Black Onyx [ブラックオニキス];2008/ 07の記事一覧

ここでは、Black Onyx [ブラックオニキス]での 2008年 07月 に掲載した記事を表示しています。
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「それで、何の勧誘にいらっしゃったんですか?」
 ソファで休ませていた老人が、ある程度回復したのを見計らい、私は声をかけた。
「えぇ。どうもお手数をおかけいたしまして」
 老人はそう言いながら横になっていた身体を起こす。そして、
「とりあえず、このパンフレットをご覧いただけますでしょうか?」
 と、二冊のパンフレットを私に手渡す。そこには『グッドライフ』という社名が印字されていた。大雑把にざっと目を通す。どうやら習い事に関する入会の勧めのようだ。書道、ペン字、速読などの室内向けのものから、ボート、キャンプ、フィッシングなどの屋外向けのものまで、あらゆるジャンルの講座が掲載されている。
 老人は何気なくすっと身を乗り出す。そして得意げに話し始めた。
「自ら学び、自身を高めていくことの価値が見直されている現代。生涯学習の大切さが叫ばれています。しかし、現実にはなかなか自分の学びたいことが見つからない。やりたいことがあっても時間が取れない。そんな悩みをもっている方が非常に多いのです。私共、グッドライフは、そんな皆様方を全面的にサポートし、有意義でやり甲斐のあるライフワークを提供したいという理念の下に設立された、習い事スクールです。私はそこからの勧誘員でして――」
 活き活きと話す老人。しかし私の心は、どうもそのテンションについていけなかった。そもそもパンフレットで紹介されている講座自体に魅力を感じない。どれも、探せばどこかで見つかりそうな講座ばかりだ。家の中にまで招いておいて何だが、無理に加入する必要はない。すぐに断って帰ってもらおうと口を開きかける。しかしそれは老人の言葉によって遮られた。
「ほら、これなんかいかがでしょう? インターネット技術向上。現代は一家に最低一台パソコンといった時代です。扱えるに越したことはないと思いますが」
 そう言った老人の顔は、実に輝いていた。何となく断り辛くなり、
「えぇ、確かにそれはあるかもしれませんね」
 と、曖昧な返事をする。しかし、契約をするつもりがないのに気をもたせるのも気の毒だ。
 私は加えて、
「でも、パソコンで不自由を感じたことはありませんから。これは結構です」
 と丁重に断る。老人は「そうですか」と力なく項垂れた後、再び言葉を続ける。
「では、これはどうでしょう? 英会話講座です。国際化の時代ですからね。これからますます海外の方との交流の機会も多くなってくることでしょう。コミュニケーションのひとつも――」
「いえ。英文科卒なので。一応、人並み以上には話せますから」
 この時も老人は「ふうっ」とため息をついて俯く。そして今度は二冊目のパンフレットを開き、私に詰め寄る。
「もしかしたら奥様は健康志向でいらっしゃるのかもしれませんね。では、こちらのフィットネス講座などはいかがでしょう?」
 その老人の『奥様』という言葉が少し癇に障った。私はまだ未婚の二十代だ。老人は続ける。
「奥様は稀に見るお美しい方です。素敵なプロポーションでもいらっしゃる。でも、年齢とともに体型は崩れていくものです。この機会にぜひここでひとつ」
 熱心に元気良く話す目の前の老人に多少の不快感を覚える。どうして奥様だと決めつけるのか。それに、仮にも女性の体型についてとやかく言うなんて、無神経だ。
 私の内面にイライラとした感情が募ってくる。それと同時に、ひんやりと冷めたものが血を巡るような気がした。再び老人を見た時、上品に感じていた彼の顔が少し卑しく見えた。
「つまらないですね。全く興味ないです」
 冷たい言葉が口をついて出たことに驚いた。普段は決してこんなこと口にしないのに……

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「朝早くに申し訳ありません。さぞや驚かれたことでしょう」
 柔らかな口調で初めて老人が言葉を口にする。もちろん驚いた。憤りすら覚えた。さっきまでは。しかし今の自分からは、不思議とそんな感情は消えていた。
 曖昧に「はぁ……」と返事をする。それが精一杯だった。老人は言葉を続ける。
「私、この度、勧誘の目的でこちらへお伺いいたしました。鬱陶しいとお思いでしたら、今すぐ私を殴るなり蹴るなりして、血だらけにして追い出してくださって構いません」
 老人が軽い口調で言う。正直、勧誘になど全く興味はなかった。しかし、いくらなんでも暴力をふるってまで追い返す必要は感じない。だからと言って、そっけなく追い出すのも何となく躊躇われる。
 確かにさっきの横暴な呼び出しは異常だった。休日の優雅な睡眠を邪魔された。少し前までは怒りを抑えるのに精一杯だった。でも……
 目の前の老人は満面の笑みを浮かべていた。嫌味のない、可愛げすら感じさせるあどけない雰囲気。その表情を見ていると、なぜかそんなことはどうでもいい気になってしまう。
 今日は特に予定も入っていない。普段ならまだ眠っている時間帯だ。早朝の番組などにも興味はない。
 何の勧誘かはわからないが、気に入らなければ断ればいい。しつこい態度を取るようなら、その時こそは力ずくででも追い返せばいい。確かに私が女だという点では、一見その方法はリスクが大きい気もする。しかしだからといって、この非力そうな老人に負ける気など微塵も感じなかった。
「そんな物騒な。おかしな方ですね。わかりました。お話だけなら」
「いや、これはどうも。ありがとうございます。恐縮です」
 そう言うが早いか、老人の足が急にカクンと膝から曲がり、地面に倒れかかる。私はとっさに老人の身体を支えた。老人は気恥ずかしそうに「これは失礼」と苦笑する。
 元気に見えるとはいえ、彼は老体なのだ。炎天下での勧誘は、さぞ身体に負担がかかることだろう。
 同情の念が込み上げる。老人に肩を貸しながら、私は言った。
「ここでは何ですから、どうぞ中へ」
「あ、いえ。滅相もない。決して長居するつもりはございませんので」
「それは私も同じです。長居していただく気はありません」
「でしたら――」
「そんな状態で話せますか? それに玄関口で説明を聞くのは、意外と煩わしいものなんです」
 気遣いから出た言葉だった。しかし老人は弱々しい声で、なおも食い下がってくる。
「……でも、仮にも私は勧誘員です。どうにかしてご契約を頂きたいと思っています。ですので、私が言うのもおかしな話ですが、そんな貪欲な人間を家の中に招いたら、却って断り辛くも――」
「その時はあなたがさっきおっしゃったように、殴って、蹴って、血だらけにして追い返しますから」
 そう言って、老人と微笑み合った。その時突然、血塗れになった老人の姿が脳裏を過った。なぜか私の鼓動が高鳴る。その理由はわからない。すぐに我に返った。
 老人の顔を見る。
 彼は私の肩に凭れたまま、何度も何度も頭を下げていた。その柔らかな物腰に、私は好感すら覚えてきていた。

