Black Onyx [ブラックオニキス];2009/ 03の記事一覧

ここでは、Black Onyx [ブラックオニキス]での 2009年 03月 に掲載した記事を表示しています。
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温かい祝辞に、胸がいっぱいの作者です。
怪力娘症候群のネムレスさんより、二周年記念CGを頂きました。
二つのサイト運営を掛け持ってなお、当サイトへのご来訪から多大なお力添えまで下さっている方です。
作品、第二弾。今回も、当方オリジナル小説のキャラクター絵を作ってくださいました。
「八卦」より、常盤部長です。ご覧くださいませ。
※画像をクリックすると、拡大します。携帯の人はこちら→拡大


● 常盤
八卦」より
 ryonazコメント…美脚という名の凶器ですね。部長の冷たい瞳、男の形相、鈍い音。ツボを捉えた構図が素敵です。

ネムレスさんのサイト 【怪力娘症候群】
怪力娘症候群
(過激な裏サイト「怪力娘末期症状」も必見です。)

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――鬼!

――悪魔!!

いつも慰めの言葉をありがとう。

そうだったらいいのにって、何度も思った。

私が怖いんだよね?

だから、あなたは私を鬼と呼ぶ。

だから、あなたは私を悪魔と呼ぶ。

それがきっと、あなたの安心につながってる。

でも、私は鬼でも悪魔でもない。

人間。

あなたはきっと、私のことが怖いんじゃない。

怯えているのは、私が人間であるという事実――でしょう?

同じだよ。私も怯えているの。

いっそ、鬼になりたい。悪魔になりたい。

鬼は、恐ろしい存在だから。

悪魔は、恐ろしい存在だから。

恐ろしい存在の中にいれば、私もまた普通の存在になれるから。

私も怖いよ。人間であることが。



END

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大切な想い出のはずが、なぜかすっかり忘れてしまっている。
そして、ふとした瞬間、それらがまるで電撃の如く脳を貫く。
皆様にも、そんな経験がありませんか?

あの子は今、一体どうしているのやら……、というお話です。

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 あの光景、……今、鮮明に蘇ってくる。
 なんで、こんな大事なことを忘れてたんだろう。記憶の奥の方。頑丈な檻の中に閉じ込めてた。
 あの日の君の姿が見えるよ。
 涙、泥、傷、痣でグシャグシャになった顔と、かすかな呻き声だけを上げて地面にぐったりと横たわる姿。
 それが、君の存在を思い出した時、真っ先に浮かんできたものだった。
「内緒だよ」
 君の胸座を掴んで無理矢理、身体を起こした。でも君は、ぐったりしていて答えることができなかった。だから私は頬を張った。君の左頬だけが、どんどん赤くなっていった。
「……はい」
 その言葉を君から聞いてから、私は手を止めた。そして、もっと君を追い詰めた。
「誰にも言っちゃ駄目なんだよ」
「はい」
「絶対だからね」
「はい」
「先生にも、友達にも、お母さんとかにも」
「はい」
 君の答えは全て「はい」だったよね。でもそれが、本心から発せられたものか、怯えて出たものかわからなかった。だから、きちんと口に出して言わせた。
「じゃあ、言って。誰にも言いません、って」
「誰にも言いません」
「約束だよね」
「はい。約束です」
 そして、私は君を抱きしめた。君の手もまた、私の背中を包んだ。

 私たちは、約束を守った。
 不思議と不安はなかった。
 君を信じていた、と言えば格好いいのかもしれない。私たちは信頼し合っている。実際、幼心にそんな風に感じていたとは思う。でも実際は、疑うということ自体、当時の私には考えられなかっただけなのかもしれない。それも、今となってはわからない。ただ――
「今日も言いませんでした」
 それから毎日、放課後になるとそう私に報告に来る君を、本当に愛しいと思った。
「よくできました」
 そう答えて頭を撫でる。そして校舎の裏で、いつものサインをお互いに送り合う。ただそれだけの関係だったね。


