Black Onyx [ブラックオニキス];2008/ 03の記事一覧

ここでは、Black Onyx [ブラックオニキス]での 2008年 03月 に掲載した記事を表示しています。
 恵美の太腿に視界を遮られ、俺は自分の股間が見えなくなった。そのせいなのか、下半身を刺激する冷たいヒールの先端の感触は、却って敏感に感じられた。
「ぎぃ……が……ぐあぁぁ……」
 口から出るのは呻き声ばかり。
 茜の足は、じわじわと俺の睾丸を甚振っている。
 耐え切れないほどの鈍痛が襲いかかったかと思うと、やがてすっとその痛みから解放される。そして再び激痛が襲い、また少し楽になる。そうやって俺は延々と嬲られ続けた。
 ふと茜の顔を見る。無邪気に玩具で遊ぶ子どものような表情をした女が、そこにはいた。
 真の恐怖というものを体験するのは、おそらくこれが初めてだろう。
 彼女――いや、彼女たち三人――は、俺をじわじわと痛めつけてから去勢するつもりなのだ。報復という名の免罪符を手にし、その行為自体を楽しみながら……
 身動き一つ取れないまま、俺はただ祈るしかなかった。いつ壊されるか分からない俺の睾丸。俺を生かすも殺すも、もう彼女たち次第なのだ。
 俺は自分のプライドや自尊心を、もはやどこかに捨ててしまっていた。
「すみませんでし……がぁぁ! 本当に……ぐ……。許し……あああっ……」
 さっきから何度同じ言葉を繰り返したことだろう。しかしそれは彼女たちの耳に届いている様子はなかった。無理もない。必死で訴える俺の言葉のほとんどは、茜から与えられる痛みによって途中から全て呻き声へと変わっていったのだから。
 里佳子はその切れ長の瞳で、苦しむ俺の姿を横でじっと見ていた。その光景を心から楽しんでいることは、その表情から嫌というほど伝わってきた。
「本当に、みっともない格好ですわね。」
 下目に俺を見ながら、俺に侮辱の言葉を投げかける。
 俺を押さえ込んでいる恵美もまた、里佳子と心情を同じくしている様子だった。顔だけをこちらに向け、その妖しい輝きの瞳でまっすぐに俺の表情を観察していた。
「苦しいですよね。でも……それも潰れるまでの辛抱ですから。」
 彼女はにっこりと笑いながら恐ろしい言葉を口にする。
 二人の言葉が俺の羞恥心と恐怖心を激しく煽る。俺は怯えから身体を震わせ、やがて呼吸困難にも近い状態に陥っていた。
 茜は相変わらず生き生きとした顔で俺の下半身を見つめ、睾丸を狙い続けていた。彼女には、俺の股間しか目に入っていない様子だった。
「ほら……。ふふ。ほらほら……」
 時折漏らす彼女の声は、ペットをあやす飼い主のものと似ているようにも思えた。
 これほどまでに美しい女性三人にここまで注目されることなんて、滅多にあることではない。それでなくとも、俺はいくつもの盗撮ビデオをオカズにヌイて満足しているような根暗男だ。ある意味では、貴重なハーレム。もちろん、こんな状況下でなければだ……
 恵美の美脚は今、こんなにも俺の目前にある。睾丸を責める茜が足を上げる時には、薄いストッキング越しにちらりと下着が覗く。仰向けにされているため、横に立つ里佳子の下着もはっきりと目に映っている。俺がここ数年、命懸けで撮影してきたものなど比べ物にならない。生の女なのだ。
 それを目の前にして恐怖心を抱くことになるなど、俺には想像できたはずもなかった。

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 あくまで本能的な行動だった。
 俺は股間を両手で庇い、身体を小さく丸めて蹲っていた。もちろん、こうしていたからといって何かが変わるわけではない。彼女たちが俺を許すことなど、まずないのだから。
 それを証明するかのように、その声は間もなく聞こえてきた。
「手が邪魔ですわね。」
 茜が悪戯っぽくポツリとそう漏らす。それを聞いた里佳子は、突然俺に覆い被さるように身体を重ねてきた。手を股間から引き離され、睾丸を指先でつままれる。
「ひ……ぎぃ……」
 俺は思わず情けない声を上げてしまう。
 睾丸をつままれた痛みと恐怖で、俺は今にも我を失いそうになっていた。恵美と茜はそんな俺を見下ろしながら、俺の両肩を足で押さえるように踏みつける。両腕が頭の上で固定される。
 俺は完全に身動きが取れなくなった。
「た、頼む。お願いします! 何でもします! だからそれだけは……がああっ!」
 言葉が空しく宙に舞う。
 里佳子は俺の苦悶の表情を観察するように、じっと俺を見ていた。彼女はその手の中で、二つの睾丸を弄ぶようにゴリゴリと擦り合わせる。理性や思考などとても保ってはいられないほどの激痛。
 俺の絶叫だけが、狭いこの密室に何度も鳴り響いた。


