……はい、ばんざーい。
 あっははは! どうしてまた、いきなり怖がるの? 君が好きだって言ったんじゃん。

 それに――

 もし壊れたら、代わりを探す。
 これと同じようにさ。
 だから、心配しないで。



END

| Novel index |
物語は、終わりから始まりました。
彼女に出逢ったこと。幸福を感じられたこと。
生まれてから死ぬまでを人生と呼ぶなら、彼が紡いだこの時間は……?

少しずつ、涼しくなってきましたね。
季節の変わり目です。体調を崩しがちな方はいらっしゃいませんか?
どうぞ皆様、くれぐれも健康に留意してお過ごしください。
今後も、Black Onyx [ブラックオニキス]を、どうぞご贔屓に。

作品を気に入ってくださった方は、ぜひ拍手のクリックをお願いします。
よろしければ、ランキングバナーのクリックにもご協力ください。
FC2Blog Ranking

Back | Novel index | Next
 白鳥先生は、俯いたままで立っていた。
 そう。彼女は俺と会ってから、いや――、正確には、俺の死体を見てから、ずっとずっと泣いていたのだ。ただ、涙という液体が目から零れていなかっただけで。
 彼女を救ってあげたかったのかもしれない。自身が救われたかったのかもしれない。
 俺は、今日のこの日を、ずっと待ち望んでいたのだ。白鳥先生を毎日見られることを喜びながら、同時に、日々沈んでいく彼女の様子を見ることに耐えられなくなってきていたのだ。だから――
「お辛いですよね。まさか、こんな形で……」
「はっ。他人のせいにしないでくださいよ。辛いのは、先生のほうでしょ」
 無意識に、突っかかった。白鳥先生の表情が曇る。
「どういう――?」
「もう、嘘はつかなくていいですよ」
「嘘なんて――」
「嘘ですよ」
「違います!」
「本当は――」
「やめて!」
「――もう死んでほしい。……そう、思ってますよね」
「…………」
 無言が全てを物語っているようだった。俺は、不思議と清々しい気分だった。
「でも、それは無理ですよね。理屈では、もう死んでいるんですから」
「……やめて」
「だから、せめて――」
「もう、もうやめて! やめて!……お願い!」
「…………」
「もう……。もう……」
 彼女を追いつめるつもりはなかった。ただ、言わずにはいられなかった。己の器の小ささに呆れながら、すぐに謝罪の言葉を重ねる。そして、
「同情は要りません。先生が、自分を責める必要はないですよ」
 素直に心の内を告げた。
 そこまで話したあとで、俺は手術室へと搬送された。

 医学的に動くはずのない身体。呼吸もしていないのに、喋る死体。
 意識を保ち続けた俺を、彼女だけが、生きている患者として扱ってくれた。
 陽があたり、風の入る病室。彼女の計らいに、感謝の気持ちは絶えなかった。

 施された全身麻酔は、俺への気休めのつもりなのだろうか。もちろん、何の意味も為していない。予想通り、意識ははっきりしていた。
 手術着を身に着けた白鳥先生も美しかった。だが彼女の表情には、やはり俺の好きだったあの笑顔はない。ただ、代わりにそこには、今まで一度も見せたことのなかった彼女の涙があった。
 ――患者の前で泣くなんて。
 俺は、彼女の優しさを胸に刻み、
 ――あんた、それじゃ、医者としては失格だ。でも、
 そのしなやかな手によって、
 ――本当に、……人間らしい、いい女だ。
 静かに、眼球が摘出されていくときを待った。
 俺が彼女を見ることを、今、彼女が不可能にした――
 機能するはずのない俺の下半身が、なぜかピクリと反応したような気がした。

 これで、全ての臓器提供が終わった。
 病院に置いてある必要のなくなった自分という死体が、これからどうなるのか――そんなことには興味がなかった。ただ、全ての臓器が無くなってもなお、想うことを忘れられない自分という存在が不思議でならなかった。

