[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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~新村明菜登場の巻~です。
まだまだ新参者ですが、彼女なりに精一杯努力しております。
今後の成長を含め、応援をよろしくお願いいたします。

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皆様には、本当にたくさんのご協力を頂き、支えられているのだと、常々感じています。
特に、この度はアンケートへのご回答をたくさん頂き、本当に嬉しいです。
我侭ばかりで振り回してしまい、申し訳ありません。とても参考になります。
個人的な感想ですが、逆リョナ系サイトなだけに、女王様シリーズの高人気は意外でした。正直、驚いています(笑)
皆様にご協力いただいていることの全てが、私の活力となり、励みとなっています。ありがとうございます。

それから、……時々LOVEメールを下さる方が何人かいらっしゃいますね。男性・女性ともに(;^▽^;A)
どの方からも、小説への思い入れが伝わってきます。そのお気持ちはとても嬉しいです。
ですが、中には、少々お返事に困るものもございます(汗)
頂いたメールにはできる限り返信させていただいてますが、回答できかねる場合もございます。
あくまでオリジナル小説公開サイトです。出会いやリアルサービス等を目的としたサイトではありません。
その点、どうぞご理解くださいませ。この場をもって、切にお願い申し上げます。

これからも精進していきたいと思っています。
今後も、Black Onyx [ブラックオニキス]を、どうぞよろしくお願いいたします。

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「次で最後です」
 先輩の囁く声を聴き、私はあらためて書類とペンを拾い上げた。おそらく、先輩はソツなくこなしてしまうのだろう。しかし、本当にそれでよいのかという懸念が、私を突き動かしていた。
「由香利先輩……」
 思わず、私は先輩に声をかけていた。
「もう。……もう終わりにしては、ダメですか?」
 私がそう言葉を重ねた時、男の表情がにわかに精気を帯びてくるのがわかった。しかし同時に、先輩の表情はみるみるうちに険しくなっていった。
 先輩は男に一礼し、私の元へと歩を進めた。しかし、私もまた毅然とした態度を崩さなかった。先輩が私の目の前で立ち止まった時、私は、
「先輩、酷すぎます!」
 と、半ば感情的に、内に溜めていた思いを吐き出した。先輩は私の言葉を聞き、ふっと穏やかな笑みを私に向ける。
「さっきも言ったでしょ? 私たちは法律の――」
「わかってます。でも先輩は、その、冷たい……と思うんです」
「冷たい?」
「そうです。容赦も躊躇もない。手加減も一切しない」
「……その考えは違うよ」
 そう言った先輩の表情は、少し寂しさを感じさせるものだった。先輩がさらに口を開く。
「さっきの執行中、あなたは手加減してたの?」
「いえ。……一生懸命やりました。でも、痛がったら躊躇する。それが人間だと思います」
「違う。どんな過程を経ても、刑は実行する。あなたの過程がもたらしたのは、何だった?」
 そう訊かれ、私は答えに窮する。先輩は微笑し、言葉を重ねた。
「恐怖と痛み、苦しみの継続。……違う?」
「っ……」
「それはじわじわと甚振る行為と同じ。それは優しさじゃない。苦しみを長引かせるだけなの」
「……で、でも、頑張ってたんです。情を捨てようと、必死で――」
「一生懸命なのはわかってたよ。だけどね……」
 そこで一呼吸置き、先輩はあらためてじっと私の瞳を見つめた。そして、
「違反者は実験道具じゃない。人間なの。尊厳を損ねる行為は……許されない」
 と、言葉を紡いだ。
 私の価値観が壊れていくのを、はっきりと感じた。

 私は、踵を返した先輩の横を通り抜けた。
 横目でちらりと見た先輩の顔には、とても穏やかな笑みが浮かんでいた。
「頑張ってね」
 その言葉を背中で聞きながら、私は男の方へと真っ直ぐに進んでいった。
 彼の表情は、若干和らいでいるように見えた。その縋るような瞳を見た時、私はようやく心から微笑むことができた。私の中で彼が、受刑者――神沼誠次から、人間――神沼誠次へと変わった瞬間だった。
 拳を固く握りしめ、神沼さんの睾丸を凝視する。
 振り下ろす拳――。私はもう迷わなかった。



