[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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紹介文の通りです。
「奴隷に許されたのは、ただ受け入れることだけ」
何を今さら、という声が聞こえてきそうですが。

主の喜ぶ顔がみたい。主に心から楽しんでほしい。
――私自身は、それ自体が、マゾヒストのエゴだと解釈しています。
まして、
奴隷でいたい。傍にいたい。捨てられたくない。責めてほしい。
と――、その欲望は果てしないわけですね。
真にそれを望むなら、主に全てを委ねて……
「身体の苦痛を受け入れるだけ」
もし、それに耐える能力が無いのであれば、
……破棄される日を、ひたすら怯えて待つのみでしょうか(笑)

本作の悲しいM男クンは、我が身可愛さに、命令に背きました。
全うできなかったにも関わらず、おこがましくも……
奴隷でいたい。傍にいたい。捨てられたくない。責めてほしい。

女王様の見せた優しさは、彼にとって、とても残酷なものだったのかもしれません。
これから彼は、主に包み込まれた罪悪感から、
「心の苦痛を受け入れるだけ」――なのですから。

彼にとって幸福なのは、身体の苦痛か、心の苦痛か、それとも両方か。それはわかりません。

もうすぐクリスマスですね。
皆様は、どのような聖夜をお過ごしになるのでしょうか。
素敵な時間になるといいですね。

今後も、Black Onyx [ブラックオニキス]を、何卒よしなに。

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 気づけば、女王様の脚にしがみついていた。
 何が正しくて、何が間違っているのか。そんなことは、もう全くわからなかった。感じられない。考えられない。それでも僕は、そうしたかった。そうせずにはいられなかった。
「――……!」
 女王様の名を呼ぶ。
 主従関係を結んでから一度も口にしていなかった、彼女の本名。
 縋りつき、頬をすり寄せ、爪先にキスをし――
 腹の底から、何度も何度も叫んでいた。立ち上がり、ソファーに寝そべる彼女の胸に顔を埋め、救いを求め続けた。ただただ、彼女自身を求めた。
 失ったかに思えた感情が、堰を切って溢れ出してくる。
 ――愛しい。甘えたい。許してほしい。傍にいたい。認めてほしい。護ってほしい。
 湧き出てくるのは、ほとんど欲望ばかりだった。エゴに満ちた感情の向かう先は、女王様だった。僕の全てが、彼女へと向かっていく。
 うまく言葉が出ない。ただ、彼女の名を呼ぶことで、自分の気持ちをぶつけた。
 女王様は動かず、僕の好きにさせてくれた。僕は、力の限り彼女を抱きしめた。
 きっと、いや……、決して、許される行為ではない。それでも、止められない。
 女王様の手が、僕の頬を撫でる。そして彼女は、
「一番大事なのは、自分なんだね……」
 と、小さく囁いた。その声が、あまりに淋しそうな響きで――
 僕は、はっとして顔を上げた。
 女王様の、儚い微笑み。どこか悲しげな顔が、僕の脳裏に焼きついた。
 それは、ほんのわずかな時間だった。
 女王様は、すぐにその表情を収め、にっこりと笑った。優しい瞳で、
「いいよ。おいで」
 腕を大きく広げた。
 その胸に迎えられ、僕は女王様に身を委ねた。ぎゅっと抱きしめられながら、
「よく頑張ったね」
 耳元で聞こえた、温かい声。
 僕への同情だと、すぐにわかった。
 女王様の胸は、とても温かかった。でも……、だからこそ、僕は悲しくなった。
 己がために、ぬくもりを求めた。それが満たされた今、女王様の器の大きさにますます敬服することになった。自分の至らなさ、情けなさを痛感することになった。
 ――僕は、女王様の期待に応えられなかったのだ。
 目頭がつんと痛む。
 それでも、涙は流せなかった。罪悪感が、僕の涙をせき止めた。



