[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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人が何かしらの意志をもって行動する時、そこには必ずその目的が存在します。
しかしそれは時として、その行為によって薄れてしまったり、暈されてしまったり。
優美子のように、行為自体が目的とすり替わってしまうことも、決して珍しいケースではないと思います。
それが、新たなる物語へとつながっていくとは思いもせず……

「放課後の夕暮れ」の外伝です。
今回竜崎は割を食いましたね。突っ走り男の扱いです(笑) 逆に株をあげたのは、信二でしょうか。
優美子がなぜ信二をパートナーに選んだのか、それまでの補足をしたいと考えました。

竜崎と信二のすれ違い。
優美子と信二の恋愛関係。
優美子の姉に対する思いと、それを逸脱した行為。
そうさせた何か。
たまたま優美子の行為を目撃した『あの男』。
それぞれに交錯する人間模様や心情を楽しんでいただけたなら幸いです。

今回もまた、ご愛読いただいた方々に感謝申し上げます。
よりよい作品づくりを目指してこれからもますます精進していきたいと思っています。
今後とも、応援よろしくお願いいたします。
また、ご意見やご感想などもお気軽にコメント欄に下さると嬉しいです。

●優美子のキャラ絵 →    
●優美子の台詞ボイス →

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 ここでの一部始終を見終えた僕は、開いた口が塞がらなかった。
 呼吸困難に陥るほどの衝撃を受けていた。その反面で、僕はまた下半身を大きく膨らませていた。
 事の最中に何度もズボンの中から射精した。そのため、僕のズボンは精液でベトベトに汚れていた。
 そこで感じたリアルな恐怖。それは僕が心底望んでいたものであった。いざその光景を目の当たりにした時、僕はとても言葉では表現できないほどの恐怖と感動を同時に受け、軽いパニックになっていた。
 いつの頃からか僕を悩ませ始めた病気は、やっぱりここでも発現していた。
 妄想M男がリアルな責めを間接的に体感した瞬間だった。
 女から男に向けられるあくまで動物的な、野生的な本能。
 ――暴力、破壊……
 そのものの集大成を僕は目の当たりにした。その喜びをどう表現したらいいのだろう。
 ここにあるのは、紛れもない現実であった。
 これは偶然なのだろうか……。これを僕への祝福の品だと受け止めるのはやはり慢心なのだろうか。
 ――あの子は……僕の女神だ。
 興奮冷めやらないまま、僕はもう一度その女神をしっかりと目に焼き付けておこうと、暗闇の中でじっと目を凝らした。
 ふと気付けば、この暗闇がとても深いものであることが分かる。それが分からないほど、さっきまでの光景は僕を魅了していたのだ。

 ――え?……

 しかし彼女は既にさっきまでの位置にはいなかった。ただ、だからと言って一生懸命彼女の姿を探す必要もないところへ移動していることが、すぐに分かった。
 だって彼女が移動したのは……僕の目の前だったのだから……

「ふふ、少しは楽しめた?」
 彼女は冷酷な笑みを浮かべてそこに立っていた。
 突然の状況に僕が出来たのは……
「あ、いえ。あ、あはははははは……」
 空笑いをすることだけ……

 現実というものは恐ろしい。明日の運命なんて……いや、一秒先の未来でさえ、誰にも分からない。
 今のこの瞬間までは、妄想を楽しむだけだった。しかしまさにこの瞬間、その妄想はリアルへと変わろうとしている。……他でもない自分へと向けられた攻撃の意志……
 次に視界に入ったのは、今まさに僕の腹に突き刺さらんとする彼女の膝だった。
 僕のM的妄想症候群も、これで終局を迎えるのだろうか……