END

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 理解できなかった。
 ――どうして? なぜ、先輩が泣いて……?
 先輩は男の手をしっかりと握り、自分の胸元に固定する。そして――
「ぐあああああぁっ!」
 ……もう片方の手で、彼の薬指の関節を躊躇なく折る。
「も、もうだ、……ダメ、やめ……」
 と、枯れ果てた声で叫ぶ男の声を聞きながら、手際よく中指の関節も手懸ける。
「ぎぃ……いぃやああああっ!」
 聞くに堪えない絶叫に、私は思わず耳を塞いでしまう。身体が震える。渡されたペンと書類を拾うことも忘れ、ただ目だけをしっかりと開いていた。正確には、その光景に目を奪われてしまっていたのだろう。職務を忠実に執行する、先輩の手腕に見惚れるかのように。
 しかし先輩は、さらに私に無言の指示を重ねた。横目で私を見ながら、自分の耳を二、三度指差す。耳を塞ぐことすら許されないのだ。両耳から手を放した私の耳に「ちゃんと聴くのが礼儀だよ」という先輩の声が響いてきた。
 再び男をしっかりと見据えた先輩は、
「痛いですよね」
 と、問いかける。そして、
「も、もう、……本当に……ぐがああああっ!!」
 と懇願し、断末魔の声を上げる彼をにこやかに見ながら、手際よく指を折っていった。気付けば、既に残った指は親指だけになっていた。拷問を施す先輩の瞳からは、不思議と慈愛のようなものが感じられる。
「ひぃ……ひ……お願い……」
「最後の一本ですね」
 そう囁き、先輩は微笑んだ。もはや抵抗する気力も失ったのか、既に男が手を動かすことはなかった。青ざめた表情のまま目を大きく見開き、ただ先輩を見ていた。先輩はその笑みを崩すことなく、彼の親指の関節に手をかける。
「ぐっ……ああああああっ!!」
 拷問部屋を覆う男の悲鳴とともに、第二のメニューである『片手全指骨折』が幕を閉じた。

 男の絶叫が響く中、先輩は私へとその視線を注いだ。目が自然と泳いでしまう。先輩は私の肩をポンと叩くと、穏やかな口調で話し始めた。
「私たちは、警察官なの。法に従って職務を遂行する。それが仕事だよ」
 そう言うと、再び彼の方へと視線を向ける。
 ――そんなこと、わかってる。でも……
 私は、躊躇なく違反者を痛めつける先輩に対する反感を、どうしても拭い去ることができなかった。
 確かに先輩が言っていることは正論だ。法律に背くことは許されない。しかし、だからと言って、あんなにも事務的に……。いや、それも違う。だからこそ、余計にわからない。先輩は、決して冷酷な人間でもないのだ。むしろ人一倍、情深くも見える。
 拷問を行う際の笑顔。慈愛に満ちた瞳。何より、さっきのあの涙の意味――
 考えれば考えるほどわからなくなっていった。
 そして、今まさに、先輩は男を抱きしめている。震える背中を優しく擦り、耳元に唇を寄せていた。