 初恋でした。
 君を想い綴った、君だけには見られたくない手紙です。



END

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 淋しい?
 私が挨拶を返さなかっただけで、君は涙すら見せてた。あの頃の君に、「忘れた」なんて言ったら、どんな反応を示しただろうね。見てみたいと思うよ。今さらながら。
 二人だけのサイン――、そして、理不尽な罵倒と暴行の世界への移行。
 君はひどい顔で泣きじゃくって、謝って、痛みや苦しみを訴えて――、愉悦に浸ってた、でしょ? もしかして、認めたくない過去だったりする?
 私は、身悶える君の姿が見たかった。その時に見せる君の顔が、喜びを意味していることもわかってた。だから、ちゃんと君のツボは心得てたつもり。何より、そうすることが私の快感でもあったから。
 虐げて、泣かせて、従わせて……。お互い、変な遊びを覚えちゃってたね。
 そんな時に起こった、防火水槽の事故――。ううん、今だから正直に言うね。

 あれは事故じゃなかった。

 こう言えば、君には意味がわかるはずだよ。それとも、もうとっくに気付いてた?
 防火水槽の中で溺れる君の姿に、私は見惚れた。
 青ざめた表情。喉が擦り切れるような激しい咳き込み。助けを乞うて伸ばす小さな手。もがき苦しむ様子。
 その全てが、私に死の匂いを感じさせた。
 もちろん当時の私に意味などわかるはずがなかった。けれど、私の胸があんなに鼓動を大きくしたことはなかったと思う。
 何とか引き上げて、気付くと二人ともびしょ濡れだった。
「ひどいよ」
 君は何度もそう繰り返したよね。
「なんで、こんなことするの?」
 そんなこと、私にもわからなかった。それを説明するには、私はあまりに幼すぎた。
 ただ、気持ちがよかった。君をもっと好きになった。君の真実の顔が見られた気がした。心底、愛しいと感じた。それだけで、十分理由になると思った。
 私は、ずぶ濡れになった君を何度も蹴った。踏み付けた。いつも以上に、力いっぱい。
 土に塗れながら、君もまた、いつも以上に哀れな表情を湛えていた。もちろん、呻き声だって一緒に聞きたかったよ。だけど私は、君の口を塞いだ。私にとって、……もちろん君にとってもだと思うけど、こんなことは絶対にバレちゃいけないことだったから。
 君の声を聞きたいと思いながら、私はそれを手で封じた。そして、残ったもう片方の手で、君のお腹を何度も殴った。そうすれば静かになることがわかってたから。
 くぐもった悶声と咳が、私を歓喜に導いた。幾度となく君の口から吐き出される大量の水が私の指の隙間を伝い、地面に滴り落ちる。拳と悶絶。攻撃と反応。刺激と放出。私と君――
 いつの間にか私は、苦しむ君の姿から、目が離せなくなった。興奮してた。本当に、どうしようもないくらいに……

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 君が大好きでした――

 まだ覚えてる?
 夏。休憩時間。かくれんぼ。防火水槽。

 あの時、君を見かけたのは偶然だった。でも、声をかけたのは偶然じゃない。
 たまたま君がいたから、遊びに誘っただけ――。そう装ったのは、私が君に特別な感情を抱いていたから。だけど、周りの子には知られたくなかった。
「かくれんぼ……、やりたくない」
 君は下を向いてそう言ったね。
 そんなことは表情を見ればわかった。顔色だけでわかるくらい、私はいつも君を見てたんだから。
 でも……、あの時君は、私の言いなりになった。
 もちろん、私と同じように、君も私のことを好きでいてくれたとか、本当は誘ってもらって嬉しかったんだとか、そんな風に考えられるほど、私はお幸せな人間じゃなかった。でも君が、私の言うことに逆らえないんだってことも、知ってたよ。
 防火水槽付近は、立ち入り禁止。君も知ってたよね。
 ――見つかったら、先生に怒られる。
 君の脳裏にも、私と同じ考えが過ったでしょ?
 今となっては、それが抑止力になるのかどうかはわからない。でも、当時の私や君にとって、それはかなりの脅威だった。
「入ったらダメなんだよ、ここ」
 そう言いながらも、私について来たのは、誰だったかな?
 不安と緊張感。
 そんな中で、君がしきりに身体を押し当ててきていたこと、未発達だった私の胸をじっと見ていたこと、さり気なく脛に手の甲を何度も摺り寄せてきていたこと、私のスカートをつまんでいたこと、君のズボンの前部が変に膨らんでいたこと、――私が気付いていないとでも思ってた?
 ただ、怖かったから?
 ……違うよね。なんでそんなことしたのかな? 言い訳を聞いてみたかった気がするよ。
 ねぇ。あのサイン、覚えてる?
 私が君を見る。君が私を見る。それだけ。でも、私たちにとって大切なサイン。
 私は最近まで、サインどころか、君の存在すら忘れてた。
 思い出したのは、ほんの偶然。私の中であれほど大きかったはずの君の存在が、記憶の深淵に押し込められちゃってた。