END

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 動けなかった。
 言葉が見つからなかった。
 涙すら出なかった。
 ただ、女王様の慈悲だけを求め、縋りたい一心で顔を上げた。
 女王様は、淡々とグラスに飲み物を注いでいた。その様子はまるで、僕の存在自体を忘れてしまっているかのようだった。その時になって初めて、僕は、自分の犯した過ちの大きさを実感してきていた。
 僕の存在は、女王様に肯定されることでしか成り立ち得ないというのに……
 全身が震える。後悔の念がじわじわとこみ上げてくる。
 それでも僕にできたのは……、平伏し、また頭を床に擦りつけることくらいだった。
 耳を通じて、女王様の手が止まるのがわかった。
 ――僕を……見てくださっているのだろうか。
 にわかに期待が膨らむ。と――、その時、ぐいと手の甲を踏まれ、僕は安堵の息を吐いた。僕を包んでいた闇に、希望という名の光が差したような気がした。
「女王様……」
 唯一、それだけを口にして顔を上げた時、女王様は既に、フローリングの部屋へと移動していた。さっきと同じようにソファーに寝転び、グラスを片手に別の雑誌を読んでいる。
 単に、僕を踏み越えていっただけだった。
 そう――。僕は……、邪魔だっただけ。だから踏まれた。責めなんかじゃない。
 女王様の声が、頭の中で木霊する。帰っていいよ……。帰っていいよ……
 あまりに残酷なその言葉を、受け止めることができない。言葉の意味を理解することすら、心が拒んでしまっていた。
 胸が痛い。
 悲しい? 淋しい? 心細い? 虚しい? 切ない?
 きっと、どう問われても、僕の中に答えなどない。仮に、これが正解だと指し示されれば、おそらくその通りだと言うだろう。全てが正解なのだと言われても、反対に、全てが不正解なのだと言われても、その通りだと答えるだろう。
 心の中にポッカリと穴が開いて……とは、よく表現したものだが、それなら僕の場合は、心が無くなって……とでも言えばいいのだろうか。
 何も感じない。感じられない。
 くつろぐ女王様の姿を見ながら、僕はただ、静かにキッチンに座っていた。
 ――どうするべき?
 答えなど出ない。
 感じることすらできないクズに、どうして考えるなどという難しいことができようか。
 女王様の言葉だけが、頭を巡り続けている。
 帰っていいよ。帰っていいよ。帰っていいよ。帰っていいよ。帰っていいよ。

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 女王様の瞳の色が変わる。
 開け。――指先が、そう語っていた。
 女王様の顔から、すっと表情が消える。おもむろに、拳を握り締める。
 たったそれだけの動作なのに、僕を恐怖に陥れるには十分過ぎる態度だった。
 さっきの痛みが鮮明に蘇る。女王様の命令は絶対――そんなことはわかってる。でも、身体が言うことを聞かない。
 ――拳なんかで殴られたら……
 恐怖心だけが、みるみるうちに増幅していく。
 女王様の口元がにわかに歪む。一見すると、先ほどの微笑と同じようにも見える。だが、それが僕の絶望的な願い――幻想に過ぎないことも、僕にはよくわかっていた。
 命令の絶対。絶対の不実行。不実行は拒否。拒否の罪。罪への罰……罰、罰、罰!
「うあああっ!」
 気づくと叫んでいた。正常な思考など、とっくに麻痺している。その時の僕にできたのは、ただ頑なに股を閉じ、両掌で睾丸を包み込むことだけだった。
 と――、ふと、女王様の視線が、僕から外れた。そして――
「はぁ……」
 今度は、はっきりと聞こえた。紛れもない、うんざりした溜息だった。
 女王様は無言で立ち上がり、ソファーに横たわった。片肘をつき、おもむろに雑誌を開く。その表情からは、いかなる感情をも窺い知ることはできなかった。強いて言うならば、無関心……だろうか。
 どう声をかけたものかもわからず、僕はうろたえた。
 虚無感。喪失感。絶望感。戸惑い。焦り。困惑。様々な感情が入り乱れ、僕は行き場を失った迷い子のように、ただただ四つん這いのまま間誤付く。
 汚棒をそそり立てたまま、さり気なく女王様に近づいたその時、
「もう、帰っていいよ」
 雑誌から目を離すことなく、女王様はさらりと言った。
 耳を疑った。
 と同時に、突き刺すような痛みと苦しみが、胸をギリギリと絞めつける。
 女王様の言葉の意味するところがわからなかった。いや、受け止めきれなかったと言った方が、より正確だろうか。
 無表情のままキッチンへと向かう女王様を、四本足で追う。再び正座し、額を床に押しつける。今の僕にできる精一杯の意思表示のつもりだった。
「同じ事、二回言わせるの?」
 それが――、その時、僕の頭上へと注がれた言葉だった。