END

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 遠くからバイクの音が徐々に近付いて来るのが分かった。
 それは私たちの目の前で止まった。乗ってきた人物がフルフェイスを両手で頭から取る。
 信二だった。
 彼はこの光景を目の当たりにすると、ここで私が行ったことを全て理解したように見えた。
 目の前の男は必死になって信二に助けを乞おうとしていた。
 私が再び手を放すと男は膝から崩れ落ちた。私は信二に縋ろうとする男の背中を足で押さえ込む。
「間に合わなかったか……?」
 信二の声が聞こえる。
「やっぱり来てくれたんだね。」
 私はそれだけを言うと、男の背中をぐりぐりと踏み躙った。男が絶叫する。
「三人ともまだ辛うじて生かしてあるよ。とことん苦しめて殺したいからね。」
 私は真剣だったが、その声は興奮からか幾分高ぶっていた。その私の言葉に信二は多少の安堵の表情を浮かべた。それからまた真剣な面持ちになると、私に諭すように話し始めた。
「優美子。俺はお前が好きだ。愛してる。」
 突然の告白に胸を打たれる。信二が話を続ける。
「俺は永遠に、お前の味方だ。だからよく聞いてくれ。」
 私は黙って耳を傾けた。呼吸を少し整えてから信二は提案した。
「こいつらを殺しちゃいけない。警察沙汰にならないようにするんだ。いいか。こいつらを飼うんだ。」
 信二の突拍子もない提案に、私はしばし言葉を発することができなかった。しかし彼の表情は真剣そのものだった。
「こいつらを奴隷にして、毎日拷問するんだよ。簡単に殺してしまうより、長期に渡ってその罪深さを思い知らせた方がいい。」
 確かにそれは一理あると思った。『毎日拷問』という言葉に私の感情はさらに高揚する。
「このまま、終わりにしてしまっていいのか? 京香は、それだけで満足するか?」
 ……虚をつかれた。私はこの時になって初めて、いつの間にか自分が本来の目的を忘れていたことに気付かされた。
 ――姉さん……。そっか。私、復讐に来たんだよね。いつからこんな風に?…どうして私は?……
「お前は、こいつらに己の罪深さを認めさせて、償わせるべきだ。きっとそれが……優美子にとって為すべき正義……」
 ――正義……正義……。そうだ。私の復讐はまだまだ終わりじゃない。姉さんの無念は、こんな生温いものでは決して晴らすことができない。
 自分の頭が整理されていく。それを感じると同時に、私は信二への尊敬の念をさらに強くしていた。しかし、その提案に乗ったところで、姉の仇をいつまでも生かしておける自信もなかった。
 何しろ私は……既に、敵を痛めつけることに快楽を覚えてしまった女……
 その気持ちを汲んだように、彼はにやりと一つ笑みを零しながら続ける。
「楽しむのも悪くないと思うぜ。そんなお前も魅力的だ。なに、これから先、もし警察沙汰になるようなことがあれば、俺が全てを被って自主してやるさ。誰が何と言おうが、お前は正義の裁きを下してるんだ。自信をもてよな。」
 彼の言葉に、胸の奥がすっと落ち着いてくるのを感じた。その包容力に私は心を奪われていた。
 ――信二……
 そこまで言うと信二は、持ってきたバットで倒れた男の頭を殴りつけた。
「そう。これは俺が全部やったことなんだよ。」
 男は意識を失った。私は思わず、信二の胸に頭を埋めていた。

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 転がった二人の男の血で、辺りは赤く染まっていた。
 暗闇でその血溜まりが見えないことが残念だった。それを見ることで、私の復讐の成果を実感したかったからだ。
 怯えきった表情の男に笑顔でゆっくりと顔を近付けていく。男がさらに身を小さく固める。
 ――そうだったんだ。やっぱり、そうだったんだ……
 自分のことは自分が一番よく知っているという言葉は今まで何度も聞いたことがあった。しかしそれは間違いだ。私は今こうして、あらためて新しい自分自身を再発見しているのだから。
 じわじわと相手を追い詰める感覚。抵抗できない相手を威圧しながら迫る喜び。この行為が姉の復讐という大義名分の下、正義という免罪符を翳して堂々と行えるものであるという優越感。
 私はこの時確かに、加虐性欲に目覚めていたのだ。
「ふふ。覚悟はいいね。お馬鹿さん……」
「ひ……は……あああ……」
 男が示す恐怖心は、もはや私の性欲を掻き立てるもの以外の何者でもなかった。
 そして相手の顔が恐怖に歪むほど、自分の表情が涼やかになっていくのを感じた。
 髪を掴んで男を持ち上げ、目線の高さを合わせる。そのまま木を背にさせる。私は膝を大きく後ろに引いた。