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 あらためて男の前に立ち、非礼を詫びる。同時に、横目でちらりと由香利先輩の顔を睨みつける。
 ――やってやる。……見てなさいよ。
 私は再度、視線を目の前の男に向けた。
 男の様子に目立った変化はない。相変わらず、時に怒号を上げ、時に弱々しい目を向ける。私は同情心を振りきり、再びその指に手を伸ばした。
「ひ、ひぃ! ひいぃ!……助け……おね、お願いします……」
 男のその言葉に、私はつい手をピクリと反応させてしまう。彼は咳き込み、目を真っ赤に腫らし、後から後から涙を零し続けていた。嗚咽を漏らし、存分に顔を崩した彼の姿は、とても哀れに思えた。
 手が動かない。
 男は私の触れている指を懸命に動かし、抵抗の意思を表す。あまりにも非力だ。人間は、手首を拘束されているだけで、こんなにも力を無くしてしまうものなのか。例え、それが大の男であっても。
 私は男の手をしっかりと捕らえ、小指を掴む。それは容易いことだった。しかし――
「や、……やめ……。ゆる、やべでぇええ!」
 ……彼の悲鳴が、私にとっての歯止めとなってしまう。
 無駄な抵抗。それは自明なことだった。私にとっても、もちろん、この制度を知っているであろう彼にとっても。ここで公務をきちんと執行することが、今の私に課せられた義務なのだということも、十分承知していた。それなのに……
 自分の額に汗が滲んでくるのがわかった。男の手を辛うじて掴んだまま、私は困惑する。理性と感情が鬩ぎ合い、葛藤を起こす。無意識に先輩に視線を送ってしまう。
「ゆ、由香利先輩……あの……」
 喉から出たのは、紛れもない怯声だった。私は救いを待った。しかし、先輩は毅然とした態度を崩さない。その瞳は凛とした光を湛え、ただ男と私をじっと見つめていた。そして、
「甘えないで」
 と、毅然とした表情のままで言い放つだけだった。その態度に、私は再び感情を逆撫でされる。
 ――別に、甘えてなんかない! 言われなくたって……
 意を決し、私は男の小指の関節に親指を宛がう。手を添え、ぐいと力を込める。
「ひっ……、いや……嫌だあっ!」
 彼の懇願の声が痛々しい。それを振り払うように目を瞑り、さらに力を加える。しかし、想像していた以上に関節の骨は硬かった。じわじわと力を強めていくにつれて、彼の叫びも大きくなる。
「やめえええぇ!……ぎぃ、があっ! いいいいっ!……ああああっ!!」
 ――黙って! お願い。もう少し……
 その時、ボキッという鈍い音が鳴った。ようやく男の小指の骨が折れたのだ。しかしそれは、私の本意ではなかった。当然だ。それは私の手による骨折ではなかったのだから。
 男の絶叫が鳴り響く中、私は目を開いた。先輩の瞳が、私を貫いていた。
「酷い! 私、頑張ってたのに……最後までやらせてくれないなんて!」
 私は無意識に、感情を先輩にぶつけてしまう。しかし先輩は、無言のままだった。すぐに私から目を逸らし、男に視線を戻す。そして、
「本当に、ごめんなさい」
 と、彼に頭を下げた。先輩の瞳には、うっすらと涙が浮かんでいた。

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 受刑者――神沼誠次の口から鮮血が溢れ出した頃、唐突に由香利先輩から声をかけられた。
「新村さん、交代ね」
 その言葉に、私は耳を疑った。
「えっ……!?」
 素っ頓狂な声と同時に、私は再びペンを落としてしまう。思わぬ指示に、戸惑いを隠せなかった。先輩は私に一度にっこりと微笑むと、痙攣し始めている彼に、
「こちら、研修生の新村明菜です。実践経験の一貫として、ここで交代させていただきます」
 と呼びかけると、私に手招きをした。
 足の震えが止まらなかった。
 見ているだけでもこんなに恐ろしいのだ。実際に拷問を行うなんて、できるはずがない。しかし、先輩の瞳は真剣そのものだった。私の手を引き、
「失礼のないように、ね」
 と、優しい口調で私に囁く。
 私は困惑していた。
 ――できるわけ、ないじゃん……
 その思いだけが、私の中に広がっていく。男がゴボゴボと喉から異様な音を立て始めるのを見ながら、私は無意識に首を横に振っていた。
 その時、バシッという音とともに、私の首が大きく横に振られた。頬を張られたのだ。じわじわと熱を帯びてくるのがわかる。無意識に涙が溢れる。霞んで見える先輩の表情には、鋭い眼光が湛えられていた。
「遊びじゃないの」
 冷然とした口調で言い放った先輩の言葉が、私の全身を貫いた。
 先輩はそっと私の手を取り、男の前へと立たせる。私の手からペンと書類を抜き取り、先輩がそれに目を通す。そして、極めて事務的な口調で、
「内臓損傷終了です。残るメニューは――」
 と、確認するように内容を読み上げる。もちろんメニューは頭に入っていた。だからこそ、こんなにも震えが止まらないというのに……どうして……?
「真剣にね」
 そう言葉を加えられ、トンと背中を軽く押される。私は覚悟が決まらないまま、
「た……担当代理の、に、新村明菜です。よろしくお願いします」
 と挨拶をする。
 声が上擦ってしまう。逃げ出したい衝動に駆られる。そんな私の肩に、先輩がそっと手を置いた。
 私は勢いに任せ、恐る恐る男の指に手を伸ばす。それに反応し、彼は触れる前から耳を劈くような悲鳴を上げた。目を大きく見開き、涎を撒き散らしながら声を上げ続ける。
 狂人的なその反応が恐ろしくなり、私はその場で腰を抜かしてしまう。自然と涙が溢れてくる。しかし、先輩は態度を変えなかった。私を見ながら、なおも立つように指示する。
 ――どうして? 私をいじめて、楽しんでるの?
 徐々に、先輩に対する不信感が芽を出してくる。先輩の微笑が鬱陶しい。
 私は深く息を吸い込み、ゆっくりと立ち上がった。怒りが開き直った気持ちとなって、私の動揺を鎮めていった。