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2009.03.07をもちまして、当サイトは無事、二歳の誕生日を迎えることができました。
好きなことを書きます。興味のある方のみ見てください。リクエストは受け付けません。
こんな我侭管理人の運営する鬼畜サイトに、毎日これほどのアクセスを頂けることに、感謝の念が尽きません。

本記事を書くにあたり、設立一周年の記事をあらためて読み直してみたのですが、私の思いは変わっていません。
無事、二年目を越えることができたのも、ご来訪くださる皆様方がいらっしゃったからこそです。
ご意見やご感想、アドバイス、温かいお言葉や励ましのお言葉、妄想。
イラスト提供、アンケート(※現在停止)への回答、逆リョナ@wikiへの情報提供、拍手やブログランキングのクリック、etc...
数え上げたらキリがないほど、本当にたくさんのご協力を頂き、支えられてきました。
お力添えを下さっている、他サイトやポータルサイトの管理人様方に対しても、同じ思いでおります。
この場をもちまして、あらためて、心より感謝の意を述べさせていただきます。本当にありがとうございます。

そして「逆リョナ」という言葉。
この語が多少なりとも普及したのは、共鳴する"何か"があるからだと確信しています。
何より、この嗜好を話し合える、共感し合える方々と出会えたことを、大変嬉しく思っています。
それだけでも、サイトを立ち上げた意味はあったかな、と。

これからも逆リョナ普及に、そして自分自身が成長していけるように、精進していく所存です。
今後とも、Black Onyx [ブラックオニキス]を、どうぞよろしくお願いいたします。

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防衛機制のいろいろと性倒錯です。
あまり深く考えず、作品そのものを肌で感じていただければ、と思います。

それにしても、逆リョナって、実に不思議な嗜好ですよね。悩み始めたらキリがない!
女の立場から考えれば、「淫楽殺人(殺人淫楽×)の多様化」と捉えるのが妥当なのかもしれません。
ただ、これをそのまま男性に当てはめればいい、というわけにはいかないようで。厄介なものです(汗)
この嗜好の男性は、最終的には殺されたいと「思う」に留まるものだと思っていますので。
現時点では、代理物が「物」でなく「概念」に置き換えられた"フェティシズム"というのが私の見解なのですが。

提言しておきながら、まだまだこの嗜好の本質を捉えきれない作者です。
これからも定義の加筆・修正、その他変更の可能性大です。どうぞご容赦くださいませ(汗)
「これぞ!」という理論をおもちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご教授くださいね。

いつも当サイトにご来訪くださる皆様に、深く感謝しております。
本作も、お楽しみいただけていれば幸いです。
今後も、Black Onyx [ブラックオニキス]を、どうぞよろしくお願いいたします。