 俺は幸福だ。
 あなたに出逢えた。



END

Back | Novel index | Next
 この連続集団暴行事件は、今や紙面のトップを飾るほどになっていた。
 一昨日は、この街で割と名の知れた地主の息子が殺された。昨日はどこぞの大学生だったか。そして今日の被害者は、どうやら有名流派の道場主らしい。犯行手口や目撃証言などから、同一犯と見てまず間違いないそうだ。いずれも、凶器を使った形跡は見当たらないとの発表だった。
 年若い女の子のグループによる犯行。しかも、高校の制服を身に着けていたとの目撃情報もあった。
 金品狙いとは限らない。よって、金持ち狙いだけでもない。弱者狙いだけでもない。が、そうでないとも言えない。俺のようなごく普通のサラリーマンが襲われることもある。この無差別な対象ゆえか、捜査は世間が思っている以上に難航していた。まして、今日の道場主もそうだが、腕の立つ格闘家が、たかだか二、三人の女性に殴る、蹴るなどの暴行を受けて死亡するなどというショッキングな事件は、なかなかお目にかかれない話題性の高いネタだ。マスコミは連日このテの報道を続けるし、警察は犯人逮捕に躍起になる。それは当然のことだと思えた。
 これだけ目撃証言があるにもかかわらず、未だ犯人グループは捕まっていない。

「あ」
 思わず声を漏らしてしまった。考えることに浸っている間に、脇の下に挟まれていた体温計が音を鳴らしたためだ。白鳥先生が体温計を片手に記録を取る。
 ――意味など、無いのに。
「はぁ……」
 ため息のような声を出す。ため息は出ないから、声を出した。今はもう動かない己の全身を視線で撫で、それからゆっくりと机の上に移動させる。そこに置いてある健康保険証を見るためだった。白鳥先生はその表情に困惑の色を湛え、さりげなくその身体で、俺の視界を遮ったようだった。
「仕事、つらいですか?」
 問うてみた。彼女は答えない。
「せめてこういうことくらい、看護師さんに頼んでも」
 やはり、彼女は黙っている。そんなに俺と一緒にいたいのかとからかってもみたが、反応は変わらない。その代わり、彼女の動きもピタリと止まったままだ。再び、
「今日は、いよいよ――」
「やり甲斐はあります!」
 連ねようとした言葉は、拒絶するような強い語勢に遮られた。
「じゃあ……」
 あらためて、落ち着いた口調で白鳥先生に声をかける。腹の探り合いのような、まどろっこしいやり取りに、うんざりしてきたからだった。
「そろそろ健康保険証、取ってもらえますか?」
「――っ。……」
「お願いします」
 彼女はわずかに躊躇したようだったが、
「…………はい」
 と、震える手で机の上に手を伸ばした。健康保険証を俺に手渡す。
 裏面に貼ってあるのは、臓器提供意思表示シール。
 それを見ると、不思議と穏やかな気分になれた。

Back | Novel index | Next
 甘めのアイメイクを施した大きな瞳が、まず目に入った。
「金は?」
 女の子が、当たり前のように手を向けてくる。

 一ヶ月ほど前の、深夜の公園。

 確かに、その社会現象を知らないわけではなかった。深刻な社会問題となっていったからこそ、「オヤジ狩り」などという呼称までついたのだろうから。それでも、やはりどこか他人事だった。誰でもそうなのだろうが、自分の身に降りかかるなんて、思ってもみなかったのだ。まるで現実感がなかった。ましてやその相手が、
「ほら、早く」
 こんなに華奢な、可愛らしい女の子たちとなれば――
 差し出した手で俺の顎を撫で、彼女がさらに詰め寄ってくる。ゆるく外巻きにおろした髪は、明るめの茶色に染められていた。わずかに下着の透けた白いTシャツ。薄桃色と薄紫のラインが交互に入ったかぎ針編みスカートから、日焼けひとつしていない白い脚がすらりと伸びている。ヒールのついた鮮やかな桃色サンダルが、その足先を飾っていた。
 ふと、その顔に笑顔が灯った。と――、それを確認した瞬間、
「――っ!」
 突如、頬を強く張られた。
 強制的に横を向かされた顔と、ただ呆気に取られて動けない心、その両者がバランスを崩す。軽い眩暈を覚えてふらりと身を屈めたとき、
「ぐあああっ!」
 ガツンと、後頭部に別の衝撃が走った。
 たまらず頽れ、頭を抱える。見上げた視線の先にあったのは、ショートパンツから伸びた細い太腿と、その脚を膝上まで覆う黒いニーハイソックスだった。外灯を背にした女の子の表情はわからない。そのせいなのだろうか――
「ふふ……」
 そのとき耳を擽った舌っ足らずな甘い声。それが、なぜか官能的な響きとして、俺の脳裏に刻まれた。腹を蹴られて転がった身体は、また別の女の子のものと思われる足下に弾き出される。今度は、素足に黒いローファーだ。その足がすっと後ろに引かれ――
「んがっ!……あああああっ!!」
 その爪先が、勢いよく俺の口内に突っ込まれた。そのまま蹴り飛ばされ、地面に身体を強く打つ。口元が熱い。欠けた歯が数本、コロリと手の中に落ちるのがわかった。温かい何かが、口から止め処なく溢れてくる。
 ――あぁ、血……、か。
 蹲り、鉄錆のような臭いでそれと確認した。彼女たちから漏れた笑いが、徐々に哄笑へと変わっていく。その声たちが、じわりじわりと近づいてくる。スーツのポケットから、財布が抜かれる。猛攻――。身体が外から、内から、徐々に破壊されていく感覚。じわりじわりと首が圧迫され、すうっと意識が遠退いていく感覚。そして――