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 呼び鈴が鳴った。
 ベッドの上で夢見心地でいた私にとって、それは目覚まし時計の音以上に不快なものだった。
 休日の、しかもこんな早朝から友人が来るわけがない。ネット商品の類も注文した覚えはないし、もちろん出前なども頼んでいない。
 宅配便だろうか。それとも何かの勧誘? もしかしたら宗教団体かもしれない。
 いずれにしても、今はまだ起きる気にはなれなかった。勧誘などの人間であれば無視していればいい。宅配便であっても、不在伝票のひとつも置いていくだろう。後から連絡しなおせば済むことだ。第一、私はまだネグリジェ姿のままだ。わざわざ着替えるのも億劫だった。
 エアコンから流れる涼しい風が心地良い。私は夏用の薄い毛布に包まり、再び夢の中へと誘われていく。
 しかし間もなくベルが二、三度続けて鳴らされ、眠りを妨げられる。呼びかける声はない。また二、三度。なかなかその音が鳴り止む気配はない。さらに二、三度。そのうち、音は嵐のようになって部屋を包み込んだ。
 しつこい。だんだんと苛立ってきた。怒りが沸々と込み上げてくる。
 しばらく間を置いた後、ドンという大きな音が鳴った。思わずビクッと身を凍らせる。再度、同じ音が鳴る。どうやら入口のドアを叩き始めたらしい。音の間隔も短くなってきた。
 もはや我慢の限界だった。
 ベッドから身を起こすと、寝ぼけ眼のままワンピースに着替える。すっぽり被れて、着替えが楽だったからだ。ドアを開けずに声をかける。
「誰なの?」
 強い語調になる。朝早くからの非常識な呼びかけと、眠りを妨げられたことに憤りを覚えていたからだ。しかしながら、ドアの向こうからは応答する声がない。ますます苛立ちが募る。覗き穴からドアの向こうを見る。そこには確かに人影があった。
「誰かって聞いてんの! 返事くらいしたら?」
 感情的になる。何とか怒りを抑え、覗き穴の向こうへとじっと目を凝らす。面識のない人物だった。小柄な老人。白いスーツに身を包み、洒落たネクタイをしている。白髪は綺麗に整えられ、髭などは生えていない。さっぱりとした上品な印象の老人だった。ドアの向こうで軽く会釈している。
 少し拍子抜けしたような気分になる。おそらくこの人物に少しでも小汚い印象を受けたなら、怒鳴りつけて追い返してやろうという気持ちにもなっただろう。しつこいようなら、頬の一発でも張ってやろうかと思っていたほどだ。しかし目の前の老人は、私からそんな気持ちの一切を取り去ってしまった。
 さっきまでの怒りがまるで嘘のようにも感じてくる。老人はドアの前で屈託のない朗らかな笑みを浮かべていた。先ほどの失礼な行為など全く意に介していないような悪びれない表情。
 私はこの老人の不思議な魅力に惹かれるように、無意識にドアを開けていた。
「あの、どちら様でしょうか?」
 私は当初の勢いを失っていた。その言葉を聞いた老人は、無邪気に微笑んだ。ドアとの隔たりが無くなった今、その老人の顔ははっきりと見える。幼さすら感じさせる無垢で憎めないその表情に、私はすっかり心のドアも開いてしまったような安心感を抱いていた。

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【SEX】
  ・・・・最高の愛情表現。本能を剥き出しにして、お互いに感じ合う行為。

   例:ある時は内臓を砕く。ある時は喉を踏み潰す。ある時は顔面を蹴り飛ばす。
     ある時は身体中を切り刻む、突き刺す。ある時は中身を抉る。ある時は…………
     その方法は様々。何より、飾らずに本来の自分の姿を晒すことが大切。
     相手の男性に全てをぶつけ、存分に破壊していくこと。

   注:本能的な声を喉から漏らす男性が多い。断末魔の声と言っても過言ではない。
     この時点では、既に言葉を発することができなくなる人も多い。
     相手の男性がそれだけ感じているのだという証拠。やはり自信をもつことが肝心。

【逝く】
  ・・・・性的快感の絶頂(オーガズム)に達した状態。男性は射精を伴う。本能が完全にむき出しになる瞬間。

   例:相手の男性を破壊するものが一般的。
     自分の好みのスタイルで感じられることが大切。

   注:男性の精液は身体の至る所から噴出する。方法によって、噴出部位は異なる。
     上述したように、その色は透明だったり、黄色っぽかったり、赤黒かったりと様々。
     この時、稀に白い液体が出ることもある。下半身から精液が出る場合である。
     自分はそれらの「返り液」を注がれる。
     身体中が塗れた状態になると言った方が適切かもしれない。
     その時、自分もまた絶頂(オーガズム)に達する。

【事後】
  ・・・・絶頂後に味わう安らぎの時。心も身体も満たされた状態になれることが理想。

   例:静かにその瞬間を味わうもよし。さらに罵倒や嘲笑、暴力などの愛情表現をするもよし。

   注:男性は痙攣したり、動かなくなったり、再起不能になったりする。
     その姿が奇怪だったり、滑稽だったりすれば、それが男性の快楽アピール。
     自分も時々、快楽と愉悦の中で身体中が動かなくなったりする。
     心も身体も満たされたと感じられたら、それが最高のSEX。



END

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【キス】
  ・・・・愛情表現のひとつ。自分の愛情を示すための行為。

   例:罵倒、嘲笑、髪掴み、ビンタ、首絞め、威嚇など、その種類は多様。

【フェラチオ】
  ・・・・男性の感度を高める行為。男性への奉仕としての役割ももつ。

   例:主に臓腑など、男性の内部を直接刺激するものが一般的。
     パンチや蹴り、肘や膝、お尻などを使った肉体的攻撃。様々なテクニックがある。

   注:感度の高い男性の場合、この時点で逝ってしまうこともある。口から精液を吐き出す。
     精液は本当は白くない。透明だったり、黄色っぽかったり、赤黒かったりと様々。
     男性は射精した後にぐったりするというのは本当。
     稀に病院行きになることも。その時はここでSEX中断。
     自分のテクニックが功を奏したのだと自信をもつことが肝心。

【愛撫】
  ・・・・男性の感度を高める行為。自分の愛情を示すための行為。愛でながらボディタッチする愛情表現。

   例:全身に暴行を加えるなど、身体全体を痛めつけるものが一般的。
     痣を作ったり、骨を折ったり、流血させたりと、その方法は多様。

   注:喘ぎ声を上げる男性が多い。それは悲鳴にも絶叫にも似ている。
     汗をかいたり、涙を流したり、命乞いしたりする男性の反応で、感じてきているのがわかる。
     「もうやめてください」は「もっとお願い」の裏返し。
     愛情をもって、よりたくさん可愛がってあげることが肝心。

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無事、設立一周年を迎えられましたことを、大変嬉しく思っております。
これも、ご来訪いただいている皆様方に支えられてきたお陰です。感謝の念は尽きません。
いつも、本当にありがとうございます。
これからも、さらなる飛躍を目指して突き進んでいく所存です。
今後も、Black Onyx [ブラックオニキス]を、何卒よろしくお願いいたします。

第一回から三回まで、大変多くのご回答を頂き、誠にありがとうございます。
皆様から頂いたご回答が、作品制作への指針になることも多々ありました。
お声をお聞きすることで、励まされ、意欲を掻き立てられました。
今後も引き続き、お気軽にご投票いただけたら有難いです。
また、結果のみの閲覧も可能です。ご参考になれば幸いです。


今回もアンケートを実施しますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
簡単なものなので、よろしければぜひご協力ください。(複数回答可

●アンケートは◆こちら◆
(※投票停止しました。)

●旧アンケート結果(※投票停止)
逆リョナ街道模索中。
いつも当鬼畜サイトへのご来訪、誠にありがとうございます。

今回の作品については、特筆したいことは何一つございません。
たまにはこんなのもありかな、と。軽い気持ちで読んでくだされば幸いです。
ただ、「これ、小説?」というキツイ言葉責めは、どうぞご勘弁を(苦笑)

ところで話は変わりますが、今回触れておきたいことがあります。
web拍手についてです。
いつもお気持ちをボタンに込めてくださっている方々に、あらためてお礼を申し上げます。
本来なら特典も何もないweb拍手なんて、正直押すメリットなど無いと思うのです。
にも関わらず、日々拍手を押してくださるご来訪者の方々が何と多いことか。
本当に、感謝の念が尽きません。
皆様の真心がしみじみと伝わってくるようで、つくづく幸せだなぁと感じています。

毎度、皆様のご訪問や応援に励まされ、創作意欲を刺激していただいています。
これからも何卒ご贔屓に。

●台詞ボイス →

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 相変わらず、みっともない格好ね。
 裸になって、仰向けに横たわって。無様な姿を晒して……
 つくづく気持ち悪い子。よく恥ずかしくないね。
 何この弛んだお腹は? 何この薄汚れたお尻は? 何この腐ったような臭いは?
 あなたの存在の全てが醜いの。わかるでしょ?
 
 こんなこと言われて、あなたはまた下品なところを膨らませてるのね。
 その手をどうしたいの?
 まさか私の前で下半身を触るなんていう馬鹿な真似はしないよね。
 あら? どうして泣くの?
 そう。いいのよ、私は別に。欲望に忠実になりなさいよ。
 その時は、私があなたをここから解放してあげるから。
 そしたら、もう二度とあなたが私を見ることはなくなるでしょうけど。
 
 ……ふふっ。目から鼻から口から、どんどん汚い液が垂れてきてるじゃない。
 そんなに嫌なの? そんなに怖いの?
 それなら、その手はどうすればいいかわかるよね?
 