 ……!!!……

 静寂に囲まれた公園内に激しく鈍い音がこだまする。
 私の膝が男の内臓の感触をしっかりと受け止める。内部を破壊するその瞬間を肌で感じる。
 無抵抗のままで膝を突き刺された男は眼球が飛び出すほどに目を見開き、内部から込み上げる嘔吐感を表情に表していた。
 酸素を求めてか、内部から今にも何かを押し出したいという身体の反応からか、男は舌をだらりと垂らしながら、しきりに口を金魚のようにパクパクと動かしていた。
 膝を抜くと、まるで破裂した下水管から水が溢れるように、勢いよく口から血を吐き出した。
「肝臓……だよ。その血の源流はね。」
 あまりに冷静な言葉が口をついて出る。私はその行為と男の反応に、言いようもないエクスタシーを感じていた。
 男は身体中の力が抜け、手を放すと腹を抱えて地面に突っ伏し、うつ伏せになって吐血を繰り返した。
 その腹に焦点を絞り、さらに何度も爪先で蹴り上げる。じわじわと……まるで自分がネズミを弄ぶ猫になったような気分だった。
「うえぇぇ……お、ごほっ……ぐが……げほおお……」
 男の苦悶の声がこんなにも耳に心地よいということを初めて知った。
 私は興奮を抑えきれず、再度男の髪を掴んで無理矢理立たせると、また膝をその腹に突き刺すのだった。

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 男は再び勢いよく吐血し、ピクリとも動かなくなった。
 私は苦悶する男の表情を胸に刻んでおきたいと思い、その拳をしばらく抜かなかった。
 目を大きく見開き、口をだらしなく開いたその顔を見つめながら、私は笑った。
 ――地獄の味は、どう?
 見るともう一人の倒れた男も、その様子を見て失禁していた。
「上からも下からもいろいろなものを出して……。本当に汚いね……」
 私はその情けない男の姿にほとほと呆れてきていた。男の表情は土と吐瀉物にまみれ、とても読み取ることは出来なかった。
「お前にお似合いだよ、その顔。醜くて、汚くて……お前そのものだね。」
 男は悶えながら必死で私に何かを訴えているようだった。もちろん私にはそれを聞き取ろうという気持ちなど微塵もなかった。
 例によって残った男は身を縮こめたまま、何やらうわ言をぶつぶつと呟き始めた。
 私は悶え苦しむ男の前に立つ。足元に転がる男を見下ろし、笑みを零していた。
 ――もっともっと苦しめてあげるからね……
 転がっている男はそんな私を見ると、一目で分かるほど顔面蒼白になった。吐瀉物の間から覗く瞳から、男がすっかり怖気づいてしまっていることが分かる。
 ――せっかくの復讐劇なんだから、もっと抵抗してくれた方が面白いのにな……
 そんなことを考える。
 私は靴底でゆっくりと男の腹を踏みつけた。男は痛みからか恐怖からか激しく絶叫する。
「このまま潰しちゃおっか。中身……」
 私は無表情で男に語りかけると、返事も聞かずに徐々に踏みつける力を強めていった。
「お……ご……がはっ……」
 男の叫びは次第に声にならなくなる。全体重を乗せた頃には、男は顔を真っ赤にしていた。
 少しして踏みつける力を弱める。男は同時に、一気に息と血液を吐き出し、咳き込む。
 また体重をかける。しばらくしてまた力を弱める。繰り返す。
 男は次第に反応すらしなくなった。私が踏みつける度に血を吐き出す人形のようになっていた。