 目覚めたときには、このベッドの上にいた。

Back | Novel index | Next
 灰色。
 どこまでも広がる曇天を見つめながら、俺はただじっとしていた。
 自分がそれまで無心の状態にあったことに気付いたのは、病室のドアの開く音が聞こえたからだった。もう何度耳にしたかわからない、つまらない音。だが、
「お目覚めですか?」
 その後には決まって、飽くことのない妙なる響きが全身を愛撫してくれる。それを知っているからこそ、この、全てが嘘で造られたような真っ白い空間の中にあっても、俺は穏やかな気持ちを忘れずにいることができるのかもしれない。
「はい」
 と、視線だけを声のほうへと向ける。主治医――白鳥佳代は、今日もとても美しかった。
 俺の返事を聞くなり、彼女は俺が横になっているベッドのほうへと歩を進めた。
 羽織った純白のドクターコートが靡き、足を覆う淡いベーシュのティーストラップシューズがコツコツと床を鳴らす。腰まで伸びた黒いストレートロングの髪が、さらさらと揺れる。サイドに流した前髪の奥で、切れ長の目が俺の心を射抜く。いつものように、彼女の瞳は、酷薄な光と底の見えない闇を同時に灯していた。
「いい天気ですよ」
 そう言ってカーテンを開ける。
 極めて事務的な口調と内容だ。その声色は、怜悧というよりは無感情といったところだろうか。もちろん内心は、悲痛に震えているのだろうけれど。
 初対面のときの明るくて健康的で快活な印象は、すでに欠片も残っていない。顔も声も、相変わらず蠱惑的ではある。だが、そこにはもう、俺の知っている白鳥先生はいない。彼女の表情は日を追うごとに、ゆっくりと、しかし確実に変わっていった。深い深い海床を目指して、延々と沈んでいくように。
 無理もない。
 毎日、俺という大変な患者を相手にしてきたのだ。彼女が今、再び明るく応対するようになっていたとしたら――それこそ、彼女の精神状態を疑うべきだろうと思う。口の端をくっと持ち上げ、彼女が窓の向こうを指差す。
「ほら、あそ――」
「ずいぶんと、お疲れのようですね」
 俺は、そんな白鳥先生の言葉を遮り、
「無理しないでください」
 そう続けた。
 彼女はそのとき、少しだけ――、ほんの少しだけ口元を震わせたように見えた。が、俺がそう認識しそうになったときには、
「患者さんに心配されてちゃ、世話ないですね」
 すでに、表情も口調も、普段の白鳥先生に戻っていた。
 いい人を気取るつもりはない。ただ、同情が欲しくなかっただけだ。頑張り続ける不器用な彼女の見せるそれが、彼女自身を傷つけていくようだったから……

Back | Novel index | Next
テーマは射精管理による男性のマゾ化。
男を思い通りに操る術、教えます。のCHIKAさんより、音声作品のダイジェスト版サンプルを頂きました。
きっかけは、いつものごとく、「私のサイトで紹介させて!」――という私のわがままです。
快いお返事を頂けて嬉しかったです。当方初公開のサンプル動画となりますことを、大変光栄に思っております。
再生時間は何と25分強! 大サービスのサイズですね。
M男クンたちを惹きつけてやまない、巧みな暗示言語と魅力的な声・表現の併有作品。ぜひ、ご堪能くださいませ。
※画像クリックで、音声再生ページへ飛びます。(FC2動画)

第二章 ナチュラルボイス版 ダイジェスト
【射精管理ボイス】


音声作品の販売以外にも、文字による射精管理や貞操帯妄想、暗示など、興味深い記事が盛り沢山。
詳細は、男を思い通りに操る術、教えます。様にて。
男を思い通りに操る術、教えます。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。