 私の前で跪けることに感謝するのね。
 絶対に手の届かないその場所が、あなたにはお似合い。
 いつまでも私を眺めてればいいの。
 それ以上を望むような悪い子は要らないから。よく覚えておきなさいね。
 
 私の目に触れさせてる自分の存在を恥ずかしいと思いなさい。
 何の価値も無いあなたが、そうやって生きてることを悔やみなさい。
 でも、私はもちろんそんなあなたを慰めたりしない。温めたりしない。
 あなたはそんな期待をするような下劣な子かしら?
 それとも、ご主人様の言いつけをちゃんと守れる惨めで愚かな生き物かしら?
 
 ……そう。
 いい子にはご褒美をあげる。
 罵倒して、愚弄して、嬲って、嘲って、殴って、蹴って、絞めて、縛って、切って、刺して……
 その時にあなたは、……そう。私に心から感謝の意を伝えなさい。
 側にいたいんでしょ? 捨てられたくないんでしょ?
 それならどうすればいいか、わかるよね。
 
 身を尽くして、私を楽しませなさい。
 それができるなら……
 ……そうね。私が飽きるまでは飼っていてあげようかしら。



END

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「今」という時間が人生で一番若い時

どこかで 誰かが そう言った

そんなこと 誰もが思ってる でも 誰も考えてない

そんなこと 誰もが知ってる でも 誰も意識してない

そして 行動しない

なぜ?

多分 生きることに必死だから

多分 立ち止まる余裕なんて無いから

多分 はじめの一歩には 勇気が必要だから

だから 楽しみや快楽も ある時 突然向こうから訪れる そんな風に 何となく思ってる

「いつか」って言葉が夢に過ぎないなんて 誰もが認めたくないはずだから

私に責められたいの? それは嬉しいな いいよ 「いつか」ね

私みたいな異常性癖の人? 出遭う機会があるかもしれないよ 「いつか」ね

ほら今も 今が過ぎていってる そしてまた 今が流れていく

その中で きちんと老いていくだけの自分に 気付かないふりをしてる

「いつか」を頼りにしてね でも それでいいのかもしれないね

リスクを伴う大きな幸福より リスクの無い小さな幸福

聡明なあなたの選択を 誰も責めたりしないから



END

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迫力満点!
suzuroさんから、またまた新たにキャラクター責め絵を頂きました。
優美子×竜崎は当サイトの処女作ゆえ、大変懐かしく、感動させられました。
いつもご協力、本当にありがとうございます。
※画像をクリックすると、拡大します。携帯の人はこちら→ 1 2

    
● 優美子 2 (※一枚目はこちらに掲載)
優美子シリーズ」より
 suzuroさんコメント…優美子といえば腹パンチですよね。個人的に、竜崎君も好きです。
 ryonazコメント…彼女の殺人級ボディブローの描写が素敵です。台詞の違いも良いですね。

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●Baby〈ベイビィ〉 おおつぼマキ [秋田書店]
 1巻:脇腹にデッドボール、苦悶

●鬼畜大辞典 DEATH-CORT 柿ノ本歌麿 [松文館]
 腹に膝蹴り、気絶

●Anne・Freaks 小手川ゆあ [角川書店]
 1巻:腹に蹴り
 〃 :脇腹にパンチ、苦悶

●ひぐらしのなく頃に 語咄し編 原・竜騎士07 [スクウェア・エニックス]
 (女こまし編~最高のパラダイスをどうかあなたに…~ 話・大渡鴉 画・高坂りと)
 腹に肘打ち、吐血
 腹にパンチ、吐血、気絶

●とある魔術の禁書目録 原・鎌池和馬 画・近木野中哉 キャラ・灰村キヨタカ [スクウェア・エニックス]
 2巻:腹に膝蹴り、出血、苦悶

●名探偵コナン 青山剛昌 [小学館]
 17巻:腹に肘打ち、苦悶

●SOUL EATER ソウルイーター 大久保篤 [スクウェア・エニックス]
 5巻:腹にパンチ
 6巻:腹にパンチ刺し、出血
 12巻:腹にナイフ刺し、出血、苦悶
 〃 :腹を踏み付け、出血


※注
 ・全て女から男への腹責めです。(※一部、性別不詳キャラクターあり)
 ・記載したキーワードは全て、私の見た限りの独断です。
 ・逆リョナ情報をお持ちの方は、ぜひお寄せください。
  (尚、「逆リョナ@wiki」に掲載する情報は、匿名をデフォルトとさせていただきます。)
  → ◆逆リョナ@wiki [ Gyaku-Ryona@wiki ]
これまでの「女子高生シリーズ」の内容を多く含んだ作品となっております。
ですので、本作で語っていない背景なども多々あります。
お時間に余裕のある方はシリーズを通してお読みくだされば、よりお楽しみいただけるかと思います。
できるだけ単独でも楽しめる作品を心がけてはいるのですが……
事実関係や伏線等について逐一触れると、くどかったり、不自然だったりしますので。
どうぞご容赦くださいませ。


登場人物も多くなってきましたので、人物相関図を作ってみました。
(これまたドヘタクソで大変わかりにくく、申し訳ない限りなのですが)
あくまで、本作に関わった人物を中心にまとめています。
これ以外にもストーリーに絡んできた人物はいるのですが、あえて省略しています。
(本作から読んでいただいた方もいらっしゃると思いますので)
人物整理の参考になれば幸いです。
※携帯でご覧の方はまともに見られないかもしれません。すみません。


   実習生[家庭教師] ―(主従関係)―渚
          |               /
          (兄妹)           /  
          |           (友人)
 ┌(友人) ― 美里 ― (友人)┐  /
  |                   | /
彩香 ―――(友人)――― 紗希 ― (調教済) → 担任


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今後とも、Black Onyx [ブラックオニキス]を、何卒よろしくお願いいたします。

●渚のキャラ絵 →  
●美里のキャラ絵 →   
●彩香のキャラ絵 →  
●紗希のキャラ絵 →   

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 気が付くと、僕は渚ちゃんの膝枕で寝かされていた。
 びっくりして跳び上がりそうになる。が、身体はまだ動きそうになかった。
 場所はおそらく教育相談室だろう。校内案内の時に、やたら暗い教室だと印象に残っていた。
 ――僕は、生きているんだ。
 それを実感した時、安堵で再び全身の力が抜けていくようだった。
「おはよ」
 と、渚ちゃんが声をかけてくる。僕は申し訳なく思い、謝罪の言葉を口にする。
 渚ちゃんはくすっと笑いを零すと、僕の頭をそっと撫でた。
 僕は渚ちゃんの優しさに、つい涙を流してしまう。美里がそこにいることに気付いたのは、その時だった。僕と渚ちゃんの様子を見ながら「ふふっ」と笑い声を漏らす。
 美里はあらためて僕に「おはよう、お兄ちゃん」と呼びかけ、屈託のない笑顔を見せた。
 僕はそんな美里に会わせる顔がなく、つい目を背けてしまう。
「本当は心配してたの」
 と、美里が口を開く。ひと息つき、再び言葉を続ける。
「お兄ちゃんが家庭教師に行って、いつも痣つくって帰って来てるの……知ってたから」
 僕はその言葉を聞いてますます恥ずかしくなる。
 昨日部屋を出る前に妹が口にした『家庭教師様』の引っかかりの理由がわかった気がした。あれは美里なりの皮肉の言葉だったのだ。
 ――でも、家庭教師だったのは本当だ。決してやましい気持ちで始めたんじゃない。
 それだけは信じてもらいたかった。しかし、喉が痛くて話せない。たくさん絶叫したためだろう。しかし美里は頷き、「わかってる」と僕の両手を握り締めた。僕は救われた気がした。
「紗希さんから渚さんのこと聞いたの。お兄ちゃんが寝てる間、いろいろ話したんだよ。本当に素敵な人で、安心した」
 美里の言葉に、渚ちゃんが少し頬を染める。美里がさらに続ける。
「それにね……あなたは私のお兄ちゃんだからね」
 ――どういう意味だ?
「Mだって、全然不思議じゃないよ」
 渚ちゃんと美里が目を合わせ、微笑み合う。その視線が僕の首元に注がれているのがわかった。見れば、身に着けていた上半身スーツは脱がされ、僕はワイシャツ一枚の姿になっていた。ネクタイが緩められ、ボタンは上から四つ目まで外されていた。
 当然、首輪は剥き出しになっていた。僕はまた恥ずかしさから項垂れる。
「一応、私なりに他人行儀にしようと頑張ったんだけどね。お兄ちゃん、私にも感じちゃうし」
 そう言って、美里はまた「ふふっ」と笑う。
「美里ちゃん以上にドMってことでいいのかな」
 と、渚ちゃんが言い、二人は笑い合った。僕は、ただ俯くことしかできなかった。

