Black Onyx [ブラックオニキス];2008/ 07の記事一覧

ここでは、Black Onyx [ブラックオニキス]での 2008年 07月 に掲載した記事を表示しています。
 何が起こったのか、僕には理解できなかった。
 ただ一つ確信したのは、もう救いはないのだということ。きっと彼女たちは、先生までも……
 サキは何事もなかったように教室に入ってきた。そして皆に向かい、
「ねぇ。せっかく来てくれたんだからさ、渚にも挑戦してもらわない?」
 と呼びかける。女子たちはまた歓喜の声を上げた。
 僕は絶望した。
 それは僕が、こういう状況で渚ちゃんが首を横に振ることがないことを知っているから。
 そして、僕が絶対に彼女に逆らえないということを、僕自身が知っているから。
 自由の利かなくなった身体に鞭打ち、美里の方を見る。美里は相変わらず笑顔のままだった。
 ――妹も、今回の一件で僕に失望してしまうのだろうか。
 そう考えるとやりきれなかった。悲しみの涙が溢れそうになる。
「うん。やらせて」
 渚ちゃんの口から、思った通りの答えが聞こえた。僕は今日、殺されてしまうのかもしれない……
 
 教師になることを夢見て教育実習にやってきた。
 大学での学習も怠らなかった。ひたすら学問に励み、ようやく踏み出した教師への第一歩。
 でも、教師という仕事はそんなに簡単なものではなかった。僕は、現実を甘く見ていた。
 
 渚ちゃんが僕の身体を足で小突く。
 全身から力の抜けた僕は彼女の為すがまま。大の字で床に横たわる形になった。
 ――最後に見えたのは……渚ちゃんの、悪魔のような笑顔と……
 ドスンという音が僕の耳にまで届いた。
 ――渚ちゃんが僕の腹目掛けて思いきり踏み下ろした足。そして……
「ごぶうぅ……」
 ――僕の口から吐き出された、不思議な色の液体……
 薄れゆく意識の中で、僕は快楽を感じていた。あぁ、そっか。また射精したのか……腹責めで……

 『生徒に深入りしないこと』
 その言葉の意味を、僕は知った。

 ――あっちゃー! 渚ちゃん、やっちゃったか。
 ――この遊びは気絶させちゃったらダメなんだよねー。
 ――仕方ないよね。初めてであまりルールも知らないんだし。
 ――それに今日は三人がボコったしね。
 ――あれ? 何か先生、股間濡れてない……?
 
 遠退く意識の中で、僕はそれらの声の数々を静かに聞いていた。

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