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 ペンを持つ手が震えた。
 薄暗い拷問部屋には数々の器具が取り揃えられている。施してきた拷問の歴史を表すように、それらは冷たく、無機質に、その血塗られた姿を晒していた。どれも目を覆いたくなるような品ばかりだ。
 幸い、今日の器具使用は必要最低限のものに留められていた。
 違反者の男の両手足を拘束するための磔台――それ以上のものを使用することはないと、由香利先輩から事前に聞かされていた。実践見学研修の初日では刺激が強すぎるという理由から、先輩がそのように取り計らってくれたのだろう。
 もちろん、いずれそれらを使用しなければならないことも、そのための勉強を欠かせないこともわかっていた。でも、私は少し安心していた。今日だけは、その使用を見なくて済むのだから。
「ご気分はいかがですか?」
 そう問いかける先輩の拳は、男の弛んだ腹に延々と叩き付けられていた。彼の名は神沼誠次。歳は二十九。正当拷問自白法の違反者だ。だぶついた大きな身体だが、身長は低い。呻き声を上げながら、彼は、
「苦し、い……です。お願……す。もう――」
 と、必死で懇願している。私は、彼の様子を事細かに書類に書き綴っていった。

 自白のための拷問を認める法律が正式に制定されたのは、もう何年も前のことだ。そして、その法に違反した者は、拒否罪に問われる。ある者は幾年、ある者は一生、死よりも辛い拷問を受け続けることになる。但し、その刑に服して社会復帰できた者の話は、未だ聞かない。私はその処刑人として、ここに配属された。

 受刑者の顔を見るのがきつい――それが正直な気持ちだった。受刑者の取りがちな行動や、それへの対処法などは、もちろん研修講義の段階で一通り学んでいた。内容が頭に入るまで、マニュアルに何度も目を通した。しかし、実践見学となると話は別だ。私は平静な表情を繕うのがやっとだった。
 手の震えが止まらない。足が竦んでいる。凄惨な場面に、思わず目を逸らしてしまうこともある。
 しかし由香利先輩は、そんな私の行動を敏感に察知する。その時には必ず、
「新村さん」
 と、厳しい声が飛んでくる。叱られるのも当然だ。先輩が実践を見せてくれているのは、他ならぬ私のためなのだから。
 しっかりと見て、学習し、できるだけ多くのことを吸収する。それが、今日の私の義務だ。
 私は「はい!」と返事をして気を引き締め、再び、先輩と受刑者に視線を向ける。
 男は涙を浮かべ、決して叶うことのない願いを叫んでいる。その声は既に掠れていた。目が虚ろだ。時々、激しく咳き込む。喉から荒い息音を発し、口の端から胃液を垂れ流している。
 私はペンを握り直し、書類にその様子を書き留めていった。
「苦しいですか?」
「うぐうっ!……はひぃ……」
「もっと抉りますからね」
「っ……はぐうっ!」
「潰れるまでの我慢ですので」
「っはっ!……ぐふうぉ!」
 先輩は嬉々とした表情を湛え、男の腹を殴り続けた。彼の苦痛を労わる言葉をかけながら、さらなる苦痛を躊躇なく与えている、といった印象だ。
 プロの世界――。私は肌でそう感じていた。

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正当拷問自白法シリーズ、第四弾です。
アンケート人気No.1女性、由香利のノートをご紹介いたしました。
まさか作品執筆中に手が震えるとは……。なんともヘタレな作者です(笑)
晴れて昇格し、取調執行人となりましたが、彼女の性格は相変わらずですね。
日々の勉強を欠かさない彼女の姿勢は、私も見習いたいところです。

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我侭な管理人だとあらためて反省……ですが「今後はもう泣きつかない!」という自信もありません(苦笑)
現在のランクが保てるのも、ひとえに皆様方の温かいお心遣いのお陰と、心より感謝しております。
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毎度同じことばかり申してすみませんが、ご来訪、ご協力いただいている全ての方々に感謝!
この気持ちを忘れず、今後も精進していきます。