 渚ちゃんと出会ってから、僕の周りがどんどん変化していく。
 彼女は僕を捕え、檻に閉じ込めてしまった。
 もがいても、決して出ることはできない心の檻――
 その鍵は、彼女だけが持っているのだ。
 今でも、そして、これからも。



END

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 何が起こったのか、僕には理解できなかった。
 ただ一つ確信したのは、もう救いはないのだということ。きっと彼女たちは、先生までも……
 サキは何事もなかったように教室に入ってきた。そして皆に向かい、
「ねぇ。せっかく来てくれたんだからさ、渚にも挑戦してもらわない?」
 と呼びかける。女子たちはまた歓喜の声を上げた。
 僕は絶望した。
 それは僕が、こういう状況で渚ちゃんが首を横に振ることがないことを知っているから。
 そして、僕が絶対に彼女に逆らえないということを、僕自身が知っているから。
 自由の利かなくなった身体に鞭打ち、美里の方を見る。美里は相変わらず笑顔のままだった。
 ――妹も、今回の一件で僕に失望してしまうのだろうか。
 そう考えるとやりきれなかった。悲しみの涙が溢れそうになる。
「うん。やらせて」
 渚ちゃんの口から、思った通りの答えが聞こえた。僕は今日、殺されてしまうのかもしれない……
 
 教師になることを夢見て教育実習にやってきた。
 大学での学習も怠らなかった。ひたすら学問に励み、ようやく踏み出した教師への第一歩。
 でも、教師という仕事はそんなに簡単なものではなかった。僕は、現実を甘く見ていた。
 
 渚ちゃんが僕の身体を足で小突く。
 全身から力の抜けた僕は彼女の為すがまま。大の字で床に横たわる形になった。
 ――最後に見えたのは……渚ちゃんの、悪魔のような笑顔と……
 ドスンという音が僕の耳にまで届いた。
 ――渚ちゃんが僕の腹目掛けて思いきり踏み下ろした足。そして……
「ごぶうぅ……」
 ――僕の口から吐き出された、不思議な色の液体……
 薄れゆく意識の中で、僕は快楽を感じていた。あぁ、そっか。また射精したのか……腹責めで……

 『生徒に深入りしないこと』
 その言葉の意味を、僕は知った。

 ――あっちゃー! 渚ちゃん、やっちゃったか。
 ――この遊びは気絶させちゃったらダメなんだよねー。
 ――仕方ないよね。初めてであまりルールも知らないんだし。
 ――それに今日は三人がボコったしね。
 ――あれ? 何か先生、股間濡れてない……?
 
 遠退く意識の中で、僕はそれらの声の数々を静かに聞いていた。

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 膨らみは女生徒たちによって目聡く見つけられる。
「ちょっと、先生。またここ大きくしてんじゃん」
「ホント、どうしようもないね、このマゾは」
 切り裂くような罵倒を浴び、僕のプライドは既にボロボロだった。背徳感が僕の全身を包む。なぜなら僕は、女生徒たちの知らない事実を知っているから。僕が実の妹に欲情したという事実を……
 僕は妹を汚してしまった。自責の念に駆られる。美里の顔を見るのが怖かった。妹に軽蔑されるのが怖かった。
 ちらりと上目遣いに美里を覗く。彼女は笑っていた。しかし心の中ではきっと……
 その時、ドスンと強烈な一撃が僕を襲った。美里の後ろ回し蹴りが、僕の腹部に見事にクリーンヒットしていたのだ。気付けば彼女の踵は、僕の脇腹に喰い込んでいた。
「うえっ……うげえええぇぇっ……げえぇっ……」
 僕は再び嘔吐した。しかし先ほどのような吐瀉物は出てこない。胃の中が空になってしまっているためか、黄色い液体が喉の奥から絞り出されるだけだった。
 強烈な刺激が鼻を劈く。僕は嘔吐感のみに苛まれ、その苦しさから涙を零した。
「泣いてるの? 先生」
「変なとこ膨らませながら?」
「マジキモイんだけどー」
 再び罵倒の数々を浴びせられる。僕は力なくその場に倒れ込んだ。
 女生徒たちの騒がしい声は、既に僕の脳までは届かなくなっていた。


 意識があるだけに苦悶し続けなければならない。それは本当に残酷なことだと思った。
 突き上げるような嘔吐感をもよおす。しかし吐く物自体がもう内部に残っていない。だから僕は床に突っ伏したまま、何度も胃液を口から垂れ流していた。
 ――もう駄目だ。この子たちはもう、僕ではどうしようも……
 と、その時、扉の窓越しに希望の光が見えたような気がした。淡い期待が幻覚を見せているのではないかとも思ったほどだ。しばし目を疑う。しかし、その姿は確実にそこにあった。担任の先生だ。
 僕はこの時、生まれて初めて神様というものに感謝の気持ちをもった。
「た……たすけ……」
 僕の声は塵にも等しかっただろう。
 思った通り、それは女生徒たちの声によって簡単に消されてしまう。しかし先生がこの現場を見ているという事実が、これ以上ないほどの安心感を僕に与えてくれていた。これで助かるのだ――
 
 ふと違和感を抱く。
 待てども待てども、先生が教室に入ってくる気配がない。それどころか、先生の顔は不自然に強張っているように見えた。目を凝らす。そこにはサキの姿があった。先生の肩越しにサキの朗らかな笑顔が覗く。その瞳は透明感を宿し、口元には淡い微笑を湛えている。彼女はその唇を先生の耳元に寄せていた。ともすれば、直接触れてしまうほどの距離だ。先生は身動き一つ取らない。
 もちろん声は届いてこなかった。しかし、彼女がそっと何かを囁いたと思われたその瞬間、明らかに先生の表情に動揺の色が見て取れた。不敵に笑うサキと微震する先生の表情が窓越しに並んでいた。
 先生はやがて教室に背を向け、逃げるようにその場を離れていった。

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 僕は身体を丸めたまま、床に横たわっていた。
 顔を上げると、美里の姿がぼんやりと見えた。目が霞み、表情までははっきりと見えなかった。
 ――そうか、美里が……。かわいそうに。彼女たちに強要されて、無理矢理……
 思考力が戻ってくるのを感じる。同時に、罪の意識が僕を包み込む。本当は僕にはわかっていたのだ。自分がMであるために、美里に恥ずかしい思いをさせてしまっていることを。そして、現実逃避のために思考を止めていた自分自身の愚かさを。
「ごめんな。美里……」
 と、掠れた声で呼びかける。自分の不甲斐なさに心底呆れる。
 美里がすっと僕の襟を掴み、立ち上がらせる。
 僕は、足にほとんど力が入らなくなっていた。ぐったりと美里にもたれかかる。妹の顔を間近で見た時、僕の中の何かが動いたような感じがした。思わず身震いしてしまう。
 美里は笑っていた。そして歓喜の眼差しで、僕をじっと見つめていた。
「み、美里……?」
「胃の中身、まだ残ってますよね」
 その言葉と同時に、僕の腹に容赦なく肘を叩き込む。
「ぐふうぅっ!」
 僕はたまらず床に倒れ込もうとする。しかしそれは許されなかった。全体重の乗った僕の身体は、美里の拳によって支えられた。腹を突き上げられ、僕は拳にもたれた姿勢のまま呻く。
 取り巻きの女生徒たちが歓声を上げる。そう言えば、さっき彩香が、美里は今日が初めての参加だ、というようなことを言っていた気がする。おそらく美里が闘う姿を見るのも初めてなのだろう。
 しかし僕はそれを知っていた。
 美里は幼い頃から柔術を学んできたのだ。成績の良かった僕と比べて、彼女は勉強が苦手だった。せめて何か別の特技を、という気持ちで彼女が始めたのが柔術だった。美里は熱心に練習に取り組んだ。最終的には全国大会にも出場するほどの腕前になっていた。
 しかしいくらそうだとは言え、美里の力は僕の想像をはるかに超えるものだった。
 彼女は再びスーツの襟を掴み、僕の身体を起こす。そして、
「苦しいですか?」
 と、耳元で囁いた。そして勢いをつけると、僕の腹に重い膝蹴りを放つ。
「ぐえええぇっ!!……う、あぁ……」
 僕の喉は既に、音を発することさえままならなくなっていた。ただただ呻く。
 口からは絶えず涎が糸を引き、床へと零れていく。吐瀉物の臭気が鼻腔を劈き、一層気分が悪くなる。
 気を失ってしまえればよほど楽だろう。しかしそれすらもできない。
 さらに何度も、膝を鳩尾に叩き付けられる。
「手加減……いりませんよね?」
 と、美里が悪戯っぽくそう呟く。その言葉に打たれ、僕の興奮は高まりを見せた。自分の中の理性やモラルといったものの箍が外れていくような感覚。こんな状況なのに……。ましてや相手は、実の妹なのに……
 再び強烈な膝蹴りを受けた時、僕はまたしても下半身を大きく膨らませてしまっていた。