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 傍らにしゃがみ込む女王様を、僕は嬉々として見つめた。
 見事なまでのプロポーションが、瞳に食い入ってくる。襟ぐりの開いたニットのワンピースは、女王様の張りのある胸を輝かせていた。白く美しい胸元に、しばし魅入る。
 仰向けのままでいる僕に、女王様は優しい笑みを向けた。そして、僕の腹に拳を埋める。
 苦痛に呻く僕の声を聴きながら、女王様は再度、二回、三回――、と拳を振るい、今日初めて、声を上げて笑った。それは、確かに愉悦の表情だった。
 女王様は、もう片方の手の指先で、僕の身体をなぞっていく。
 肩から胸、臍から腰へ――
 次第に力強くなる指先が、僕の皮膚に爪を立てる。それは少しずつ、深く身体に喰い込み、そして、
「っ……くっ……」
 裂くような痛みを僕に与えた。血が出ているのかもしれない。そう感じた頃、
「ぐはあっ!」
 再び、反対の手が僕の内部を揺さぶる。
 痛い――。苦しい――。それでも、今の女王様の笑みを見ていると、僕は抗うどころか、興奮で息遣いが荒くなるばかりだった。やがて、身体を伝う指先は下腹部を通過し、
「ふ……あっ……」
 僕の陰茎に触れた。自分でも聞いたことがないほどの高い声が、喉から絞り出された。
 ビクビクと脈打つ醜いソレは、いつの間にか膨張を極めていた。
 女王様の嘲笑が聞こえた――と思った次の瞬間には、僕は悦楽の世界へと誘われていた。
 温かい指が、さわさわと陰茎に触れる。数本の指先が、主張を強めるソレを捕まえるかのように、すっと挟み込む。その指はやがて掌へと変わり、肉棒全体が抱擁される。そして、時にゆっくりと、時に激しく、ソレが上下に擦られる。
「はぁ……あぁ……あ」
 再度、僕の嬌声が部屋に響いた。快楽に悶え、愉悦に浸る。その時――
「ぐっ!……ぎぃああっ!」
 僕の中から、もうひとつの声が上がった。内臓を引きずり出されるような鈍い痛みに、僕は思わず身体を仰け反らせる。
 痛みの原因はすぐにわかった。女王様が、もう片方の手で、僕の睾丸を擦り合わせているのだ。きつい。それでも、最大限にまで漲った汚棒が力を弱めることはない。
 女王様は口元に冷笑を浮かべ、
「ぐああっ……、ひ、ぎいぃ!」
 さらに、睾丸を包んだ手の握力を強める。
 ――苦しい。苦しい!
 怒張するモノと高揚する欲情に反し、僕は強引に股を閉じた。