 まるで、内臓を無理矢理引きずり出されるような感覚だった。
 里佳子がようやくその指先から俺の睾丸を解放した時、俺は安堵の溜息を漏らした。恵美と茜が足を肩から離すと同時に、俺は両手で股間を押さえて悶絶した。
「ぐ……あぁぅ……」
 言葉にならない声が俺の口から発せられる。痛みは下腹部へと伝わり、鈍痛が絶え間なく俺を突き上げる。彼女たちはそんな俺の姿を見ながら、相変わらずの薄ら笑いを浮かべていた。
「どうですか? 金玉、痛いですか?」
 卑猥な言葉を口にしながら里佳子は立ち上がり、爪先で俺の臀部を小突く。俺にはその質問に答える余裕は全くなかった。黙ったまま、必死で痛みを堪えていた。
 恵美が蹲る俺の前にすっとしゃがみ込み、膝を曲げて脛で俺の喉元を押さえ付ける。喉を圧迫され、俺は苦しみに呻き声を上げる。彼女はその体勢のまま俺の両手を股間から放させ、床に付ける。彼女の力は、男の俺より遥かに強かった。俺は彼女に為されるがまま、仰向けに固定される形になった。
 再び俺の陰部が露わになる。
 見ると俺の睾丸は、形も色もほとんど変化してはいなかった。まるでその痛みの大きさを裏切るかのように。
 目聡くそれに気付いたのは、茜だった。
「まだまだ平気なご様子ですね。」
 言いながら彼女は、俺の両足を広げて持ち上げる。そして、まだ痛みの残る俺の睾丸にヒールの先をゆっくりと押し当てた。

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 俺は腹の底から込み上げてくる痛みに耐えるのに必死だった。
 剥き出しになった自らの陰部を手で覆いながら、なおも床に這いつくばっている。まだ立ち上がることは出来そうにない。それほど、恵美の蹴りは強烈なものだった。
 三人は俺を囲むように立ち、それぞれが俺に見下すような視線を浴びせかけていた。
「とても醜いお姿ですね。」
 里佳子が鼻で笑いながら俺を侮辱する。続けて茜が口を開く。
「とってもお似合いですよ。」
 屈辱感と羞恥心、そして未だに俺を苛む苦しみが一挙に俺に襲いかかる。それはまるで、鋭い刃でいとも簡単に自尊心を切り刻まれるような感覚だった。
「俺を、どうするつもりなんだ?」
 辛うじて口を開き、俺は彼女たちの誰ともなしにそう問う。三人はしばらく顔を見合わせ、再び笑いの渦を巻き起こした。全員が俺の方へ向き直る。
 口を開いたのは恵美だった。
「どうして脱がせたと思いますか?」
 彼女は俺の質問には答えず、逆に質問を返してくる。
「どうしてって……」
 質問の意図が理解できず、俺は黙ってしまった。戸惑う俺の心を見透かしたように、恵美は不敵な微笑を湛えたまま俺を見下ろす。そして、俺の耳元にそっと口を近付けた。

「潰しやすくするためです。」

 恵美の悪魔のような囁きが、俺の精神を見事に破壊した。
「さっきもお伝えしたはずですよ。」
 口元に笑みこそ浮かべてはいるものの、その口調は冷静で淡々としていた。
「……源流を絶つ、と。」
 そう彼女は言い切った。
 俺はその言葉に動揺を隠し切れない。追い討ちをかけるように、続けて里佳子が呟く。
「男ではない身体にする……。要するに、私たちが去勢して差し上げるということです。」
 屈託のない笑みを浮かべた里佳子の表情とは正反対に、俺は自分の顔がみるみるうちに青ざめていくのが分かった。
「じょ、冗談……だろ?」
 あまりの恐怖心から、俺は顔を引き攣らせる。しかしそれが冗談などではないことは、三人の表情ですぐに分かった。
 持ち上げた口元。狩り直前の獣のような瞳。全身から漂ってくる殺意にも似た感覚。その全てが、彼女たちが本気であることを物語っていた。
「あ……あぁ……」
 声は言葉にならない。
 大きな絶望感によって、俺の思考が徐々に侵食されていくようだった。

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