 血の海に沈んだ無様な二人の男から視線を外し、残った男を見る。彼もまた失禁していた。
「ふふ。後はお前だけね。どうやって苦しみたい?」
 男はその言葉に敏感に反応し、弱々しく許しを乞う。本当に面白い姿だ。
 ――あれ? ひょっとして……私……
 足を後ろに振り上げ、爪先をへたり込んだその男の腹に寸止めする。
「ひ……ひぃぃぃ……」
 怯える男の様子を見る。私はその瞬間、自分が恐ろしいほどの興奮状態にあることを初めて自覚した。
 ――これって……
 笑みを浮かべながら男に寸止めを繰り返す。その度にいちいち反応する男の姿を見ながら、私は確かに性的な興奮を覚えていた。その快感は、既に私の中の正義をも凌駕していた。

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 あまりに力ない、無様な格好が滑稽で仕方がなかった。
 吐血して倒れた男二人と私の顔を交互に見ながら、残った男はただただ震えている。
「残りはお前だけね。どうやって苦しみたい?」
 自然と口元が弓なりに曲がるのを感じる。恐怖で足が竦んで動けないでいる男の表情がとても心地よかった。
「…あ……うぅ……あ……」
 ――私たちはこんなやつらに……こんな弱虫たちに……
 心の中で渦巻く憎しみの感情は燃え上がるばかりだった。それが嘲笑という形で表出する。
 ――私はお前たちを、絶対に許さない。
 いつの間にか私は大声を上げて笑っていた。残った男は私の声に敏感に反応し、跳び上がって驚いた。
 目の前の微小な男とあの時私たちにあれほどの恐怖を与えた男の人物像が一致せず、私は別のものを相手にしているような錯覚さえ覚える。
 私と男の間には二つの肉体がそれぞれにごろごろと転がり、汚いものを吐き出しながら悶えている。
 私は残った男から瞳を逸らさないまま、さらに二人を何度も蹴り上げた。
 爪先で腹に加えて鼻や肩、腕、睾丸や膝、いたるところを責めて弄んだ。男たちは既に声を出すこともできず、青白い顔でただそれを受け続けることしかできなかった。
「情けない格好……簡単には殺さないからね……」
 身体中の血が一気に冷たくなっていくのが分かる。一瞬で死なれては姉の無念を晴らすことができない。
 そう……簡単には殺さない。十分苦しむことができるように、ちゃんと致命傷は避けているのだ。
 ――まだまだ苦しめてあげる……私の姉さんが、そうだったように……
 そして私はまた二人の男たちの腹を交互に蹴り上げ続けた。
 残った男はその様子を見ながらとうとう失禁し、腰を抜かしてしまった。本当に情けない奴。そして、皮肉にも相手がそんな弱々しい様子を見せれば見せるほど、私の意識はだんだんと残酷な方へ傾いていくのだった。
「ねえ。肝臓と腎臓って、壊れるとどっちが苦しいと思う?」
 残った男に問いかける。
「ひ……ひぃ……」
「まずはこの男からね。どっちを壊してほしい? お前に選ばせてあげる。」
「ひいぃぃ……」
 まるで会話が成立しない。男の様子があまりにも可笑しくて、私はさらに大きな声で笑った。
「ほら……どうしたの……言わないなら、お前の肝臓と腎臓……今両方とも壊すよ……」
 びくっと男の身体が大きく反応する。泣きながら命乞いを始めた。
「ご……ごめんなさい……ごべんだざい……ごべ……」
「質問に答えてないね。もしかして怒らせたいのかな。」
 努めて優しく問いかけたことが、却って彼の恐怖心を煽ったようだった。男の震えはさらに激しくなる。
 そんな男の姿を見ながら、私は倒れている男の胃に容赦なく拳を振り下ろした。
 胃が潰れる感触が手に伝わってくる。
 拳を突き刺したまま残った男を見る。男はまるで子どものような声でめそめそと泣いていた。