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 腹責め地獄とはよく言ったものだ。
 彩香の細い腕から繰り出されるパンチは恐ろしく重かった。延々と腹を責められ続ける苦しみは、まさに地獄と呼ぶにふさわしいと思えた。
「これは……暴力だ、げふぅ……。許されないこと……うえぇっ!」
 彩香は容赦なく僕の腹を殴り続ける。身体が持ち上がるほどの力で突き上げられる。一発打ち込まれる度に、僕は苦悶の声を絞り出す。昼食が喉元にまで上り詰めてくるのを必死で堪える。
「クラスメイトには……ぐえっ!!……しちゃいけな、ふぐぅ……」
 僕は殴られながら、必死で正義の声を上げた。少しでもこの気持ちが伝わると信じて。
 しかし、その声は想像以上に残酷な声をもって無惨に打ち消された。
 それは、女生徒全員の笑い声だった。落胆する。心が通じないことを無念に感じる。しかしその後の言葉で、僕は一気に血の気を失っていくような感覚に襲われた。
「先生……勃ってんじゃん」
 僕はその女生徒の言葉に動揺を隠せなかった。弾かれたように、笑い声の勢いが増す。
「マジ? 欲情してんの? うわっ、キモっ!」
「ドMかよ、先生。超サイアクなんだけど」
 ……唇が震えた。言われてすぐに理解した。僕は勃起していたのだ。教室中を包み込む笑い声が耳に痛い。先ほどまでの声とは全く質が違う。女生徒たちの笑い声は、僕自身の心に深々と突き刺さるものへと変わってしまった。もちろん、その理由は僕がよく分かっている。今やその声たちは、十分正当性をもつものとなってしまったのだ。
 ――僕は……陰茎を膨らませながら……説教を……
 言い返す言葉もなかった。自分の愚かさを憎らしく思った。
 諦めの気持ちが芽を出した頃、彩香が僕の耳元で、
「昼食、全部出してあげるね」
 と甘く囁く。その言葉で、僕の愚息はビクンと反応してしまう。
 一際強烈な彩香のパンチが僕の内臓を揺さぶる。僕はとうとう限界を迎えた。
 床目掛けて勢いよく吐瀉した自分を、失望感が包み込んでいった。


 嘲笑が教室中に渦巻いている。
 彩香が僕から手を放す。僕は息を荒げ、床に転がって悶絶した。
 女生徒たちの声がやたら遠くから聞こえる。
「先生Mだから、まだまだいけるよね」
「だね。んじゃ次、誰がやる?」
 朦朧とする頭に響いてきた言葉が信じられなかった。これ以上まだこの苦しみが続くのかと思うと、本当に地獄に落ちてしまったのではないかといった気分になる。
 僕の愚棒は、少し萎み始めていた。
 肉体的な苦痛の大きさからだろうか。精神的な恐怖の大きさからだろうか。それとも……逆?
 ……彩香の手を離れ、苦痛や恐怖から一時的にでも解放されたことへの……失望感……?
 頭を過った考えを否定したかった。しかしそれ以上、思考力が働かない。
「じゃあ、今日こそ美里も参加ね。次、やりなよ」
 と、彩香が言ったようだった。その声も、やはり遠くの方から聞こえた。
 ――サト? みさ、と……? 頭がぼうっとして……

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 ――僕たちが兄妹だってことはバラさないように、事前に先生方にお願いしてあるんだ。
 ――あまりなれなれしくしない方がいいから。もちろんそれが僕のためでもあるし。

 昨日、自分が言った言葉に後悔はない。
 あくまで他人行儀でいることが、お互いのためなのだ。
 僕は美里に目で合図する。
 美里は小さく頷き、にっこりと笑顔を作った。これでいい。これでいいんだ。
 妹は思いやりのある子だ。きっとこんな環境の中で、ずっと苦しんできたに違いない。皆の調和を崩さないように常に笑顔を見せ、心には大粒の雨を降らせながら。彼女は僕が思っているよりずっと大人になっていたのかもしれない。健気で、かわいそうな美里……
 そもそも、こんな遊びがクラス内で罷り通っていることが問題なのだ。
 そう。僕は妹のためなら頑張れる。僕だって教師の端くれなんだ。こんな遊び、僕が今日限りで断ち切ってみせる。
 彩香に胸座を掴み上げられる。僕は彩香の瞳をキッと睨みつける。
「君たちのやってることはいじめだ」
 そう僕は叫んだ。彩香は不敵な笑みを浮かべ、
「うん。それで?」
 と言いながら、僕の襟をさらに強く締める。僕はさらに叫ぶ。
「暴力だ。そしてリンチだ。今すぐ、……うっ!」
 その言葉は途中で断たれた。世界が暗転したような感覚に襲われ、たまらず身体をくの字に曲げる。その時、彩香の拳が深々と僕の腹にめり込んでいるのが目に映った。
「う……ふぐうぅ……」
 想像以上に重いボディブローに、僕は苦悶する。さらに二発、三発と拳で突き上げられ、足に力が入らなくなる。ぐったりと彩香に体重を預ける。彩香は僕の襟を掴んで身体から離すと、再び拳を握り締めた。
 ふと渚ちゃんの方を見る。彼女は口元に笑みを浮かべながら、じっと様子を見ていた。
 ――きっと渚ちゃんは、僕を試しているんだ。Mとして、しっかり耐えられるかどうか……
 美里は微笑みをその顔に湛えている。彼女の気持ちを考えると、それがまた心苦しい。
 僕は決心した。
 ――ここで屈してはいけない。僕は教師だ。この身をもって、正しい道を教えてやらなければ。
 彩香がその妖艶な瞳を僕へと向ける。しかしそれは、僕にはまるで獣が獲物を狙う目のように見えた。その瞳を見つめ返しながら、僕は『頑張ってね、先生』という昨日の渚ちゃんの言葉を思い出していた。
 腹を殴られ続けた。僕を責め続ける彩香は、本当に楽しそうに見えた。だから僕は耐えた。内臓を抉られるような、強烈な拳を腹で受け止めながら、僕は必死で我慢した。
 ――我慢?
 自問の囁きが聞こえる。もちろんだ。僕は間違いなく我慢している。我慢しているんだ。
 ……まるで殺戮を楽しむような瞳が、目の前にあった。……甘い香水の香りが僕を包んだ。

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 男子は蹲り、嘔吐した。激しく咳き込んではいるが、辛うじて意識は保っているようだった。
 失禁した上に吐瀉物を吐き出した彼を、女生徒たちは嘲笑し、激しく罵倒した。そのうちの一人が、声高らかに「十一分二秒!」と叫ぶ。
 背筋に冷たいものを感じる。同時に、熱い血が沸々と身体中に巡っていくのがわかる。
 ――彼女たちにとって、暴力は遊びであり、ゲームなのだ。決して許されることじゃない。
 固く拳を握る。震える唇を目一杯噛み締める。もう我慢の限界だった。
 僕のやり切れない気持ちは、この異様な光景を目にした渚ちゃんにとっても同じだと思っていた。
 しかし、彼女は違った。
「面白そうだね……」
 と呟くと、蹲った男子の後ろの襟首を掴み、ぐいと持ち上げる。ぐったりとした彼を見ながらにっこりと微笑む。その表情は、彼女の冷酷さを存分に醸し出していた。彼は怯え、激しく身体を震わせた。
 複雑な心境に苛まれる。これは失望感? それとも……嫉妬心? 僕は再び混乱していた。
 ――僕のご主人様が……今まさに別の男を……
 気付けば僕は扉の窓越しに顔を近付け、その光景に魅入ってしまっていた。
 渚ちゃんの口の端がゆっくりとつり上がる。瞳が妖しい輝きを放つ。飢えた獣のようなそれは、昨日僕が目の当たりにしたものと同じに見えた。
 記憶がまざまざと蘇ってくる。
 生殺しのまま帰宅した僕は、その後の忙しさや疲れからすぐに寝入ってしまった。悶々としつつも、放出することなく。
 下半身がそれを主張するように、今になって激しく疼いてきていた。