●女のキャラ絵 →  

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 そして、男の首枷が外された。
 人間だったものが、その場に崩れ落ちる。肉塊は、二つになった。
 肉。欠片。人間だったものの塊。そこにはもう生命は存在しない。
 なぜか、心の中に一迅の空風が駆け抜けていく。冷たい風が、僕に現実を見せた。
 あれは僕じゃなかった。僕は、……僕。身体も動かせず、ただ腑抜けた顔で死骸を見つめている。それが僕なのだ。僕なのだ!
 その時、コツッ――、というあの死の旋律が、僕に近付いてくるのがわかった。欲して止まなかった、彼女の音だ。
 目が合う。彼女の意識がこちらに向けられた。その事実だけで、僕は歓喜に打ち震える。
 やはり、……やはり彼では駄目なんだ。僕でなければ。僕自身でなければ。今度は、……今度こそは、僕が――。そう思うほど、心臓は大きく高鳴った。
 興奮のあまり、先走っているのを感じる。今すぐにでも、自分の陰茎を扱きたい。しかし、それは叶わない。手の自由を奪う枷。本当に残酷な代物だと、あらためて思った。
 下半身を意識すればするほど、もどかしくて苦しくてたまらない。彼が破壊されることで満足することなんて、初めから無理な話だったのだ。彼女によって彼がいくら破壊されようとも、彼と同化するなど、到底無理な話なのだ。
 本当はわかっていた。よくわかっていた。ただ、……それを認めたくなかった。
 ――僕を、……僕自身を、……殺してください!
 彼女の顔を上目遣いに見る。精一杯の祈りを込めて。しかし彼女は僕の首元に手を伸ばし、あっさりと鎖を外した。首枷と天井を繋ぐものがなくなり、僕の弱りきっていた足は、重力に従った。
 その場に崩れ、床に全身を打ちつける。首枷のせいで、受身を取ることはできなかった。
 痛みを堪え、かろうじて見上げると、彼女と視線が合った。
 彼女の唇が動き、優しい形に変わる。ほんの一瞬だけ。ヴィーナスのごとき微笑みは、たちどころに消えてしまった。
 女神は興味をなくしたように、すっと僕から瞳を逸らす。扉の向こうへと吸い込まれていく彼女の後ろ姿を、僕はただ呆然と眺めていた。リズムを刻むヒール音が、徐々に小さくなっていった。

 虚無感が僕を覆い尽くす。
 肥大化した愚息を抱え、まるで芋虫のように床に転がっている自分。今や、美しい対象を失った僕の視線は、僕自身に向けられる以外になかった。それは、実に無様な生き物だった。存在自体が目障りだった。しかしその醜悪で惨めな存在は、僕に目を背ける自由すらも与えてはくれない。
 このまま這っていけば、おそらく壁を伝って立ち上がることはできるだろう。それどころか、ここから逃げ出すことさえ可能かもしれない。
 けれど、逃げ出したいとは思わなかった。なぜなら、僕はまだ、彼女に殺されていないから――
 目前には、コンクリートがむき出しになった灰色の牢獄が広がっている。けれど、心に浮かんでくるのは、彼女の淡い微笑みだけだ。
 部屋に転がる、二つの肉塊を恨めしそうに見つめる。
 僕が彼らと同じ恩恵に与れるまで、あと何分? 何時間? 何日? それとも……

 どれだけ先でもいい。待てると思った。



END

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 血塗れてなお輝く女性と、ぼろ屑のようになった男。まさに、美と醜の対比だった。
 もちろん、認めたくはなかった。彼女がここまで輝くことができたのは、彼という存在があったから。彼女の魅力をここまで引き出したのは、彼。例えるなら、縦の糸と横の糸が紡ぐ織物、だろうか。
 既に白目をむいた男の頬を、女性が張る。左を打ち、右を打ち、また左を打ち……。掌の嵐が容赦なく彼を襲う。彼の身体は彼女の手の動きに合わせて左右に振られ、それが首枷にも力を与える。彼は心許ない足取りで、それでも震える爪先を床から離すまいとしていた。
 ――それは、生命維持本能からの行動じゃないはずだ。
 心の深淵に潜む声が、耳元でかすかに聞こえた。
 何度打たれても同じ場所に立つ男。その姿に、僕は自分を見始めていた。

 そう。そうだったのだ。どうして、今まで気付かなかったのだろう。
 ――彼の行為は、義務感によるもの。彼女の美を完成させるための……
 その胸の囁きで、僕は全てを理解できた気がした。彼の行為は、全て僕の意志によるものなのだ。だから、彼女に魅力を与えていたのは、本当は僕なのだ。なぜなら、彼は僕自身なのだから。
 馬鹿げた考えだと、笑いたい者は笑えばいい。僕はその真実に気付けた者だ。

 やがて、女性によって首枷の鎖が外され、男は身体ごと床に崩れ落ちた。
 彼女は男の脇腹を蹴り上げて仰向けにさせると、間髪入れずに彼の陰茎をぐいと踏み付けた。彼は全く反応を示さない。ブーツの底で、時に撫でるように、時に蹂躙するように踏み拉く彼女の脚に反応するかのように、僕のモノがビクンビクンと激しく踊る。
 そこにあるのは、ただの形代だ。その証拠に、彼女のその淫靡な行為に対して反応しているのは、ソレではなく、ここにいる僕だ。今、僕は彼になり、彼は僕になったのだから……
 女性はしばらく男のモノを弄んだ後で、足を高く振り上げた。そして、睾丸目掛けて、踵を力強く叩きつける。一発、二発、三発、四発――。彼の睾丸はみるみるうちに赤く腫れ上がっていった。それに反応するのは、もちろん僕の下半身だ。はちきれんばかりに膨らんだ僕の恥部は、彼女が攻撃を重ねる度に激しく脈を打った。彼の亀頭に血が滲んでくる。叩きつける彼女の足に呼応するように、血液が噴き出す。
 やがて――、……パンという破裂音とともに、大量の鮮血がほとばしった。