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「身体を使った会話? ふふ…願ってもないことね。覚悟はできてるんでしょうね?」
 気丈ににじり寄る女子高生。しばし辺りを包み込む静寂。肌にビリビリと感じる殺意、憎悪。その様子に怯み、たじろぐ男たち。彼女の凍てつくような視線は彼らを完全に射抜いていた。

 草むらに身を潜めながら、僕は固まっていた。
 それは、目の前で繰り広げられた光景が、あまりにも異様なものだったから。
 三人の男と、一人の女子高生。勝負は簡単につくと思っていたのに…。
 ふっと状態を逸らす女子高生とそれに覆い被さるように豪腕を振るう男。彼女の膝がかすかに動く。
 その次の瞬間、男の身体がくの字になったかと思うとその場にふわりと浮き上がった。まるで時間が止まったかのような錯覚。
 彼女の膝が巨体を一気に持ち上げていたのだ。そのスピードがあまりに速すぎたため、僕は何が起こったのか俄かには理解できなかった。
 無様な男の姿が目に映った。男は眼球が飛び出すほど目を大きく見開き、腹を抱えて蹲った。地面に身体を転がしながら激しく悶絶している。口からは絶えず吐瀉物を搾り出していた。
「ぐお…おえ…ゴボゴボ…えええっ…」
 彼女はそれから為す術を失った男の背中に足を踏み下ろし、グリグリと踏みにじる。彼女の動作は感情をもたない機械のようだった。男を見下ろしながら、無機質に踏み付ける足に力を込めている。
 男と一緒にいた二人は何が何やら分からないといった様子で、ただ呆然と立ち尽くしていた。
 彼らが怯えているのは明らかだった。その足は小刻みに震え、「あ…あ…」と時折言葉にならない声を漏らしている。そう。彼らは立ち尽くしているのではない。動けないのだ。
 たかが女子高生の放った一発の蹴りが、男一人を地面に沈めたのだ。その光景に圧倒されてしまうのは、当然と言えば当然のことだった。
「ふふ。大きいのは図体だけかな。」
「くっ…こいつ…」
 目を疑うような光景だった。それは今まで僕が見たどんな光景よりも恐ろしいものだった。
「こんのアマがぁ!!」
 さっきまで動けずにいた男のうちの一人が背後から彼女に突進する。それはまさに…追い詰められた者の必死の抵抗…
「ぐはあっ!!…ううぇっ…」
 男の身体は彼女の前でピタリと止まった。振り向いた彼女は、男の顔を下から覗き込みながらうっすらと笑みを零していた。
 そこで何が行われているのか、普通なら分からないほどの暗さだった。
 しかし、その時の僕にははっきりと見えた。女子高生の拳が深々と男の腹を抉っていたのだ。
 彼女はその拳を男の腹にめり込ませたまま、しばらくその内部を楽しんでいるかのようにも見えた。
 男は目と口を見開き、舌をだらりと垂らしていた。

 どれくらいの時間が経っただろう。一瞬かもしれないし、永遠かもしれない…
 男の身体は膝から崩れ落ち、前のめりになって倒れた。
 苦悶の声を上げながら、男は地面をのた打ち回った。二体の男はともに、まるで地上に上げられた海老のように身体を丸めたまま、それぞれが転げまわって苦しんでいた。
 その異様な光景に、僕は恐怖を感じるとともに、これ以上ないほどの興奮を覚えていた。
 彼らの口から止め処なく流れてくる血液の混じった吐瀉物だけが、この光景が現実であることをしっかりと物語っているように思えた。

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 学校で信二に聞かされた話に、俺は困惑していた。

 -----信二が彼女の復讐に行くなんて俄かには信じ難かった。-----

 しかし信二の気持ちを察すれば、それは当然のことだとも思えた。
 俺が信二の立場だったら、きっと同じように思っていたに違いないのだ。
 だから、例え信二が相手を殺めてしまうことがあったとしても、俺にも…いや、誰にも彼を咎めることはできないだろう。少なくとも、人の心を理解するものであれば…
『下手したら命を落とすことになるかもしれない。』
 信二の言葉が何度も頭をかすめる。その度に、俺は最悪の想像に取り憑かれてしまうのだった。
 信二はまるで意識などないかのように天井を見上げ、ぶつぶつと何かを呟いていた。
 終業のベルが鳴り響く。彼はほんの少しだけ俺に笑顔を向けると、真っ直ぐに出口へと向かうのだった。