 その時、背後に気配を感じた。驚きふり返ると、そこにはサキが立っていた。
「あ、あの……これは……」
 言葉がうまく出てこない。
 サキはくすくすと笑いを零した。彼女がそっと呟く。
「仲間に入れてあげるよ。先生」
「あ……あぅぅ……」
 サキはガラリと扉を開け、僕の背中をドンと押す。僕は勢いよく教室内に倒れ込んだ。
 皆の視線が一気に僕へと注がれる。それは渚ちゃんも同じだった。
「うわああぁぁ!」
 と叫び、男子はふらつく足取りで教室を飛び出していった。
「……せっかくのゲームが……台無しね」
 と、渚ちゃんがポツリと漏らす。その表情からは笑みが消え、無感情な瞳が僕を貫いていた。
 ストップウォッチを手にしていた彩香も続けて、
「責任取ってよね、先生」
 と、ずいと僕に詰め寄る。
 僕は腰を抜かしてしまっていた。見回すと、他の女生徒たちは皆、口元に笑みを浮かべていた。
 ふと、美里の姿が目に入る。彼女は戸惑いの瞳で僕を見つめていた。

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 呼吸を整え、高鳴る鼓動を必死で抑える。
 実習初日ということもあり、名前がわかる生徒はごくわずかだった。それが悔やまれる。名前がわからなければ、その人間関係を掴むことなど到底できない。その結果がこれだ。
 目の前にある異常な光景。それを目の当たりにした僕は今、軽いパニックに陥っている。ともすれば未然に防げた事態かもしれない。対応も考えられたかもしれない。そう思うと、後悔の念が尽きない。
 しかし今となっては、そんな悠長なことを言っている余裕もなかった。
 ――事実が変わるわけではないのだ。
 僕は必死で状況の把握に努めた。
 一人の男子生徒が複数の女子生徒に取り囲まれていた。二人の女子が、直接男子を押さえつけている。羽交い絞めにしている子と、足を固定させている子。そしてまた別の女子一人が、無防備になった男子の腹を延々と責め続けていた。
 ――彼女の名は、……安藤彩香といったか。
 明朗快活で容姿端麗。繊細で艶やかなストレートロングが印象的な綺麗な子だった。クラスでも一際目立つ存在だ。そのため、僕も彼女の名前は辛うじて覚えていた。
 男子は口に泡を浮かべ、同時に黄色い液体を垂れ流している。彼の目は次第に白くなってきていた。
 ――これはいじめだ。暴力だ。リンチだ。見逃してはいけない。止めなきゃ……
 勇気を振り絞る。しかし、いざとなると足が震え、なかなかその一歩が踏み出せない。
 思わず扉の前を離れ、隠れるように壁に寄りかかる。眩暈がする。情けない……
 その時、一人の女生徒が僕の脇をすり抜け、教室の扉をサラリと開けた。よく見る制服だと直感的に感じた。しかしそれは学園指定のものではない。しばし呆気に取られる。
 その女生徒は教室内にすっと入り、
「紗希。遊びに来たよ」
 と、元気に声をかけた。
 その声に心臓がドクンと脈打つのを感じた。後ろ姿にも見覚えがある。
 ――僕はこの子を知っている。
 再びパニックに陥る。足は依然として動かない。
 そんな中、彼女の呼びかけに応じる声が教室内から聞こえてきた。
「あなた……渚? どうしたの、急に?」
「ん。ただのサボり。暇だったからさ」
 その言葉に僕は仰天し、我を忘れるほどの衝撃に見舞われる。
 ――渚ちゃん? 渚ちゃん! どうして? 一体、何が目的で……?
 扉の陰からそっと中を覗き込む。見れば渚ちゃんは、クラスの女子一人と親しげに話していた。
 ――確かさっき、渚ちゃんは「サキ」と呼んでいた。知り合い? どうして?
 サキだと思われるその子は、端正な顔立ちにボブカットがよく似合っている。小柄だが魅力的な肢体をしている。射抜くような瞳が印象的な子だった。
 サキが「強いよ、この子は」と、他の女生徒に渚ちゃんを紹介している。何がなにやらわからず、僕は頭を抱える。その間にも彩香は男子を痛めつけ続けていた。彼女がふとその手を止める。その口元からは笑みが零れていた。
「じゃあ、あなたも後でやってみる?」
 彩香のその言葉を聞いた男子は「ひぃっ」と声を上げ、間もなく失禁した。

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 こんなに時の流れが早いと感じたのは初めてだった。
 さっきまで教育実習の初日だと意気込んでいた。するといつの間にか、昼休みの時間になっていた。職員室で昼食をとる。慌しく弁当を頬張る先生方を見て、僕は取り残されたような気分になっていた。
 頭の中は真っ白だった。
 午前中に自分が何をしたのかすら思い出せない。当然、うまくできていたのかどうかなど全くわからなかった。
 しかし、僕は実習生の身だ。一日が終われば、今日の反省や感想を日誌にまとめなければならない。
 そう思うと、ぼうっとしているわけにはいかなかった。
 僕はこの時間を使って、今日半日のことを少しでも思い出そうと試みた。


 朝礼が無事に終わり、ほっとひと息ついた頃には、もう担任の先生は準備を始めていた。
 一時間目は英語だった。僕は初日だから、教室の後ろで授業見学をした。
 その時に取ったメモが手元にきちんとあることを確認し、僕は一安心する。頭は真っ白だったが、とりあえず内容は書き留めてある。後でこれを、日誌を書くための材料にしようと思った。
 二時間目は担任の先生が空き時間だったこともあり、授業の心得のようなものを聞いた。やっぱり頭は働いていなかったが、それでもメモを見るときちんと書き留めてある。僕はここでもほっと胸を撫で下ろした。
 そのメモの中で、一際目立つ一文があった。
 『生徒に深入りしないこと』
 三行目に書かれたその言葉は、一体どういう意味なのだろう。
 ただ、それを話してくれた担任の先生の、深刻そうな顔つきが印象に残っていた。


 弁当箱を閉じた僕は、無意識に教室へと足を運んでいた。
 教室に行けば何かヒントが得られるかもしれない。根拠はない。単純な思いつきからだった。
 何気なく教室の前に立ち、扉についた窓越しに中を覗き見る。もちろんここで足を止める気などなかった。すぐに扉を開けるつもりだったのに、なぜか躊躇してしまう。
 僕はこの瞬間、何か言いようもない異様な感覚に襲われていた。
 じっと中を覗き込む。そしてそれに気付いた時、僕は足が震えて動かなくなった。
 男子の姿が見えないのだ。いや、正確には一人だけ見えている。たった一人だけは。彼はどこにいる? そう。女生徒の輪の中。そこで彼は女生徒に……女生徒たちに? 何を?……何を!?
 パニックに陥る。未だかつてこんな光景を目にするのは初めてだった。目に飛び込んでくる情報を、脳が処理できていない。何度も目を疑ってみたところで、何も変わりはしない。
 僕は完全に足が竦んでしまっていた。