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 空気が震えた。
 かすかに聞こえた溜息と、ピタリと止まった女王様の足。
 僕は知っていた。それらは女王様の憤りを、静かに物語っているのだ。許されない失態。考えれば容易にわかることだった。今、僕が存在しているこの場所は……、女王様の部屋なのだから。
 身体が瞬時に硬直する。それから慌てて、床に零した涎を掌で拭う。
 謝罪の言葉を繰り返してみても、女王様の反応はない。――怖い。それでも、女王様の顔色がどうしても気にかかる。僕は床に膝を着けたまま、ちらりと視線を上に動かした。
 その瞬間――
「っ……ぐふううっ!」
 強烈な蹴りが、僕の鳩尾に叩き込まれた。
 重い。身体が持ち上がるような感覚だった。たまらず身体を丸める。腹を抱え、床の上を激しくのた打ち回る。視界が暗転する。呼吸すらままならない。涙が溢れてくる。それでも、逆流してくる黄水だけは、必死で内に留めていた。
 やがて、跳ね回る僕の身体は女王様に捕らえられ、仰向けに固定された。女王様の足が、喉にじわりと喰い込む。苦しい。徐々に体重をかけられ、僕は堪えきれずに咳く。
 ――すみませんでした。
 涙ながらに、僕は許しを乞うた。が、その謝罪は言葉にすらならない。ただ、喉から擦れた音が漏れるだけだった。頭に血が通わなくなっていくのがわかる。
 ――申し訳ありません。申し訳ありません。
 心の中で、何度も叫んだ。
 涙で潤んだ瞳に映る女王様は、嗜虐の表情を湛えていた。尤も、そんな風に見えたのは、僕の勝手な思い上がりなのかもしれない。――もしかしたら、僕の苦痛に歪む顔を楽しんでくれているのかもしれない……などと。それでも女王様は、確かに、冷たい微笑を浮かべていた。今の僕にとっては、それがせめてもの救いだった。
 女王様の足が喉から外された時、僕は、
「申し訳ありませんでした! ありがとうございます!」
 咳き込みながら、必死で謝辞を口にしていた。
 その時、くすりと笑う声が耳に届いた。それが、僕の不安を一気に吹き飛ばす。
 女王様は、先ほどまでと同じ表情で、僕をじっと見下ろしていた。許してもらえたのだ。楽しんでくださっているのだ。そのことが、何物にも代え難い喜びを、僕に与えてくれた。女王様の優しさが、心の奥にまで沁み込んでいく。
 女王様が、僕の口内についと爪先を押し込む。蠢く指先が喉に中り、嘔吐反射を起こす。口から出された足は僕の頬へと移動し、濡れた感触を伴って、じわじわと頭部を圧迫していく。負荷が大きくなるにつれ、痛みも激しくなる。
 その全てが、今の僕にとってはご褒美だった。

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 フローリングの床が、額を冷たく受け止めた。
 気高い存在を前に、全身で無抵抗の意を示す。それでも各所が小刻みに震えてしまうのは、緊張か畏敬か、恐怖か期待か――、あるいは、その全てによるものなのか。間違っても、全裸だから、などという馬鹿げた理由でないことだけは確かだった。
 ひたりと動く静かな音が耳をかすめ、張り詰めた空気が僕を縛った。
 身が凍る。鼓動が高鳴る。寒気とともに、じわりと汗が滲む。
 部屋全体に漂う圧迫感に耐え切れなくなった頃、
「ぐうっ……」
 背中にズシリと重みを感じた。
 視界の左隅に映ったのは、ネイルを紅く彩った、白くしなやかな足だった。その瑞々しく輝く柔肌が、今の僕には鋭い凶器に見える。持ち主はもちろん、僕の女王様だ。彼女は、携えたその武器で、
「うっ……、ぐああ……っ」
 じわじわと、僕の指先から手の甲、腕に至るまでを、執拗に踏み躙った。痛みから、自分の体勢が徐々に崩れていくのがわかる。そう感じた時には、
「ぐ!……ふっ」
 ひときわ強い衝撃が脇腹を襲い、僕はたまらずその場に横たわっていた。
 目前に現れた女王様の脚に、つい目を奪われてしまう。自然と持ち上がった視線が、脚のラインを捉える。丈の短いスカートが、艶やかな太腿を強調している。
 興奮が高まっていく。既に膨れている愚息が、漲りを増していく。
 そんな僕の野卑な目を叱責するように、
「ぐほおっ!」
 女王様は爪先を、僕の腹に深く突き刺した。そして、二発――、三発――、四発――
 淡々と、絶え間ない蹴りが続いた。僕は拙い謝辞とともに、苦悶の声を上げる。
 そこに女王様の言葉はない。ただ、決して抗えない圧倒的な支配力が存在しているだけだった。
 思わず腹を庇ってしまう僕の腕は、あっけなく蹴り払われる。不快の証。手が邪魔だというメッセージ。それらが肌を伝って、僕の中に響いてくる。
 手を下ろした僕に与えられたのは、さらに強い蹴りだった。体勢を変えぬよう意識しながら、
「うっ……、ぐはあっ! あぐう!……うえっ!」
 内臓を打たれる苦しみに身を委ねる。その合間を縫うように、
「ありがとうござ!……っは、……ございまっ……ぐうっ!」
 僕は必死で、日本語にならない感謝の言葉を繰り返した。
 いつしか僕の口の端からは、一筋の涎が垂れてきていた。