 俺には既に躊躇はなかった。
 昨日の信二からの電話。言葉少なではあったが、その内容は、そうでなければいいと思う俺のわずかな期待を大きく裏切り、信二が復讐に行くという事実だけを如実に物語っていたのだ。
『後を…頼むな』
 今日は信二は学校に来ていない。
 ――信二は…復讐に行くつもりなんだ…。彼女の仇を取りに、東一丸高校へ…。
 嫌な予感が胸を過る。
 ――信二が殺される…。俺の大切な親友の恋人を強姦したクソ野郎共。そのことがどれだけ俺の腸を煮えくり返らせたことか。そんな奴らだ。きっと奴らは…今度は信二を血祭りにあげようとする…。
 想像は俺の中で大きく膨れ上がり、そのクソ野郎共に対する怒りはもはや絶頂に達していた。
 ――それは親友である俺の役目だ。俺がこの手で殺してやるよ。見ていろよ、信二。

 俺は東一丸高校へ一人で乗り込んだ。そして、校舎内の窓ガラスをひたすら割って回った。
 ――愛するものを平気で汚そうとする奴は、俺が正義の制裁を加えてやる!
「出て来い! 出て来いよ、おい! 出てきやがれー!」
 しかし俺の抵抗は本当に空しく幕を閉じた。
 結局、信二の恋人を強姦した犯人が誰か分からないまま、俺は学校関係者によって捕らえられてしまったのだから。俺は自分の無力さを心底呪った。

 俺はこの件が学校で問題となり、別の学校へ転校することになった。通常なら退学になってもおかしくないケースだったが、どうやら事を世間に大っぴらにしたくないという学校側の意思で、転校という措置になったのだという。しかしそんなことは俺にとって大した問題ではなかった。ただ、その日信二が彼女の復讐に行ったという話を聞かなかったことが一番の救いだった。
 ――これでいいんだ…これで。俺の行為は決して無駄ではなかったのだ。お前は俺のこの行為で復讐を思い留まってくれたんだよな。そう。お前には復讐なんかより、もっとするべきことがある。
 俺は、信二とその彼女の幸せだけを願っていた。正義は…きっと最後には勝つ。その信念だけが俺を支えていた。

 しかししばらくして、友人から聞かされた。信二がその後も学校に姿を現さなくなったということを。
 俺は直感した。信二は結局、復讐に行ったのだ。彼女のため、そして…おそらく俺のためにも…。
 信二の正義感の強さは、俺がよく知っていたつもりだった。だからこそ、俺は自分の愚かさを嘆かずにはいられなかった。信二の顔を思い浮かべるたびに、俺は後悔の念を強くするのだった。

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 俺の話を聞いた竜崎は目を大きく見開き、食い入るように俺の瞳を覗き込んでいた。
「それ、本気なのか。」
「あぁ。まだ実行の日は分からないんだがな。ただ、相手も相当慣れてると見ていいだろう。下手したら命を落とすことになるかもしれない。」
 竜崎はしばし絶句していた。無理もない。

 -----俺の彼女が、姉の復讐に行こうとしているんだ。-----

 しかも、それがどれほどヤバイことか、こういうことに免疫のない竜崎でも十分理解できることだったであろうから。
 授業のチャイムが鳴り響くと同時に、先生が教室へと入ってきた。俺たちは話を中断する。
 委員長の号令と先生の講義が、今はやけに無機質に聞こえた。