 自分の口元が歪に曲がるのを感じた。
 男の源流が断たれたことで、僕は最高の快楽を得ることができた気がした。いや、壊されたのは僕自身で、快楽を得たのが彼なのか。どちらにせよ、それは僕にとってどうでもいいことだった。
 女性の猛攻は留まるところを知らなかった。
 喉をヒールの爪先で潰す。ブーツを脱ぎ、頭部に踵を何度も叩きつけて頭蓋骨を破壊する。爪で強膜を破り、上眼瞼から内部をぐるりと抉って目玉を刳り貫く。どこからか取り出した細いナイフで、もう片方の耳も削ぎ落とす。腹の肉を切り裂き、内臓を引きずり出す。顔の皮を剥ぐ。
 手際がよく、実に鮮やかな作業だった。
 今や彼は、最初に殺された男と同じように、全身が赤一色で覆われていた。

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 恐怖心から出た笑いは、いつの間にか消え去っていた。
 女性は、血と涙に濡れながら叫び続ける男に身体を密着させ、小首を傾げてその顔をじっと見つめていた。わずか指三本分ほどだろうか。ともすれば、唇が触れ合うほどの距離――
 僕は、彼が少しだけ羨ましくなった。

 女性の髪がサラリと靡く。
 僕は彼女の魅惑的な肢体を、ただ見つめていた。時々視界に入る男は、もはや僕にとっては邪魔者としか思えなくなっていた。当然だ。今の僕にとっては、死を与えられる男より、死を与える女性の方が、遥かに魅力的な存在なのだから。
 だからこそ、不釣合いな両者が絡み合っているように見える時、僕はこの上なく不快な気分になった。
 女性が指先で男の唇を撫で始める。しなやかに動く彼女の指を見ていると、僕の下半身はじわりじわりと熱を帯びてくる。彼女がおもむろに、手にした男の耳を彼の口の中へと押し込む。口に挿入された指先を伝って、彼女の手が血に染まっていく。相変わらず、彼女に感情の変化は見られなかった。
 僕の陰茎はこの時、怒張を極めた。
 男は咽返り、血とともに耳を吐き出した。激しく咳き込みながら、再び騒音を口から撒き散らす。
 女性は床に落ちた耳を、ヒールの先でグリグリと踏み躙った。耳から噴き出す赤とブーツの黒のコントラストが美しい。艶かしく腰を揺り動かしながら彼の欠片を踏み潰す彼女の姿に見惚れ、僕の愚息はさらに主張を強めた。

 水が砂に吸い込まれていくように、僕は彼女に陶酔していった。
 再び男の元へと向かう彼女の瞳が、薄く閃いたように見えた。表情を変えぬまま、じっと目の前の男を見つめている。それが、僕のもどかしさを一層、駆り立てる。反対に、男の方は既に半狂乱のような状態になっているのか、これ以上ないほどの醜態を晒している。泣く。喚く。震える。何かを哀願する。もう目も当てられない。
 ――あれが僕だったら……。僕だったら! どうして、彼女はあんな奴の元へ……?
 嫉妬の念が渦巻く。妬ましい……。彼が疎ましい。彼が憎い――
 女性が男の肩にそっと触れる。彼は弾かれたように、身体を過敏に反応させる。不甲斐ない男の様子を見て、僕は腹立たしさを堪えきれなくなる。その時、彼女は血塗れの手を握って拳を作り、それを彼の腹目掛けて勢いよく突き出した。まるで、僕の思いを汲み取ってくれたかのように。
 呻き声とともに、男の身体は後ろに反れる。しかしそれは、首枷に力を宿らせることに他ならない。首を絞めつけられ、彼は覚束ない足取りでまた元の位置に戻る。そこで今度は彼女の蹴りが入り、彼は苦悶の声とともに定位置につく。その一連の動きが繰り返された。彼女は肘や膝、爪先、ヒールの先、踵など、様々な方法で男の腹を集中的に破壊していった。
 ほぼ十発目で鬱陶しい声が消え、二十発目ほどで彼の目は虚ろになった。三十発目辺りで彼は嘔吐し、五十発を超えた頃、彼の喉からは多量の血液が吐き出された。