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 再び取調室に先輩刑事さん二人が入って来たのは、私が物言わぬ嶺岸さんを強く抱きしめている時だった。
 ほっとしたからかもしれない。嶺岸さんに気持ちが伝わったことに感極まったからかもしれない。原因は分からなかった。私は、後から後から溢れ出てくる涙をどうしても止めることができなかった。
「自白終了、ですよね。」
 一人の刑事さんに言われ、私は虚をつかれたような思いがした。この仕事は自白報告があって初めて終了になることを、あらためて思い出す。処刑人だった頃にこんな失敗をすることなんてなかった。自分の単純なミスを自覚し、少し自己嫌悪に陥る。
「ご苦労様。」
 もう一人の刑事さんに優しく声をかけてもらい、私は感傷に浸っていた自分を戒める。涙を拭い、刑事さん二人に向き直る。嶺岸さんに背を向けながら私は、
「自白終了です!」
 と、元気を振り絞って声を出した。

 ***


 署内は朝から慌しかった。
 昨日と同じように取調執行人としての準備を整える。着替えを終え、チェーンネックレスに手を伸ばす。その時、更衣室の前から凛先輩の声が聞こえてきた。
 挨拶をしようとドアの方へ向かったが、男性の声が聞こえてきて立ち止まった。声の主は、署長のものらしかった。どうやら凛先輩と会話をしているようだ。
「署長もミラー越しにご覧になっていましたよね。彼女のやり方は――」
 凛先輩の声色はいつになく厳しかった。普段の甘くて優しい響きはそこにはない。
 何となく出辛くて、更衣室のドアの前で足を止めてしまった。
 盗み聞きをするつもりはなくとも、自然と耳にその会話が入ってくる。

「初めてとは思えないほど素晴らしい活躍だったね。」
 対する署長の声は、とても明るいものだった。
 それでも凛先輩は、厳しい口調を崩さない。
「素晴らしいと……署長は思われたのですね。」
「容疑者はちゃんと自白したよ。あの短時間で随分とおとなしくもなった。」
 そう言って署長が高らかに笑う。
「……でも、特に……自白後のあの行為は、明らかに彼女個人の――」
 そう言いかけた先輩を遮り、署長は高圧的に言い放った。
「後藤くんはよく頑張った。犯人は自白した。必要なのは、それだけだ。」
「…………」
「これからも後藤くんの教育、よろしく頼むよ。」
 二人が歩き去る音が聞こえ、会話は途絶えた。

 私は項垂れたまま、自分のロッカーの前へと戻った。準備したネックレスをそっとロッカー内へ戻す。
 ――今のままじゃ駄目なんだ……
 凛先輩に認められたい。その思いだけがどんどん強くなっていった。
 本日の容疑者資料に目を通す。彼は世間を騒がせた通り魔殺人の容疑者だ。

 私はアイスピックを手に取り、上着のポケットに入れた。



END

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 嶺岸さんは表情を失い、その額には脂汗がびっしりと浮かんでいた。そんな状態の中、彼は声を振り絞る。
「……ごめ……さい……。めん……なさぃ……」
 彼の視線は自分の股間へと注がれていた。私は彼に問う。
「ちゃんと、反省できましたね。」
「は……いっ……。ですからもう……もう……」
「でも、もう一つ残って――」
「おね……します……。お……ます……」
 呼吸困難を引き起こしているのか、彼の息が激しい音を立てている。その目はまるで、母親の愛の手を求める赤ちゃんのようだった。その姿がとても愛らしく、私のサービス精神をくすぐる。
「もう一つも、潰しておきましょうね。」
 私が彼のもう片方の睾丸を万力に挟み込む。彼はとうとう言葉が出せなくなってしまったのか、喉からヒューヒューという擦れた音だけを漏らしていた。彼の身体が激しく震えている。涙を流し、必死で何かを訴えかけている。
 彼は準備を進める私の顔や身体、手などあらゆる箇所を見ては、尋常でない震えを見せた。
「よっぽど、怖いんですね。」
 私のその言葉を聞き、彼は何度も首を大きく縦に振った。犯罪が怖いものだということを、彼は自覚しているのだろう。私は震える彼の瞳をじっと見つめた。
「じゃあ……せめて……」
 その後は言葉にできなかった。
 私は右手の二本の指を勢いよく突き出した。彼の両目に向けて。
 彼がとっさに身体を捩る。狙いが少しずれ、人差し指の方は目を捉えることができなかった。中指は彼の右目の結膜内に突き刺さっていく。ヌルリとした円蓋部結膜に指の先を挿入し、私は彼の眼球を強く抉った。ドロドロと血液が流れてくる。
「ぐあ……あああ……! いぎゃ……あぁ!」
 と、彼が喉の奥から声を振り絞る。右目から血を滴らせながら、彼が激しく悶える。私は、片方の目しか潰すことができなかったことを悔やんだ。彼にもう一度痛い思いをさせなければいけないのだと思うと、とてもかわいそうだった。
 ……でも、彼がこれ以上怖いものを見なくてすむのなら。
 私は再度、人差し指を彼の左目へと向ける。
「ごめんなさい。もう一度刺します。動かないでくださいね。」
 私がそう言った時、彼の口からその言葉が聞こえてきた。
「……や……した。……犯……人……ぼく……」
 彼の言葉を聞き、私の目からは自然と涙が溢れた。やっぱり一生懸命やれば心を開いてくれるんだ。心が通じるって、こんなにも嬉しいことなんだ。私はそれを、この時初めて知った。私は思わず拘束台の上の彼に手を差し伸べ、強く抱きしめていた。
「嶺岸さん。素敵です。本当によく言えましたね。」
 そう言いながら私は、彼の頭を優しく撫で続けた。彼はまだ自分が素直になったことに慣れていないためか、きちんと自白できた後も身体を強張らせ、小刻みに震わせていた。
 そして私は最後のけじめとして、彼の左側の睾丸もしっかりと潰した。
 ……これで彼は、自分のしたことを素直に認めること、そして、他人の大事な物は大切に扱わなければいけないこと、どっちも理解してくれたはず。
 私は、絶叫の末に再び気絶した彼を前に、とても清々しい気持ちでいっぱいになっていた。