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「実は……」
 と、僕は事情を話した。
 特に秘密にしていたわけではなかった。ただ、自分の都合で渚ちゃんに付き合えないことが心苦しかったのだ。
 ――いや……
 僕はまた自己嫌悪に陥る。今までここにいた理由は『付き合う』ためなんかじゃない。僕自身がここにいたかったからだ。そして僕が闘っていたのは、自分の中の醜いエゴだ。
 ――それを、あろうことか渚ちゃんにかこつけるなんて……
 だから、僕はまた謝った。
 彼女は事情を聞くなり、家に帰るよう僕に指示した。
 もしかしたらこの時も、引きとめてもらえることを心のどこかで期待していたのかもしれない。己の欲深さが本当に腹立たしかった。
「じゃあ、明日はこれを着けて行きなさい」
 と、彼女は僕の首に手を伸ばす。直接触らなくとも、それが首輪であることはすぐにわかった。僕にとっては、日頃からこれ以上ないほど使い慣れた代物だったから。
 僕は戸惑いながらも、やはり彼女の気持ちを嬉しく思った。
「ありがとうございます」
 と、口にする。
「それからこれも……」
 言いながら彼女は、唐突に僕の陰茎を舐め回した。突然のことに驚き、僕は卑猥な声を上げて仰向けに寝転んでしまう。彼女の舌先が触れる度、彼女の口に呑み込まれる度、僕の下劣な愚息は血を漲らせた。欲情が頭を擡げてくる。
 しかし一分も経たないうちに、その快楽は幕を閉じた。中途半端で放り出されたソレが、切なく震える。彼女は意味深な笑みを浮かべていた。
「正しい道を選べた良い子だからね。ご褒美。もしも、ただかまってほしいだけで声をかけたんだったら……蹴り殺されても文句は言えないよね」
 明るくそう言った彼女の笑顔が怖かった。全身を冷たい感触に覆われる。彼女の言葉に返事もできず、僕は身を縮めた。ただ僕の汚棒だけは、欲求不満を主張するように堂々といきり立っていた。
 もどかしさに身悶える。彼女は「ふっ」と冷笑し、しばし僕の様子を面白そうに眺めていた。
 彼女は再びついと椅子に腰掛けると、
「ところで、実習先はどこなの?」
 と、僕に問うた。
「あ、えっと……麻美大嶋学園っていう、私立の高校です」
「え? 麻美……大嶋?」
「はい。一応、名門の学校らしいです。ご存知ですか?」
「んー、行ったことはないけど、名前だけは。……明日から頑張ってね、先生」
 そう言って彼女はニヤリと笑った。その笑みに少し違和感を覚える。しかし僕にとっては、彼女にもらった応援の言葉が何より嬉しかった。僕は「はい」と力強く返事をした。
 服を着る。そして頭を深々と下げた後、僕は彼女の家を後にした。
 相変わらず下半身を大きく膨らませたままで。

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 僕は雑巾を借りて、精液で汚してしまった床を掃除した。全裸のままで。
 渚ちゃんは何事もなかったかのように机に向かい、熱心に勉強を進めている。
 床を汚してしまったことを何度も謝罪した。しかし彼女からの返事はなかった。一度「あの……服を着ても……」と口にした時には、ドンと足を鳴らされた。僕は萎縮し、再び謝罪した。
 それからの僕は、彼女に声をかけることもできず、ただ彼女を見ながらじっと床に正座していた。そんな自分がひどく惨めに思えた。
 時計の針はもうすぐ夜の七時を回ろうとしていた。

「ねぇ先生。どうしてもここがわからないんだけど……」
 耳を疑った。渚ちゃんから質問の声がかかるなどとは思ってもみなかったからだ。
 喜んで彼女の側へ行き、解法と答えを教えた。彼女の瞳がみるみるうちに輝きを見せる。僕はその笑顔を見た時、嬉しくて思わず涙腺が緩みそうになった。
「ありがと。先生」
 そう言って彼女はにっこりと微笑み、僕の頬にビンタする。
 僕もまた「ありがとうございます」と、心から感謝の意を伝える。
 その後、質問に答える度に僕は頬を打たれた。そしてその度に僕は至福を感じ、気付けば僕の汚いモノは再び自己主張を始めていた。

 八時を回った。
 渚ちゃんはまだ熱心に勉強を進めている。僕は少し焦り始めていた。
「あの……」
 しかし彼女の返事はない。できることならこのままいつまでも彼女の側にいたい。しかし、明日のことを考えると、それは僕にはどうしてもできなかった。
 クソ真面目な自分の性格があらためて恨めしく思えてくる。
「あの、渚ちゃん……」
 意を決して再び声をかけた時、彼女はすっと立ち上がり、僕の頬を勢いよく殴った。彼女が口を開く。
「静かに待つこともできないの? ホント駄目な子」
「ごめんなさい。でも……」
 と、僕は俯く。彼女は膨張した僕の陰茎を握り、ゆっくりと擦り始めた。僕はたまらず喘ぐ。身を委ねてしまいたい衝動に駆られる。しかし、ここでしっかりと意志を主張しておかなければいけないこともわかっていた。
「でも……何?」
 言いながら彼女は手を止め、僕に視線を投げかける。
 ――もどかしい……でも……
 欲望と理性が葛藤し、渦を巻く。僕は一つ大きく息を吸い込むと、覚悟を決めた。

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「渚様。お待たせして、大変申し訳ありませんでした」
 顔を歪めたまま、謝罪の言葉を口にする。それから僕は、再び絶叫することになった。
 彼女は踵で僕の睾丸を踏み付けていた。じわじわと体重を乗せられ、苦悶に震える。彼女はそんな僕の顔をまじまじと見つめながら、
「汚い雄だね」
 と、無感情に罵った。その言葉を聞いた僕は、たまらず恥部をビクンビクンと反応させてしまう。彼女の口元から、うっすらと笑みが零れた。妖しい瞳の煌きに、僕は一瞬で骨抜きにされてしまう。
「先生のくせにこんな格好してさ。恥ずかしくないわけ?」
 言いながら、彼女は足の裏で僕の脈打つ陰茎をぐいと踏み付ける。指でソレを摘み、器用に擦る。
 僕はその羞恥心と快楽に身悶えながら、
「はい。……恥ずかしいです」
 と、答える。
 彼女はくすくすと微笑し、さらに激しく僕の陰茎を刺激する。興奮が徐々に高まり、僕はみっともない声を上げる。スカートの中からちらりと覗く下着に欲情し、早くも暴発してしまいそうになる。
 その時、彼女の足がすっと陰茎から離された。何とも言えない切なさが込み上げてくる。
 彼女の表情は、いつの間にか冷徹なものへと変わっていた。
 まるで汚い物でも見るような瞳で僕を見下ろし、
「期待してんの? まさか逝かせてもらおうなんて――」
 と言いながら、再び僕の睾丸に踵を押し当てる。
「――思ってないよね?」
 それは厳しい口調だった。睾丸にじわじわと体重が加えられ、僕はまた絶叫する。
「ご、ごめんなさい。ごめんなさい」
「ふーん、やっぱりね。どこまで下品で勝手なの? 遅刻しといてさ」
「ごめんなさい。ごめんなさい」
「気持ち伝わんないなぁ。膨らませてるし」
「そ、それは……」
「潰してあげよっか。悪い子だしね」
 彼女はそう言うと、足の裏全体で睾丸をじわりと踏み付ける。僕は恐怖とあまりの痛みで、喉の奥から必死で声を絞ることしかできなくなった。彼女が足を動かす度に、強烈な痛みが内臓にまで響く。
「がぁ……。があぁぁ! ぐぅああああっ!」
「何その獣みたいな声……。この変態!」
 罵倒され、執拗に睾丸や陰茎を嬲られ続け、僕は果てた。亀頭から白い液体を勢いよく発射する。
 彼女は「はぁっ」とひとつ大きなため息をつくと、その足を僕の陰部から離した。彼女の蔑むような視線が僕の心を抉る。彼女は無言のままついと背を向け、ゆっくりと椅子に腰掛けた。
 僕は自分が情けなくて恥ずかしくて、また「ごめんなさい」と連呼した。