 僕を打ちのめしたのは、その残酷さだった。無論、彼女ではなく、首枷の――
 漲る下半身を玩弄したくてたまらなかった。

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 女性がおもむろに顔を上げる。僕は反射的に目を背け、肉塊に視点を合わせた。
 おぞましい様相だ。少し前まで、確かにソレは呼吸し、動いていたはずだ。生きていた人間――。その事実すら否定したくなる。それが自分の近い未来の姿なのだと思うほど、絶望感に打ちのめされる。
 しかし皮肉なことに、自分が何とか我を忘れずにいられるのも、このおぞましい肉塊を見ているからこそだ。当然だ。今の僕にとっては、死を体現する肉塊より、死を思わせる目の前の女性の方が、遥かに恐ろしい存在なのだから。
 間もなく、女性の足音が聞こえてきた。その音のひとつひとつが、まるで僕の耳を突き刺しているかのように感じられる。だからこそ、僕はただじっと肉塊を見つめ続けた。
 やがて、足音がピタリと止む。同時に、隣から錯乱したような声が耳に入ってくる。そのことによって、僕は安堵の息を漏らした。
 それが一時的な平静に過ぎないことは百も承知のことだった。

 絶叫は瞬く間に獄中を包み込んだ。
 聞くに堪えないその声から逃れたくて、僕は無意識に耳を塞ごうとする。しかし、首枷はそれすらも許してはくれない。指が耳に届かないのだ。まるで、事の一部始終を耳にしろ、とでも言わんばかりに、枷は僕の首と両手首をしっかりと捕えて放さない。手と顔の間にこれほど距離を感じたことはなかった。
 いずれ彼もあの男のように、ただの物体と化すのだろう。もちろん、僕も。それならば、この死を待つのみの時間に、果たして何の意味があると言うのだろう。先ほど安堵した自分は、絶望の中、彼の阿鼻叫喚に晒されながら、それでもわずかに生き長らえることを望んだとでも言うのだろうか。
 自己矛盾に苛まれる。そして、考えないようにしようとすればするほど、男の悲鳴が耳を刺激する。
 見ない方がいい。結果がわかっている以上、そうすることが精神的に一番楽なはずなのだ。殺害の過程を見たであろう、隣の男の二の舞になるのがオチだ。自分にとってプラスになることなどない。知らなくていいことだ。例えば、病院で貰う薬のように。
 この病気にはこの薬が効く。それで十分なのだ。なぜこの薬が効くのか、どういった成分によって治るのか、その根拠は何か、どういった経緯でこの薬が発明されたのか、発明した人物の生い立ちはどのようなものだったのか、その人物を取り巻いていた環境や時代背景は――
 一般人がそんなことを知る必要はない。今の僕の状況もこれと同じことだ。僕はただ、いずれやって来る解答の時まで、このままじっと堪えていればいい。わざわざ恐ろしいことがわかっている経過にまで目を向ける必要など全くないのだ。だから……、だから――!!
 その決意を嘲笑うかのように、僕の瞳は横に流れた。そして僕は、彼と同じように声を上げた。
 自分の好奇心と怖い物見たさ、それに伴う安易な行動が心底憎い。同時に、あまりにも狂気に満ちた目の前の現実によって、僕の瞳は釘付けにされてしまった。
 ――どうして……? どうして、鼻が無いんだよ……?
 その問いかけは声にならない。無論、それに対する答えなど知りたくもない。男は、大量の血液を顔面の中央部から垂れ流しながら、喉から漏れるわずかな空気を必死で声の代わりにしようとしている。
 間もなく、男の片耳が弾け飛び、血飛沫が上がった。彼は再度、絶叫する。僕の内部に恐怖心が芽生え、すくすくと育っていくのがわかる。それでもこの両目は、決して男の顔面から離れてくれない。
 だから、僕は笑った。笑うことでしか、自分を保てないから。ただ精一杯、笑った。笑い続けた。
 その時――、ふいに女性の身体が視界を遮った。真っ先に僕の目に飛び込んできたのは、艶やかな彼女の髪だった。肩の辺りで緩く巻かれたそれが、彼女の輝かんばかりの美貌を彩っている。大きな瞳。その奥からは、秘めた力強さが感じられ、薄めの唇は、彼女の酷薄さを象徴しているようだ。
 自然と僕の視線は、男からその女性へと対象を変えていた。なぜか身体中に血が巡ってくるような、不思議な感覚を抱く。陰部がみるみるうちに力を帯びてくる。自分の反応が信じられずに動揺する。目前にいるのは、あれほど恐れ、あれほど目を逸らしていた殺戮者だというのに。