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 嶺岸さんの表情からは血の気が完全に引いていた。
 震える口から声を絞る。
「こ、これ……」
 信じられないような顔つきで私を見る。その瞳は潤み、奥歯は絶えずガタガタと音を立てていた。
 私は満面の笑みを彼へと向けるが、彼は一層大きく震えるばかりだった。落ち着いてもらおうと必死で微笑んだけど、彼は笑わない。もしかしたら私の顔が引き攣っているのかもしれない。だって……
 私は再度、諸所が赤く染まったプリーツスカートに目を遣った。悔しい気持ちがじわじわと込み上げてくるのが分かった。ついポツリと声を漏らしてしまう。
「これ……昨日買ったばかりなんです。」
「え?」
 彼が素っ頓狂な声を上げる。予想だにしなかった言葉だったからかもしれない。でも、私はその後も言葉を続けずにはいられなかった。
「お気に入りなんです。」
 私が目線を下へと落とす。彼もまた私と同じように視線を下げる。そして彼はさらに大きく震えた。
 自分の血でまだら模様になった私のスカートに気付いてくれたのだろう。彼の反応を見て、私は内心ホッとした。彼はちゃんと罪悪感を抱ける人なんだ。そう思うと、すごく嬉しくなった。
 ……彼が本当はいい人だという考えは、間違っていなかった。ただ、素直になれないだけ……
 私はそっと彼の瞳を覗き込み、努めて優しく声をかける。
「他人の大事にしてる物を台無しにした時は、どうすればいいと思いますか?」
「あ……うぅ……」
「責任……取るべきですよね……」
「ひぃ……ひいぃ……」
「嶺岸さんの大事にしてるもの――」
 そこまで言った後、私は万力に手をかけた。ギリギリと彼の右側の睾丸を圧迫する。
「ぎゃああああっ!」
 と彼は絶叫し、「ごめ……いぃ……。ごめんな……さいぃ!」と涙を流しながら訴えた。
 彼が苦痛の声を大きくする度、私は嬉しくて仕方がなかった。
 ……彼はちゃんと痛みが理解できる人。ちゃんと反省もできる人。私がしっかりと……
「素直ないい人にして差し上げます……」
「や、やめ……」
 ――グチャッという鈍い音とともに鮮血が舞った。亀頭から噴き出す血液が再び私を覆う。彼はピクピクと全身を痙攣させながら断末魔の声を上げた。
「ぎゃああああっ! があああああっ!」
 彼は今にも拷問器具から身体を振り解きそうな勢いで暴れた。彼を拘束している枷がギシギシと音を立て、彼の肌を傷つけていった。やがて傷痕は深くなり、そこからも血がポタリポタリと滴り始めた。
 しばらく暴れた後、彼は身体を震わせたままぐったりと項垂れた。その瞳は涙で覆い尽くされ、口は半開きのまま涎を垂れ流し続けていた。
 私は彼の頭をそっと撫でた後、彼のもう片方の睾丸に手をかけた。

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