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主従って、いったい何?
――と、本作を手掛けながら、しみじみと考えてしまいました。
悲しいM男クン。これからも頑張って!

文章のもつ可能性に、挑戦心を擽られることがあります。
同時にそれが、力のなさを自覚する良いきっかけにもなります。
「騙された」「やられた」「悔しい」
そんな屈辱を私に味わわせてくれた星氏や我孫子氏に、あらためて敬意を表したいです。
彼らの背中を追いながら、今日も明日も精進精進!

今後も、Black Onyx [ブラックオニキス]を、どうぞよろしくお願いいたします。

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「来なさい」
 女王様が呼びかける声に、敏感に反応する。元気よく吠え、その足下に鼻を鳴らして擦り寄る。
 犬――
 これほど幸福なことがあろうか。
 女王様が、頭を掴んでわしわしと撫でる。それが全ての幸福の瞬間であるかのように吠える。
 当然、粗相をした時には叱られ、お仕置きを受けることになる。
「この、馬鹿犬!」
 そう言った女王様の声は厳しい。それでも、女王様の瞳は常に慈愛に満ちている。可愛いと思えばこその調教なのだ。だからこそ、受け入れる義務がある。自責の念をもつ義務がある。感謝する義務がある。
 女王様が罵倒しながら、頭を叩く。絞める。鞭を振り下ろす――
 それでも、その場を動くような真似はしない。痛みに耐えながら、キャンキャンと高い悲鳴を絞り出す。
 女王様との力の差を思い知るほど、抵抗は無意味なものとなる。
 弱々しく喉を鳴らし、ただ項垂れて、許される時を待つ。それが正しい選択だ。そして――
「よしよし」
 その後で注がれる、女王様の溢れんばかりの愛情。免罪の瞬間。
 そこに幸福を感じた時、女王様への忠誠は必然のものとなる。
 興奮し、喜びの感情を全身で表現する。息を荒げ、女王様の足下に擦り寄る。
「本当に可愛い子だね、お前は」
 女王様の言葉に、声を大きくする。甘える。ひれ伏す。
 再び、
「――お手」
 という女王様の言葉が飛べば、するべきことは決まっている。
 それは、言うまでもない、犬としての正しい態度。あり方。至極、当然の行為。
「いい子」
 女王様は、再び頭を撫でながら、
「それに比べて――」
 と、その秀麗な瞳を細く眇めた。
 女王様が、部屋の隅に視線を向ける。

 ……この瞬間、今日初めて女王様が僕を視界に入れた。

 忌々しそうな目つき。本当に汚らわしいものを見るその顔は、それでもなお、女神のように美しかった。
 しかし、瞳が重なったのも、一瞬のこと――
 その視線は、すぐに足下の小さな白いスピッツへと戻った。かの人の愛犬だ。

 女王様の怒りは、未だ解けない。
 どうして僕は、あんな過ちを犯してしまったのだろう。何度、後悔すれば済むのだろう。
 僕は、薄汚いモノを怒張させたまま正座し、目の前で可愛がられるそいつを、ただ見つめることしかできない。
 犬以下の烙印……
 これ以上、酷なお仕置きはなかった。
 手を伸ばしたい。そいつと代わりたい。構ってほしい。撫でてほしい。叱ってほしい。抱きしめてほしい。
 そう欲することすら、罪だというのに。

 いつから涙が流れていたのだろう。
 僕は眼前の光景を、瞳に焼き付けた。二度と間違うことのないように。



END

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今年も、彼らは自然と関係を紡いでいってくれます。
作者自身、これからの二人がどんな成長を見せてくれるのか、楽しみになっています。

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