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 五時半を過ぎた頃、僕はバイト先の家に着いた。
 今日はご両親ともに仕事で外泊なのだと聞かされていた。事前に渡されている合鍵を使って玄関を開錠する。「お邪魔します」と独り言を言いながら、玄関へと足を踏み入れた。
 電気が消え、静まり返った家の中は、何となくいつもとは違って見えた。それとなく周りを見回す。もちろん変わっているところなどない。
 階段を上り、僕の仕事場である女生徒の部屋に入った。
 いつもと何も変わらない空間。机、椅子、テーブル。女子高生らしい、理解に苦しむ装飾品。
 僕はすぐさま全裸になる。
 今日はご両親が不在なので、いつものような不安は味わわなくてよかった。しかしフローリングの床はいつもの如く、正座する僕の足の甲を痛めつけた。
 彼女が帰宅するまでの緊張の時間が始まる。
 全身を覆う脂汗を誤魔化すように、僕は鞄から教科書を取り出した。
 その時、突然背中を蹴られた。「ひっ」と情けない声を上げてしまう。前のめりに倒れ込み、慌ててふり返る。そこには彼女が無表情のままで立っていた。
 彼女はセーラー服姿のままだった。腰を折り、黙って僕の目を見下ろすように覗き込んでくる。栗色の髪が僕の顔をくすぐる。同時に、甘い香りが僕の鼻腔を包む。胸元から大きなバストが覗く。僕の性器がむくむくと成長していく。
 驚きと欲情が入り混じり、早くも僕の思考は麻痺してきていた。
「あ、あぁ……」
 鼓動の高鳴りから、うまく言葉を話せない。
「いらっしゃい、先生。今日は……遅かったね」
 と言った彼女の瞳には、冷たい影が揺らめいていた。口の端がにわかに持ち上がり、笑みを形作る。その表情に僕は怯え、同時に惹き込まれていく。精神的な鎖に繋がれてしまう。身体が動かせない。
「……うぅ……」
「遅刻は厳禁だよね、先生。一体、誰を待たせたと思ってるの?」
 静かだが鋭利な口調。彼女が一歩近付く。僕は恐怖心から後ずさってしまう。彼女はさらについと僕の方へ歩を進める。僕はあっけなく壁際に追い込まれてしまった。
 彼女がその足を持ち上げ、腰を抜かした僕の陰部をぐいと踏み付ける。
「い……ぎぃ……」
 恐怖心と痛みから、僕は既に陰茎を最大限にまで膨れ上がらせていた。

 美里に対して後ろめたい気持ちがなかったと言ったら嘘になる。
 家庭教師として、一生懸命勉強を教えている。美里はそう思っているのだ。
 もちろん僕だってそのつもりでいる。カリキュラムだってきちんと立ててバイトに臨んでいるし、できることなら、きちんと仕事をしたいと思っている。
 しかし実際はこの通り。僕にはそれがどうしてもできないのだ。

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「実習は明日からでしょ? 大変だね」
「そうだな。でも、これもこれで仕事だからさ」
「うん。わかってる。でも、その……」
 口篭る美里の顔色が曇るのが見える。
「どうした?」
「ん……とね。……ううん。何でもない。家庭教師様、頑張ってください」
 妙に引っかかる言い方だった。気にはなるが、僕にはもう時間がない。
「じゃあ、行ってくる。コーヒーありがとう。よかったらケーキ、僕の分も食べて」
「うん。気をつけて。いってらっしゃい」
 その言葉を背中で聞きながら、ドアを開ける。その時、ふと思いついたことがあった。
「あ、それから……」
 言いながら美里の方をふり返る。彼女はあどけない笑みを僕に向けていた。
「ん? 何?」
 と、不思議そうな顔で首を傾げる。
「明日、学校ではあくまで他人行儀でな」
「え? どうして?」
 美里には僕の真意が掴めていないようだった。ますます不思議そうな表情を浮かべる。そんなところもまた可愛いのだが。
 僕は再び言葉を続けた。
「実習は美里のクラスなんだ」
「うん。それで?」
 美里はまだきょとんとしている。この察しの悪さもまた、僕が兄バカになってしまう要因だと思う。
「だからさ……僕たちが兄妹だってことはバラさないように、事前に先生方にお願いしてあるんだ」
「え?」
「だって、それでひいきしてるなんて思われたら、美里もやりにくいだろ?」
 その言葉を聞いた美里は、突然笑い出した。
「な……なんで笑うんだよ?」
「ごめんなさい。だって、お兄ちゃん変なこと気にしてるから……」
 美里は、まだくすくすと笑っていた。
「とにかく、あまりなれなれしくしない方がいいから。もちろんそれが僕のためでもあるし」
 と、美里を諭す。
 美里はにっこりと僕に笑みを向けると、一言「わかった」と元気よく返事をした。
 その笑みを見て、すっと心が軽くなる。
 僕もまた笑顔で「じゃあ、行ってくる」と言い残し、家を出た。

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 ペンを持つ手が痛かった。
 時計の針は既に夕方四時半を回っていた。
 ここ数日、ずっと時間に追われている気分だ。明日から本番が始まるというのに、まだ書類の作成すら終わっていない。机に向かい、紙上にペンを忙しく走らせる。
 作業自体は機械的だ。しかし僕の頭は、手とは違う方向を見ていた。
 ――生徒たちは受け入れてくれるだろうか。他の先生方とはうまくやっていけるだろうか。そういえば、最初の挨拶の内容をまだ考えてなかったな。第一印象は肝心だ。何を話そうか……
 明日の様子を頭の中でシミュレーションしながら、しばしブツブツと呟いてみる。気付けばペンを持つ手は止まっていた。頭を何度も掻く。張り裂けそうな胸を押さえる。そしてまたペンを動かし始める。
 五時を回った。
 結局、書類はまだ一枚しか書き終えていない。頭の中の考えも一向にまとまる様子はない。気ばかりが急いて、一つ一つの作業が恐ろしく遅い。
 この日ほど、真面目で気弱な自分の性格を恨んだことはなかった。真剣に考えれば考えるほど、緊張や不安ばかりが膨れ上がっていくのだから。
 ペンを置き、「ふうっ」と大きなため息をつく。
 ――行かなくちゃ。
 気持ちを入れ替えて立ち上がる。外行きの服に着替え、おもむろに荷物を鞄につめていく。
 準備を整え終わった頃、部屋のドアをノックする音が聞こえてきた。
「はい」
 と、返事をする。その声とほぼ同時にドアが静かに開かれる。
「あ……お兄ちゃん。これからまたバイト?」
 顔を出した美里の手には、二人分のコーヒーとガナッシュケーキの乗ったお盆が握られていた。明日の準備で忙しくしている僕を気遣い、わざわざ運んでくれたのだ。その気持ちが本当に嬉しかった。
 このよく気の利く妹も、最近はますます成長してきている。
 確かに背は小さくて華奢だし、体型はお世辞にもスタイル抜群だとは言えない。胸やお尻もそれほど目立たない。
 しかし彼女の目鼻立ちは端正で、ここ数年でみるみるうちに可愛らしい女性へと変化してきた。ケバイ化粧などには全く見向きもしないし、常に清潔感を保っている。それも嬉しい。
 実の兄である自分がこんなことを言うのはおかしいかもしれないが、彼女は本当に素敵な女性になったと思う。
 美里の心遣いにあらためて感謝する。しかし、僕にはあまり時間がなかった。
「うん。今日は八時くらいには帰りたいと思ってるんだけど」
「……そっか」
 そう言った美里の顔は、どこか不安そうな色を湛えていた。

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殺したいほど愛してるんじゃない

愛してるから殺したい

みんなの中に入れるようにね ちょっとだけ頭の左の方が指図してくる

ただ それだけ

私だってね みんなと同じでいたいよ ひとりは怖いもの

あなたとは ずっと一緒にいたい ひとりは怖いよ 怖いよ 怖いよ 怖いよ

好き どうしようもなく その想いが強くなればなるほど

わかるでしょ? 私には頭の左の声が聞こえなくなる

それは小さな小さな欠片のようなもの だけど

私にとっては それがすべて

死の淵に立った彼 だからこそ愛しい

彼を心から愛したとき それは 彼が私の前から消えるとき

望みが叶うとき それは 望みを失うとき

なんて残酷で なんて悲しいこと



END

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逆リョナ@wikiをスリム化いたしました。
今後もご活用いただければ嬉しいです。
ご意見を下さった方々に、あらためて御礼申し上げます。

以後、私の方では、ご意見を頂きました、
・腹責め
・尻での攻撃
・顔面膝蹴り (2008.12.26 追加)
の観点から収集を行っていきます。
尚、上記以外の収集希望の責めシチュがあれば、今後も気軽にご連絡ください。
(※現在停止)

また、毎度申し上げて恐縮ですが、情報をお持ちの方はぜひご一報を。
情報提供に関しては、もちろん上記の責めの限りではありませんので。
女→男であれば、金蹴りでも、ビンタでも、ハイキックでも一向に構いません。
皆様の萌えたシーンを、ぜひご紹介くださいませ。
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