{
2008/07/12(土) }
男子は蹲り、嘔吐した。激しく咳き込んではいるが、辛うじて意識は保っているようだった。
失禁した上に吐瀉物を吐き出した彼を、女生徒たちは嘲笑し、激しく罵倒した。そのうちの一人が、声高らかに「十一分二秒!」と叫ぶ。
背筋に冷たいものを感じる。同時に、熱い血が沸々と身体中に巡っていくのがわかる。
――彼女たちにとって、暴力は遊びであり、ゲームなのだ。決して許されることじゃない。
固く拳を握る。震える唇を目一杯噛み締める。もう我慢の限界だった。
僕のやり切れない気持ちは、この異様な光景を目にした渚ちゃんにとっても同じだと思っていた。
しかし、彼女は違った。
「面白そうだね……」
と呟くと、蹲った男子の後ろの襟首を掴み、ぐいと持ち上げる。ぐったりとした彼を見ながらにっこりと微笑む。その表情は、彼女の冷酷さを存分に醸し出していた。彼は怯え、激しく身体を震わせた。
複雑な心境に苛まれる。これは失望感? それとも……嫉妬心? 僕は再び混乱していた。
――僕のご主人様が……今まさに別の男を……
気付けば僕は扉の窓越しに顔を近付け、その光景に魅入ってしまっていた。
渚ちゃんの口の端がゆっくりとつり上がる。瞳が妖しい輝きを放つ。飢えた獣のようなそれは、昨日僕が目の当たりにしたものと同じに見えた。
記憶がまざまざと蘇ってくる。
生殺しのまま帰宅した僕は、その後の忙しさや疲れからすぐに寝入ってしまった。悶々としつつも、放出することなく。
下半身がそれを主張するように、今になって激しく疼いてきていた。
その時、背後に気配を感じた。驚きふり返ると、そこにはサキが立っていた。
「あ、あの……これは……」
言葉がうまく出てこない。
サキはくすくすと笑いを零した。彼女がそっと呟く。
「仲間に入れてあげるよ。先生」
「あ……あぅぅ……」
サキはガラリと扉を開け、僕の背中をドンと押す。僕は勢いよく教室内に倒れ込んだ。
皆の視線が一気に僕へと注がれる。それは渚ちゃんも同じだった。
「うわああぁぁ!」
と叫び、男子はふらつく足取りで教室を飛び出していった。
「……せっかくのゲームが……台無しね」
と、渚ちゃんがポツリと漏らす。その表情からは笑みが消え、無感情な瞳が僕を貫いていた。
ストップウォッチを手にしていた彩香も続けて、
「責任取ってよね、先生」
と、ずいと僕に詰め寄る。
僕は腰を抜かしてしまっていた。見回すと、他の女生徒たちは皆、口元に笑みを浮かべていた。
ふと、美里の姿が目に入る。彼女は戸惑いの瞳で僕を見つめていた。
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失禁した上に吐瀉物を吐き出した彼を、女生徒たちは嘲笑し、激しく罵倒した。そのうちの一人が、声高らかに「十一分二秒!」と叫ぶ。
背筋に冷たいものを感じる。同時に、熱い血が沸々と身体中に巡っていくのがわかる。
――彼女たちにとって、暴力は遊びであり、ゲームなのだ。決して許されることじゃない。
固く拳を握る。震える唇を目一杯噛み締める。もう我慢の限界だった。
僕のやり切れない気持ちは、この異様な光景を目にした渚ちゃんにとっても同じだと思っていた。
しかし、彼女は違った。
「面白そうだね……」
と呟くと、蹲った男子の後ろの襟首を掴み、ぐいと持ち上げる。ぐったりとした彼を見ながらにっこりと微笑む。その表情は、彼女の冷酷さを存分に醸し出していた。彼は怯え、激しく身体を震わせた。
複雑な心境に苛まれる。これは失望感? それとも……嫉妬心? 僕は再び混乱していた。
――僕のご主人様が……今まさに別の男を……
気付けば僕は扉の窓越しに顔を近付け、その光景に魅入ってしまっていた。
渚ちゃんの口の端がゆっくりとつり上がる。瞳が妖しい輝きを放つ。飢えた獣のようなそれは、昨日僕が目の当たりにしたものと同じに見えた。
記憶がまざまざと蘇ってくる。
生殺しのまま帰宅した僕は、その後の忙しさや疲れからすぐに寝入ってしまった。悶々としつつも、放出することなく。
下半身がそれを主張するように、今になって激しく疼いてきていた。
その時、背後に気配を感じた。驚きふり返ると、そこにはサキが立っていた。
「あ、あの……これは……」
言葉がうまく出てこない。
サキはくすくすと笑いを零した。彼女がそっと呟く。
「仲間に入れてあげるよ。先生」
「あ……あぅぅ……」
サキはガラリと扉を開け、僕の背中をドンと押す。僕は勢いよく教室内に倒れ込んだ。
皆の視線が一気に僕へと注がれる。それは渚ちゃんも同じだった。
「うわああぁぁ!」
と叫び、男子はふらつく足取りで教室を飛び出していった。
「……せっかくのゲームが……台無しね」
と、渚ちゃんがポツリと漏らす。その表情からは笑みが消え、無感情な瞳が僕を貫いていた。
ストップウォッチを手にしていた彩香も続けて、
「責任取ってよね、先生」
と、ずいと僕に詰め寄る。
僕は腰を抜かしてしまっていた。見回すと、他の女生徒たちは皆、口元に笑みを浮かべていた。
ふと、美里の姿が目に入る。彼女は戸惑いの瞳で僕を見つめていた。
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