 優美子の身につけた力は、もはや俺の想像の域を大きく超えていた。俺が捕まえてきた獲物で、それを証明してみせた。
 ――俺にできることはここまでなのかもな…
 ふと、彼女の復讐についての思いが俺の頭をかすめる。
 もはや自分には優美子を止める力など全く無いことにあらためて気付く。彼女は必ず復讐に行くだろう。しかしそれがいつ、どこで行われるのか分からない。
 ――優美子になら、可能かもしれない。いや、確実に成功するだろう。しかしその後はどうする? 万が一、警察沙汰にでもなったら…
 俺はまた考え込んでいた。
 優美子を守り抜く。それだけがはっきりと見えた俺の目標だった。
 どんなことがあっても、誰を差し置いても、自分は永遠に優美子の味方でいようと心に強く誓ったことは忘れてはいない。
 ――前言撤回だ。俺にはまだまだできることがある。


 その日からそれとなく優美子に復讐についての話をもちかけた。
 しかし優美子はその話題になると決まって話をあからさまに逸らした。それでも俺はめげずに彼女から少しずつ情報を得ていった。
 何とかその実行日を聞き出した時には、既にその前日になっていることを、この時俺は初めて知った。
 そしてこの瞬間、俺は自分がこれまでどおり普通に学校に通うことはもうできないと直感していた。
 ――とりあえず、連絡だけはしておくか…
 俺は竜崎に電話をかけた。
 「後を…頼むな」とだけ言うと、一方的に電話を切った。

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 一つだけ、俺の心に覆い被さる不安があった。彼女の復讐についてだ。
 彼女の心の闇は一層大きくなっていく。
 消えることのない怒りや悲しみ、憎しみは彼女を覆い尽くし、時々それが発現した。
 優美子の負った心の病は未だ癒えることはなく、常に彼女の中に潜んでいるのだ。
 それに対して自分がどう力になってやればよいのか、俺には分からなかった。
 そんな時に頭を過ったのが、あの男だった。無鉄砲で、クールを装いながらも内面は激情的な正直者。
 ――あいつなら…一体どうするのだろうか…
 頼りにしているわけではない。何かをしてほしいと思ったわけでもない。ただ、吐き出し口が欲しかっただけなのだろう。俺の行動によって、何かが変わるかもしれない…
 ――やっぱり、あいつに話してみよう。こうやって一人で悩んでいても、何も始まらない。
 俺は友人である竜崎に、彼女がレイプされた事実を話そうと、心に決めた。


「なんて奴らだよ。そんなこと、絶対に許されない。」
 竜崎は怒号した。この激情的な性格は、正直俺とは正反対で興味深いものだった。
 人間は自分とは違うものを排除しようとする性質がある反面、違うからこそその価値観の違いに興味をもち、より相手の考えを知りたいとも思える性質もまた持ち合わせているのだろう。
 そんな意味でも、竜崎の反応は俺にとって新鮮で面白いものだった。
「竜崎。正義って、何だろうな。」
 激高していた竜崎は一瞬口ごもる。唐突な質問に虚をつかれたようだった。しかし竜崎はそれでも怒りを隠すことなく、自分の感情を俺にぶつけてきた。
「正義ってのはな。真っ直ぐ生きていくってことなんだよ。そいつらのやったことは、間違いなく悪だ。悪だ! 少なくとも俺はそいつらのこと、絶対許さねえ。」
 思ったとおりの反応だ。短絡的で直情的な…。でも…
 ――他人の彼女のことでここまで怒ってくれるこいつは、もっと尊敬しなくてはいけないのかもな。
 自省する。俺はその日あったことの一部始終を竜崎に話すことにした。

 全てを聞いた竜崎はもはや怒りに身体をぶるぶると震わせていた。
「で、そいつらは確かに東一丸高校だと言ったわけだな。」
「いや…それは何とも言えないかな。彼女もあの時はショックで精神状態が正常じゃなかっただろうからな。」
「はっ。まぁ、それはいずれ分かることだ。実力行使あるのみだな。」
「そのことなんだが…。実はな…奴らに復讐しようとしてるんだよ。それが正義だと信じてるから。」

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