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 肉塊があった。
 それまで目を覆っていた黒い布が外された時、僕はソレを凝視せずにはいられなかった。
 男の四肢はそれぞれあらぬ方向を向いており、もはやヒトの形を保持していない。その姿を隠すように、多量の血液が彼の全てを覆っていた。
 コツッ――、と奏でられるヒール音。恐ろしき殺戮者の脅威に身が凍る。
 残骸の前にしゃがみ込んだ女性は、透きとおるような美貌を湛えていた。あまりにも無機質な表情だ。しかしそれが、却って彼女の美しさを強調しているように思える。黒いミニスカート。そこから覗く肉感的な太腿と、それを包むベージュのストッキング。白いフリルのブラウスに、黒いニーハイブーツ。その全てに、血飛沫による赤い斑点模様が刻まれていた。
 女性が手際よく男の首から板を外した時、僕もまた無意識に、自分の首元の板に触れていた。俗に言う首枷だ。半円の窪みがついた二枚の板が重ねられ、僕の首と両手首をしっかりと捕らえている。さらにこの首枷は、爪先立ちでようやく床に足が着くように調整され、牢獄の天井から鎖で固定されている。少しでも足首を曲げたりしようものなら、すぐさま首吊りの状態になってしまう。着けているだけでも苦しいこの拷問具とそのしくみの組み合わせによって、僕は全身の自由が奪われているのだ。いや……、正確には……、僕たち――
 そこで僕はあらためて、残されたもうひとりの存在に意識を向けた。視線を隣へ移す。
 僕と同じ、全裸に首枷の男。目隠しはしていない。二十代後半――僕と同じ歳ほどだろうか。
 彼の表情からは血の気が失せ、紫に変色した唇だけが妙に目立っている。全身は小刻みに揺れていた。
 既に半分、腰が抜けてしまっているようだ。彼が果たしていつからその光景を目にしていたのか、僕にはわからない。だが、彼から痛いほど伝わってくる恐怖心を考えれば、一部始終を見た可能性も否めない。あの肉塊ができるまでの過程を今まで見ずに済んだのは、幸いだったのかもしれない。その僕ですら、自分がまだ平常心を保てているのが不思議なくらいなのだから。
 彼は時々、膝をカクンと折っては苦悶の声を漏らし、再び爪先立ちになっては、喉の焼けたような擦れた声を上げる。それは言葉になっていない。当然、意味も伝わってこない。ただ、涙を流して助けを乞うている、ということだけは確かなようだった。
 絶え間なく響く音は、却って意識から追い出され、聞こえなくなってしまう。例えるなら、夏の蝉の声だろうか。彼の耳障りな叫び声はそれと同じで、僕が彼を意識して初めて僕の耳に届いた。
 もちろん、僕だって怖い。
 残ったのが二人ということは、次は僕か彼のどちらかが殺されるということだ。先ほど変異したあの男のように、凄惨な最期を遂げるのだろう。一体、どうやって? 怖い……。身体が震えてくる。心臓は激しく運動していても、恐怖心は全身を寒くしていくばかりだ。しかし、隣でこうも激しく狂乱の声を上げる人間がいると、なぜか同じ行動を取る気にはならない。不思議なものだと思った。
 二枚の板が女性の手を離れ、乾いた音を立てて床に転がる。僕にはそれが、新たな死の幕開けを暗示するサインのように聞こえた――

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Soulさんより、第四弾です。
今回頂いた作品は、以上になります。
本当に、どうもありがとうございました。
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● 辻美里
女子高生シリーズ」より

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